大企業リコーの不調
リコーは連結で10万人強を抱える名実ともに大企業です。ここ1年くらい経済誌などで経営の不調を訴える記事が増え、その動向に注目をしていました。この不調のアウトラインとなる記事が以下です。
詳しくは記事に任せるとしても、リコーの主要事業を見るとピンと来るものがあります。
・複写機 → 電子化により需要が減退
・ファクシミリ → 最近は全然FAX使わなくなりましたね
・レーザープリンター → これも電子化により需要が減退
・デジタルカメラ → スマホに取って代わられる
・パソコン → 同業他社が多いし、企業もリテラシーが上がった
・サーバ → クラウド化により需要減衰
今まで伸びてきたものが各製品・サービスの成長期が軒並み終了し減衰している感があります。しかし、そもそもがシェア優先で攻めてきたので、高コスト体質が免れない。売り上げが下がると原価が重くのしかかると言ったところです。
しかも国内市場の低迷をふまえ海外の販路を求めたのが裏目に出て、結局は製品ラインナップの不調をグローバルに引き受けることになってしまいました。所詮国は違えど同じスピードでデジタル化が進みますからね。
構造改革
2017年4月に山下社長が就任されて以降、様々な構造改革のニュースがありました。どうするのか興味をもって見ておりました。一連のニュースです。
2017/10/30
2017/11/15
2018/1/3
2018/1/30
2018/2/1
2018/2/6
2018/2/21
2018/2/22
考察
なるほど、これだけ時系列でニュースを追うとビジョンが見えてきます。特に生産性の低い海外のアメリカやインドをリストラクチャし、高コスト体質を改める方向。半導体子会社やコカ・コーラ株式など本業とリンクしない資産はキャッシュ化し成長産業のM&Aに活用、そのうえで今の働き方改革を味方につけ、新しいソリューションを生み出すという一本の流れが見えます。
ただ、リコーグループ全体の連結売り上げが2兆円強ある中で、即効性のある新規事業がどれだけ現実的にあるのかは厳しいと思います。以前IBMがPCサーバー事業ごと中国レノボ社に売却し、クラウドホスティングのSoftLayerという会社を購入したことがあったのですが、それぐらい大きなディールをしないと成長戦略を描く上で数字が合わないのではないかと思います。むしろ2000億のM&Aで果たして十分なのかという気もしなくもありません。
この流れを見るとかなりの実行手腕を持たれた経営者のように見受けられますので、あとはカードをどれぐらい持っていて、それをどの順番で出すかで大きく結果が変わってきそうな感想です。成長産業をM&Aする一方で利益の出ない事業を売却するようなことがこれまでの社風でできるのかが問われそうです。また本当に成長するのかという目利きも非常に重要です。
もしくは、人員削減し保守コストを下げて売り上げに合わせて最適化していくような手法もありそうですが成長の絵が描きづらいです。したがって、大きな核となるM&Aは必要でしょうね。
リコーは、シャープや東芝の例と違い、営業赤字を出していないため、今やるべき改革を今やってらっしゃるイメージです。ただこれからのスピードが最も重要に思えます。自然と上放れするような業態ではないと思われます。
また進展があれば記事を書きたいと思います。