orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

高プロをいくら議論したって、現場は別の論理で動いている

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残業で稼ぐ人と残業のつかない管理職

私はもうここ10年くらいは残業代のつかない勤務形態で仕事をしています。いわゆる管理職扱いです。だから残業代がつかない。

どの会社でも同じだと思いますが残業の付く最高の階級、つまり管理職一歩手前というのが一番おいしい。残業代がつくからです。しかもその残業代は破格で時給3000円くらいついたような記憶です。時給3000円つくアルバイトなどないわけで、好き好んで、残業をするわけです。残業の生産性がいい、変な話です。管理職一歩手前なので仕事の裁量もある程度あるので、残業時間すらコントロールできます。だって丁寧にやれば時間はかかるので、残業代がある程度になるまで仕事の質を上げればいいのです。その状況があるのに、残業時間を最近は減らせ減らせ言うので、おそらくある程度会社に従うために仕事の質を調整してなんとかしのぐでしょうが、どうにもならない場合やっぱり残業するでしょう。残業ファースト、みたいな世界な印象です。

一方で、残業代が付かない管理職のマインドは全く逆で、残業代が付かないことを前提に仕事を組み立てます。最終的には全部部下に丸投げすべく、予算や人を確保します。たまに先進的で競争力のある仕事が来たら自分がやって初めに身に着けます。そのときに残業をいくらしようが徹夜しようが、自分の自由にやります。だって残業扱いされないのですから自由です。そこまで丸投げしていたら自分の居場所や存在意義がなくなりますからね。丸投げしかできない人にはなりたくありません。

というふうに、結局新しい法律ができたりしても、現場の管理職と労働者の間で働きやすい現場ルールを作って運用しているというところが多いのではないでしょうか。そもそも労働基準法の中身をちゃんと理解している人って少数派だと思います。

 

手続きに細かいくせに、現場は運用ルールで廻しがち

日本人って、手続き論(プロセスの整備)はすごく細かくやるんですが、現場では「運用ルール」などというものができて、手続きは全部無視して、現場が最もやりやすいように裏ルールを策定するというのが、文化として存在すると思います。今年になってから連発している品質の改ざん問題や、財務省の公文書書き換え問題など、厳密な手続きを現場の運用ルールが超越するパターンが非常に多いと思います。

ある社員が管理職になる一つの要件として、現場の運用の中でルールを逸脱する事象に対しどれだけ柔軟に接しトラブルを減らすか、を求められることが多いと思います。つまり、ルールに厳しく社員に厳しい人は、管理職に逆になれない。例えば外部研修が17:00に終わるとします。研修が終わったら終了の連絡を入れよ、勤務時間は正直に17:00までとせよ、そんなマネジメントをする人っていたら嫌われませんか。問題なければ直帰していいし定時(18:00など)で終わりにしておけ、という柔軟なルール運用ができる管理職って好まれます。

私は結構ルールを厳密に運用する方だったのですが、だんだん学んできて、ああもっと現場のメンバーが働きやすいように柔軟にルール決めしつつ、表向きにルールを守っているようにするのが実は会社からも部下からも求められているんだなあという結論に達しています。

 

働き方改革とは言うけれど

法律の通りに現場が動いていれば別ですが、実際そんなこと全然ないと思いますし、もっと自由にやっているような気がします。すっごく真面目に法律の議論をいろんな方がやっていますが、あんなのを制定したところで、「現場の運用ルール」はなあんにも変わらないと思いますよ。

むしろ、法律を逸脱したり明らかに人間的ではない「現場の運用ルール」を労働者が強いられたとき、逃げる(会社に行かない)ことを合法化したり救済策を策定したほうがまだ効果があると思います。常々思うのは、仕事/会社に命を懸けるのはバカバカしいということです。基本的に会社は「利益」を優先しますから究極的には自分を守ってくれません。会社員としては仕事より自分の命を優先するのが当たり前になってほしいです。忙しすぎると逃げる判断すらできなくなって追いつめられるとよく聞きますが、私はそうならないよう常に「逃げる」ことを選択肢において仕事しています。ただ逃げたことはないですが・・。逃げるような状況にならないように管理職側として最新の注意を払って現場ルールを構築しています。逆に管理職ではない人は、思いがけない不合理な現場ルールが襲い掛かってくることがあると思います。そうなったときのために逃げる準備だけはしておいたほうがいいと思います。コントロールができないことで命をかけるのは危険です。

ブラック企業がこの世の中に未だに存在するのは、法律無視の運用ルールが現場を覆っているところが多いということだと思います。どんなに法律が変わろうが本筋の問題というのは現場にありかつまだ何にも解決していないことは確かだと思います。法律万能論の限界を感じますし、そんなに大事なら厳罰化すればいいのにとも思います。建前ばかり整備してもどうにもならないだろうと。