クレジットカードと仮想通貨の関係
クレジットカードを使って仮想通貨を購入する、ということは日本国内でもできる取引所はあります。ただし、8%~10%の手数料を取らます。利ザヤを10%取らないと投資として意味がなくなるため、相当な自信がない限り、現金での取引が望ましいと思います。
そもそも、昨今、クレジットカードでの取引を禁止するニュースが世界で増えています。
VISAとMastercardが、Bitcoinを始めとする暗号通貨のクレジットカードによる購入を難しくした | TechCrunch Japan
英米銀、クレジットカードでの仮想通貨購入禁止 ビットコイン続落 | ロイター
表向きは、マネーロンダリングの防止や、犯罪組織による取引に使われるためということになっていますが、裏には、グローバルなクレジットカード会社、Visaやmastercardと、仮想通貨の仁義なき戦いの意味合いが強いと考えています。
Visaが目指すもの
VISAのホームページより、VISAの目指すところを読み解きます。
Visaについて
Visaは、個人のお客さま、企業、金融機関、政府機関のためにデジタル通貨の機能をもたらすグローバルな決済テクノロジー企業です。
Visaのビジネス
Visaのテクノロジーとイノベーションにより、個人のお客さま、企業、金融機関、政府機関のためのデジタル決済が現実のものとなりました
1958年の設立以来、Visaはシンプルかつ揺るぎない理念を持っています。それは、すべての人がいつでもどこでも利用できる、最も優れた決済方法を提供するということです。あらゆるVisaの取引は、お客さまへの「約束」です。ブラジルで屋台を営むお客さまにも、娘の学費を支払うルワンダの漁師のお客さまにも、すべての人にあらゆる場面で、最も安全でシームレスなペイメントエクスペリエンスをお届けすることがVisaの願いです。
mastercardが目指すもの
mastercardは英語だが、Visaよりわかりやすいです。
ビジョン(実現したいこと)
世界をまたにかけたキャッシュ
ミッション(やるべきこと)
毎日、あらゆる場所で、我々の技術と専門知識を利用して安全で簡単でスマートな決済を行う
つまり競合している
つまり、Visaやmastercardがやりたいことと、ビットコインなどの仮想通貨がもたらしたいことが、競合しているのです。仮想通貨が現実世界に浸透すれば浸透するほど、クレジットカードの市場は小さくなっていきます。グローバルなクレジットカードの市場は、長い間、寡占状態で安定していました。ここに仮想通貨が入ってきたら非常に脅威となってしまいます。
また、各クレジット会社は絶対に仮想通貨のビジョンが間違っているとは言いません。なぜかというと、同じビジョンだからです。これは自己否定につながります。もはや仮想通貨の規模が無視できなくなってきたため、手数料を上げたりすることで、壁を作り、まずはクレジットカードと仮想通貨の流通を止める方向に業界全体で取り組んでいると言えます。
消費者はどちらを選ぶか
さて、最後に仮想通貨を選ぶのか、クレジットカードを選ぶのかは消費者が最終的には決めることになります。クレジットカードは中央集権型です。確実に手数料は特定の業者に数%が支払われます。仮想通貨の場合は手数料は取引所へ流れる分散型です。
例えば、先行してビットコインでの支払いを導入したビックカメラの例をご紹介します。
・ビットコインを利用する場合、bitFlyer取引所のウォレットを利用すれば手数料がかからない。他の取引所のウォレットの場合(bitFlyerを経由するため)送金手数料がかかる。
・限度額がある(店舗だと30万、ネットショップだと10万)
・ビックカメラのポイントが、現金と同じだけ付く(10%)。
ビックカメラ全店でbitcoin使えます! | ビックカメラ
これだけ見ると、現金と同じ条件で使えるビットコインが有利に見えますよね。ただ、ビックカメラの商品は円建てで売られていますから、bitFlyerのビットコインを使うとしても、ビットコイン売り円買いの取引が同時に成立することになります。このとき、手数料がレートに含まれていますので、実はbitflyerに手数料を払っているのがポイントです。
例えば、今のbitflyerの取引画面を見てみましょう。
以上の通り、円に売却する際には、本来価値よりも10,000円ほど値引かれています。スプレッドといいますが、売ったり買ったりするときに、取引所に手数料が内在しています。
ということで、店がビットコインで売らない限り、手数料からは逃れられないと思います。
現状、ビットコインで物が売られているところはないに等しいので、クレジットカード対する競争力はいまのところないというのが私の見方です。
店舗側は選ぶか
まだビットコインで決済できるようにしている店舗は少数派です。ビットコインで物を のは危険すぎます。2倍になったり2分の1になったりするような通貨で決済させることはリスクが多すぎます。今のところ円決済をビットコインから両替して行うタイプばっかりです。
その場合、店舗側はメリットが少々あります。bitFlyerの店舗決済システムであるbitWire SHOPの事例を見てみましょう。
この通り、クレジットカードに対する手数料の安さをうたっています。ただ、ビットコイン自動売却機能とありますので、結局取引所のスプレッドによる利益が潜んできます。上の右の絵の通りにビットコインからビットコインへの取引であれば本来の価値が発揮するんですが・・。
ということで、相当にビットコインの価値が安定しない限り、店舗への導入メリットは限られてくると思います。
長期的にどうなる
仮想通貨相場がまず落ち着くことが前提です。そのうえで、店舗がビットコインで物を売ることをするようになると事情が変わってきます。ビットコイン取引所のウォレットからそのままビットコインで支払えるようになれば、手数料が非常に小さくなります。
また、クレジットカードのように店舗側への審査や手数料もなくなりますから、店舗側にもメリットが出ます。
一方で、Visaやmastercardは既得権益を守るべく、クレジットカードでの仮想通貨購入は絶対に阻止してくるはずです。
仮想通貨側は、まずは取引ルールやプレーヤーが透明化され、各国家から認められる存在となることが最低条件になってくると思います。結果として、ビットコインが小売店でそのまま流通するようになれば、仮想通貨の勝利と言えるでしょう。
どちらが勝つかはわかりません。まずは短期的な仮想通貨のニュースを見守りたいと思います。
追記(2018/2/9)
Zaif Exchangeで、クレジットカードでの仮想通貨購入が禁止されました。
仮想通貨取引所Zaif、クレジットカードでの購入を一時停止。すでに戦いは始まっている。 - orangeitems’s diary
やっぱりそうだよなあ。水面下で戦いが始まっている。