テレビの復権
最近、テレビの視聴率が回復傾向であることが報じられています。
テレビはもう見ない、ネットだけという流れが長期的に継続しているのですが、最近、テレビを見ることへの導線に変化を感じます。
仮説
この件について、こんな仮説を持っています。
・ネットニュース(Yahoo!ニュース、LINE NEWS、Smart Newsやグノシーなど)の記事の中に、「よく読むとテレビの番宣記事だった」という記事が目につくようになって来た。これが地味に番組の視聴率を押し上げている。
例えば今日のこの記事、
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6291485
一見、鳥人間コンテストが台風による天候不良で影響を受けた、という記事ですが、8月29日に鳥人間コンテストが午後7時から放映されますよ!、という番宣にもなっています。いろいろと大変な様子なのでドラマティックなことが起きているだろうというメッセージも入っていると思います。
こちらは、毎日新聞から。
https://mainichi.jp/articles/20180727/dyo/00m/200/044000c
これも番組放映前のニュース記事です。よくよく考えれば完全に番宣なのですが、ニュース記事ならたくさんの人が読んでしまうわけですね。
毎日新聞から記事を引っ張っているメディアも多いので、かなり拡散し、最終的に視聴者はテレビの前につくという算段です。
考察
ここ数年、「ネットさえあれば、スマホさえあればテレビや新聞はいらない」といった極端な意見も存在していました。しかし状況は複雑で、ネットの大部分のニュース記事は新聞記者が作成しています。そして、テレビの番宣記事を書いて、最終的にテレビまでつながるという導線が確立しつつあるような気がしています。上記の例では、今から放映するよ!、という未来型の記事ですが、あるテレビ番組でこんなことがあったよ!、という形のニュースも多数散見されるようになりました。
ネットとテレビの融合、というのは実はテレビにネットがつながるわけではなく、ネットがフロントになりテレビに誘導するということだったのかもしれません。
個人的には、ニュースなんだか番宣なんだかわかりにくいなあという感想を持っています。テレビ番組にはスポンサーが付き、結局はCMを見せるための戦略ともいえ、広義的にはPR記事となんら意味は変わらないと思います。
ネットだろうが新聞だろうがテレビだろうが、結局のところ人間が関わっていて意味のない区分なのかもしれません。露出を増やすのが目的であり、手段はなんでも構いません。露出に対して広告料が発生しメディアが潤うのです。
ネットメディアはマスコミとは独立しているから真実性が高い、というのは黎明期のインターネットの話だと思います。その感覚だけ残ってしまったので、フェイクニュースが起こりやすくなってしまっていると思います。もはやインターネットには、新聞社などの旧来メディアが中心に座っていて、そこからテレビへの導線をしっかり張ったことによりテレビがまた復活するというのはなんとも皮肉な現象だと感じます。
全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方 (文春e-book)