orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

2018年5月のユーロ安は何が原因なのか

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ユーロ安により株価下落

日本の株式市場はユーロ安の流れを受けて下落しています。ユーロ円のチャートを見てみると、確かに下落傾向が続いています。

 

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ユーロ/円 - FXレート・チャート - Yahoo!ファイナンス

 

ヨーロッパで何が起こっているのか~イタリア編

アメリカが起点となった円高ドル安による株価下落はよく聞くのですが、ユーロ安というのはあまり馴染がありません。ヨーロッパで何が起こっているのか情報収集しました。

一番的を得ているのが以下の記事かと思います。

gendai.ismedia.jp

一方、世界的に政治リスクは高まっている。米国のトランプ大統領に加え、ここへ来てイタリアへの懸念が強くなっている。五つ星運動と同盟による連立政権の政策は、同国の財政を悪化させるだろう。その懸念から、イタリアでは金利が上昇している。

 

ユーロによるヨーロッパ経済圏の構築で、ドイツはその恩恵をたっぷり得ていた半面イタリアはその恩恵を得られず所得も増えず、国民に相当に不満がたまりポピュリズム(大衆迎合)政党が台頭してきてしまった。その結果イタリアはEUの財政規律を破るような政策を繰り出してきて、EUとの関係が悪化している。ということのようですね。

 

この問題が顕在化したのが、2018年3月4日の議会総選挙でした。

diamond.jp

注目が集まった下院選では、大方の予想通り、FIを中心とする中道右派連合(「同盟」)が259議席(得票率37.0%)を獲得し最大勢力に躍進した。また民族主義政党のM5S(「五つ星運動」)も議席数を112から220に増やして(同32.7%)、第二勢力の座を手中に入れた。一方で、与党PD率いる中道左派連合(「フォルツァ・イタリア」)は112議席(同22.9%)と惨敗し、党勢を大きく弱めることになった。しかしながら、どの勢力も議席の単独過半数を獲得できなかったため、新議会は「ハングパーラメント」(宙吊り議会)の状態となっている。

 

この通り、左も真ん中も右も過半数を取れない、という状態となりここから不安定化してしまったようです。3月から現在に至るまで政権が空白の状況でした。

ちなみに、イタリアは大統領制です。マッタレッラ大統領は「フォルツァ・イタリア」出身でした。与党、ということになります。

 

minkabu.jp

イタリアでは3月4日に総選挙が行われ、ポピュリズム政党「五つ星運動」が第1党に、中道右派勢力の一角で極右的な性格を持つ「同盟」が第2党となりました。当初中道右派と「五つ星運動」の連立政権が誕生する可能性が考えられましたが、「同盟」がベルルスコーニ氏の政党「フォルツァ・イタリア」との連携を拒否したことから、以降「五つ星運動」と「同盟」の少数与党政権を目指しています。

 

ポピュリズム「五つ星運動」が今の与党を拒否したという絵でここまでずるずる新政権ができなかったようですね。

 

で、なんとか「五つ星運動」のコンテ氏を大統領が首相に指名。

www.asahi.com

イタリアのマッタレッラ大統領は23日、フィレンツェ大教授のジュゼッペ・コンテ氏(53)を新首相に指名し、組閣を命じた。イタリアでは3月の総選挙後、連立協議が難航して新内閣が成立しない「政治空白」が約3カ月間続いていたが、政治家ではないコンテ氏の首相就任で、ようやく解消する見通しとなった。

 

ところが!これは一昨日(5/27)のニュース。

 

www.bbc.com

イタリアの次期首相候補ジュゼッペ・コンテ氏は27日、セルジオ・マッタレッラ大統領が経済相候補の入閣を承認しなかったのを受け、組閣を断念した。

 

大統領が、組閣を承認しなかったんです。これで「んじゃやめるわ」ということで、またまた振り出しに戻ってしまいました。

 

で、昨日(5/28)のニュースです。

 

jp.reuters.com

イタリアのマッタレッラ大統領は28日、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、2019年予算案の通過と来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じた。

