orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

出版業界が著作権に対して強く出られないジレンマのからくりに関して

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出版社と著作権保護の関係

漫画村の件と音楽教室の利用料徴収の件を同時に考えてみて、納得が言ったことがある。漫画は基本的に出版社がイニシアチブを持っている。したがって、出版社が能動的に動いて著作権侵害を食い止めなければいけないが、音楽業界におけるJASRACほどの盤石さがない。

 

JASRAC

JASRACは文部科学省の審議委員会に委員を1名出しているということも分かる通り、かなりロビー活動、つまり政治の世界に能動的に進出し発言している。既得権益者が政治に寄り添うのは、外観としてはかなり批判があるようにも見えるが、これは必要なことのように思える。というのは、結局は法律が整備されないと著作権を守ることができないからだ。ダウンロード違法化の件だって、映像や音楽に限定されているのは、JASRACが絡んでいるからという見方もできる。JASRACは静止画やテキスト(小説)にはほとんど関与できない。歌詞については関与できるようだが。少なくとも著作権を保護することをビジョンとしている組織が、法を運用する場で意見を形成するのは必要なことのように思える。

 

出版業界

一方、出版業界を見てみよう。漫画を出版している出版社は確実に週刊誌を出している。週刊誌などのマスメディアは基本的に政治的に中立でなければいけないと固く信じているし、むしろ対立軸でなかればいけないと思っているに違いない。もし政治が腐敗する隙を見せたら断固糾弾し、あわよくば倒閣までしなければいけないと考えている節がある。表現の自由とも絡み、何らかの規制については基本的に反対を唱える性質がある、というふうに私は理解している。今日も森友だ公文書偽造だなんだと盛り上がっていますし。

とすればだ。出版業界は、ロビー活動が相当苦手なはずだ。普段攻撃対象の政治家や官僚たちに、「著作権守ってほしいんで、法律整備してくださいよ〜」と陳情することができるのかどうか。これまでの関係を考えると、できる気がしない。

なぜ、著作権法が改正されるときに、わざわざ、映像や音楽と注釈が付いたのか。ここにジレンマを感じざるを得ない。

 

音楽業界

音楽業界がバラ色ということでもない。CDが売れなくなったのは、コピーガードのせいだとか、電子配信のせいだとか、いろいろ言われたが、最近は聴き放題のサービスがかなり整備され、うまくデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み始めていると思う。あとは優れた作品にどう分配するかというところまで来ている。これもなんだかんだ言われながらJASRACが裏で頑張った成果ではあると思う。全てのアクションが礼賛されるとは思わないが、みんなApple MusicとかSpotifyとかGoogle Play MusicとかAmazon unlimited MusicとかLine musicとかAWAとか・・聞いているだろう。法整備が裏できちんと進んだから、最終的には海賊版に流れなくて済んだのだと思う。

 

まとめ

出版業界は、ジレンマと対峙しながら、政治ともうまくつきあい、JASRACを見習って著作権の運用方法を確立しなければいけない。だめだだめだと自らのメディアでオピニオン記事ばかり出していても進まないのだ。出版業界が目の敵にした政治ときちんと付き合わなければいけないと思う。無論、JASRACに委託するのも悪手ではないと思う。

何しろこのジレンマを乗り越えないと、漫画村をはじめ海賊版論者の一人勝ちになる恐れがあることは警告しておきたい。そうなるといよいよ、悪貨は良貨を駆逐する時代が来てしまう。出版業界がどのように結論を出すのかしっかり今後もウォッチしたい。