少子化問題を考える
はてなブックマークでこの記事を読みました。
この記事の著者が言わんとしていることはすごくわかります。結局のところ、今の社会は子育て世代である20代〜30代に大きく負担がかけられているということです。子育て世代に、介護の問題まで重なってくると、もはや立ちいかないレベルとなります。このあたりを客観的に見ていきたいと思います。
人口ピラミッドから考える
厚生労働省の機関である、「国立社会保障・人口問題研究所」をご存知でしょうか。この研究所が、人口ピラミッドを公開しています。
2020年
2020年の状況を確認してみます。
以上のとおり、20代から30代については、人口ピラミッドの中で厚みのない部分となっています。この世代が、年少人口を経済的に支えなければいけないにも関わらず、介護が必要とされる後期老年人口の支えまでしなければいけないとすると、もはや詰んでいるということが言えると思います。
先日、年間850万以上の所得者への増税が発表されましたが、20代から30代で850万以上の所得がある人は少数に限られており、40から60代向けへの狙い撃ち増税だったように、この表を見ると思います。もっと経済的に、子育て世代以下への分配を増やしたいという意図が見えます。
今しばらくは、人口の層が多い団塊ジュニア世代(アラフィフ、50前後)が介護や保育の雇用に流れてくれれば、保育問題や介護問題が乗り切れそうなことがこの表が教えてくれます。保育士さんは20代の女性、みたいな発想からは脱却しないといけません。日本はあまりジョブチェンジには肯定的ではないのですが、社会構造の変化には脆いと思います。ロールプレイングゲームでもジョブチェンジするじゃないですか。新卒で決めたジョブにこだわっているのは実は社会的には矛盾していると言えます。
少なくとも、子育てが終わった世代は、子育て世代をもっと助けなければいけないです。
30年後は?
今から30年後、2050年を見て見ましょう。
今から30年のうちには、いろいろな社会情勢の変化がありますので、このシミュレーションが必ずあてはまるわけではありません。ただこのまま現状が続いた場合のことを考えるのは意義があると思います。
人口減少が現実のものとなり、どの層も幅が小さくなっていることがわかります。今の団塊ジュニアがそのまま後期老年人口に差し掛かります。ですが、現状と違うのは、アラフィフ世代(50前後)が薄いことです。
現在でも介護と子育ての両立の問題があるのに、将来はもっと条件が厳しくなるということです。この図から考えると、65で引退して年金生活というのはとても無理な話で生産年齢人口を75まで引き上げてやっと成り立つような社会だと思います。
世代別の年収グラフから考える
ひろゆきさんが、こんな記事を投稿されていました。
そうすると年収900万円ぐらいないと、子供二人を大学生にしてから社会に送り出すってのは出来ない国になるんでしょうね。
この件に関しては、
平均年収ランキング2017(年齢別の平均年収) |転職ならDODA(デューダ)
から客観的にお話ししていきたいです。
20代の平均年収は以下の通りです。
30代は以下の通りです。
40代は以下の通りです。
以上の通り、子育て世代の20代から30代という層で考えると、850万円以上はむしろ思い切り少数なわけです。大学生まで子育てすることを考えると40代まで見る必要がありますが、300〜500万円を一人当たりの年収として考えるのが正しいシミュレーションだと思います。そうすると、今回は、「夫婦で合計年収850万円」の人(例:夫425万円、妻425万円の共働き)は増税にならないわけです。
850万円以上というのは、40代以上への狙い撃ちというのはこのことを言っています。
だめ押しします。50代の年収です。
1000万円以上がすごく多くないですか?
むしろ一番多いじゃないですか!
あと、他の世代と比べて高所得者が非常に多いです。50代以上はさすがに子育ては終わっている層が多いので、この層に再分配を求めるのは正しい政策だと思います。
新聞社が騒ぎ立てるのは、新聞社の要職の人がここに思いっきり当てはまっているからだと思います。
結論
これらの情報から考えて結論を述べます。
(1)20代から30代の子育て世代を、40代以上の層は応援しなければいけない。特に子育てに集中させるべく、介護を任せるようなことはあってはならない。
(2)支援とは、単に金銭的なものだけではなく、人手の問題が大きい。介護や育児へのジョブチェンジがスムーズにできるようにするなど、マンパワーの支援が大切となる。特に300万円未満の層が400万円の層にアップできるような形でジョブチェンジできると効果的であるように思う。
(3)65歳定年は非現実的である。しかし、50代に高所得者が集まっている状況のため早く引退させたいという矛盾を抱えている。このまま維持はできないので、これらの層は年収が下がっても引退できないことを突きつけられるときがやってくる。
特に(3)については、下記の記事が役に立つと思います。
このように悲観的に書くのではなく、社会がうまくまわるようにスムーズに事がなされるようにしなければいけないと思います。そのあたりは政治や経済界が今のうちに頭を使わなければいけない事だと思います。
子育て層が、子育て層の中で争うような状況は良くないと思います。社会全体で最適化していくことがデータから見ても必要です。全ての世代が当事者意識を持ち、自分だけが得をすることはできないことを強く思う必要があると思った次第です。