イタリアでは3月の総選挙以降、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が連立政権樹立を目指していたが、次期首相に指名されていたジュセッペ・コンテ氏が前日、財務相の人選を巡ってマッタレッラ大統領と合意できずに組閣を断念した。

 

結局、大統領の息のかかった人物が首相になるということですが、議会では少数派。そもそも選挙の結果が気にくわないのでもう一度再選挙制ということらしいです。

 

そしてそして。今日(5/29)のニュース。

 

www.bloomberg.co.jp

タリアではポピュリスト2党の指導者が組閣を断念し、政治的な混迷が一段と深まった。ポピュリスト側が選んだユーロ懐疑派の財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否した。

  これを受け、反エスタブリッシュメント(既成勢力)政党「五つ星運動」は大統領を弾劾する提案を検討していると言明。反移民の「同盟」のサルビーニ書記長は事実上、再選挙を呼び掛けた。選挙は9月9日に実施される可能性があると、イタリア紙コリエレ・デラ・セラが28日報じた。

 

選挙の結果が反映されない政権なんておかしい、大統領おかしい、大統領やめさせっぞと言う流れができているようです。

とはいえ、市場は「五つ星運動」つまりポピュリスト政権を望んでいなくて、弾劾騒ぎや再選挙うんぬんの結果政権を樹立しようものなら、もっとユーロ安は進むのではということのようです。

 

ヨーロッパで何が起こっているのか~スペイン編

一方そのころスペインでは・・。

spain-press.com

1999年から2005年まで国民党(与党)とコレア・グループの癒着問題で、5月24日主犯格のフランシスコ・コレアに対し51年11か月の実刑判決が下った。

(中略)

このほか、この大規模汚職に関与していた元国民党の党費管理担当であるルイス・バルセナスはこの汚職事件の中心人物の一人であり、彼を通じて様々な公共事業の「手数料」を受け取っていた。

バルセナスはスイスの銀行に個人的な口座を開き、国民党の隠し金「CAJA B」を取り扱っていたとみられ、現在全国管区裁判所ホセ・デ・ラ・マタ判事による捜査が続いている。

ただ、国民党党員が深くかかわっていたにもかかわらず、国民党自体に対しては14年の実刑判決が下されたヘスス・セプルベダ元ポスエロ・デ・アラルコン市長の選挙費を2003年に支払っていた利益供与者として、罰金245,492ユーロのみが課せられたほか、公共事業入札に関して見返りとして旅行代や家族の催し事のために27,857.53ユーロを受け取っていたとされる元保健相で、ヘスス・セプルベダの元妻であるアナ・マト元大臣は27,857ユーロの罰金で済んでいる。

 

ということで、与党国民党を巻き込んでスペイン最大規模の汚職事件が決着を迎えております。そして・・。

 

www.bloomberg.co.jp

スペイン最大野党の社会労働党は25日、ラホイ首相に対する不信任決議案を提出した。別の党、シウダダノスも首相が解散・総選挙を実施しなければ、同様の措置に踏み切る姿勢を示した。裁判所が与党・国民党の元財務担当者に汚職で約33年の禁錮刑を言い渡したほか、恩恵を受けたとして同党に罰金支払いを命じたことで、政権のアキレス腱(けん)が露呈した。

 

ということで、スペインでも時を同じくして政権がぐらぐらしています。

 

まとめ

イギリスがEUから離脱を決めている今、主要国であるイタリアとスペインがこれだけぐらぐらしていたらユーロはそりゃ安くなりますよね・・。

一方でGDPRを始めたりしていて、なかなかヨーロッパが不安定化しているように思います。

ちなみに、日本でもポピュリズム政権が誕生した時には、一気に経済が停滞した思い出があります。イタリアはどうなってしまうのか・・。そしてスペインは?。

米朝会談もよくわからない状況ですし、一気に世界が不安定化してきた印象です。

 

追記

イタリアでは、コンテさんごめん、もう一回組閣して。

jp.reuters.com

 

スペインでは、不信任案ほぼ可決の見込み。

jp.reuters.com