orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

IT人材獲得競争はそのうちレッドオーシャンになる

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20年で様変わりしたIT業界の人気

1995年前後のIT業界は非常に人気がなくニッチな就職先でした。そこからするといい時代になったものだなあと思います。

IT人材獲得競争 モテる会社はここが違う:日経ビジネスオンライン

人手確保が課題のいま、特に企業が不足を訴えるのがIT人材だ。IT系企業に加えてネット企業や事業会社が同じ人材を求め、獲得競争は熾烈を極める。給与以外にも魅力をアピールできるかどうかがカギを握る。

 

若手に伝えたいこと

IT業界のこのいわゆる超売り手市場の状況は長続きしません。なぜか。大量の非正規が業界を覆うことになるでしょう。上記記事の3ページ目、ブランディングエンジニアのような試みが至る所で行われています。よく読んでください。

 IT業界は派遣で働く技術者が多いのも特徴で、派遣事業を営む会社にとっても人材獲得競争は激しい。ブランディングエンジニアは別のIT企業からの転職者も採用している。近藤裕輝氏もその一人だ。関西のIT企業で働いていたが、キャリアアップを目指してミッドワークスの派遣技術者になった。「給料が高く、新しい技術が使えるような派遣案件が多かったのが選んだ理由。派遣で経験を積んだら、フリーランスとして独立したい」(近藤氏)

 

IT業界で働けば非正規でも給与が高い、そんなこと言っていられるのは今のうちだけです。リーマンショック一発で沈んだ派遣業界ですが、今後の様々な社会情勢の変化の中で安定してIT業界で食べられるのは結局正規社員だけです。これだけ非正規雇用による給与水準や生活レベルの低下が問題となる中、何をこの業界は非正規を増やしているんだろうと考えてしまいます。

派手な一部のネット起業やベンチャー企業のプレゼンスに騙されないでほしい。今持って「お金の出し手」は事業会社にあり、そしてその仕事請け先は「従来のSIer」にあり、そこから始まるヒエラルキー、つまりSES発祥の多重請負や派遣の客先常駐のスタイルは全く変わっていないと思います。本当に一部の成功したネット起業がオウンドメディアで必死に宣伝しているに過ぎないと思います。

つまり、本当にIT業界で活躍したいのならば、一時的な給与の良さに騙されず、お金の流れをきちんと考えて、(自分が引き受けられる範囲で)大きな責任が発生するところに飛び込んでいくべきだと思います。キャリアプランを考えたときに明日の給与は高くても10年後の給与に戦略がないといけないということです。

 

従来のIT企業だから古いというのは刷り込み

記事中に、従来のIT企業は旧来システムのお守りばかりで、イノベーションがないということが書かれていましたが違う例もあります。

ドイツ企業SAPに学ぶ #後天的なイノベーションの起こし方 | SiliconValleyWorkers

こちらは昨日読んで感心した記事です。長いですがちゃんと読んだ方がいいです。IT業界全体を大きな目で見たとき、最後に勝つのは資産が大きい会社です。新しいことをやるにはお金が必要です。そして失敗してもびくともしない体力が重要です。日本のベンチャー企業や新興のネット企業に大きく欠けているのはこの部分です。ベンチャー企業がどんどん資金を持つ企業に買収されています。死ぬか生きるかの苦労をするだけして、そしてそのノウハウはお金で買われてしまうという・・。

なんちゃってベンチャーの、疲れちゃって、バイアウト…(笑) WEDGE Infinity(ウェッジ)

基本的に事業会社かSIerかネット企業かという枠組みにはほとんど意味はなくて、お金を持っているかと新しい事業に投資するかのこの2点だけが重要だと思います。前者だけでも後者だけでも不十分でしょう。このあたりのバランスを考えることなく、ネットにあるベンチャーのキラキラ記事と、賃貸オフィスのカフェ風インテリアに騙される人が一定数存在すると思います。それは、情報があまりにも偏っていると思います。SAPの例で言えばいわゆる基幹システムについて専門家になりたいのであればドイツで働くべきでしょうし、新規事業に興味があればシリコンバレーで働くべきでしょう。でも重要なのはSAPが巨大な資本を持つということです。シリコンバレーならどの会社でもいい、どんな雇用形態でもいいというのは誤りです。

そういえば、こんな記事を書いていました。

会社を作るにしても働くにしても、お金を持っている人についていくべき - orangeitems’s diary

 

IT業界に入ってくる皆様くれぐれも就職は慎重に。騙し記事が非常に多い印象です。最後に見極めるポイントを挙げておきます。

・その会社はお金を持っているか。(財務状況)
・会社のビジョンは社会や従業員に対して誠実か。(モラル)
・商材はITによるサービスかどうか。(結局やっていることは派遣屋さんではないか?)

この3つは重要かと思います。ITの看板だけど、結局人月いくらで常駐させて、利ザヤを稼ぐ会社の多いこと多いこと・・。

そのうち、この調子でIT業界に人を増やし続けたら派遣だらけになって「レッドオーシャン」となりIT仕事獲得競争が起こり、単価の大幅下落が起きると思います。安易な選択だけは避けていただきたいと思います。