orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ソーシャルゲーム市場に侵食される漫画市場

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漫画の思い出

私は、子供の頃から漫画が好きで、コロコロコミックにはじまり、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊ビックコミックスピリッツ、週刊ヤングサンデー、週刊モーニングと、10年くらい前までどんどん買っていた。コロコロはともかく、他の雑誌は重ねて買っていたから、小遣いに占める漫画の消費割合は、半端なかった。

ある日、突然買うのを辞めた。何がきっかけだったのかはよく覚えていないが、単に漫画がつまらなくなった瞬間があった。また当時仕事が超忙しくて漫画を読む余裕もなかった。複合的な理由でやめてからは、週刊誌は読まなくなった。

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しぼんでいく漫画市場

そのころから随分経ったが、もはや危険水域まで来てしまった感がある。

読売新聞が2018/1/25(昨日)に発表した記事だ。

www.yomiuri.co.jp

2017年の紙の書籍・雑誌の推定販売額(電子出版を除く)は前年比6・9%減の1兆3701億円で、13年連続の減少となったことが25日、出版科学研究所の調べで分かった。

特に、この記事中の、このグラフに注目だ。

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 1996年に2.6兆あったのが、1.3兆まで急降下したということになる。この1.3兆分はどこへ言ったのだろうか。

 

急伸したゲーム市場

一方で、ファミ通の調査記事を見ていただきたい。

pickups.jp

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2016年の国内家庭用ゲーム市場規模は、ハード・ソフト(オンライン含む)合計で3440億円となりました。一方、オンラインプラットフォーム市場は1兆361億円に達し、国内ゲーム市場全体の約75%を占めています。国内のゲーム市場は伸長し続け、2016年は過去最高の1兆3801億円に。

オンラインプラットフォームとは、ソーシャルゲーム経由がほとんどです。1996年になかった市場が、ここに1兆円分落ちているというわけです。

 

電子書籍に流れているのではないか

紙と電子書籍は排他的なので、電子書籍市場についても触れておきます。

インプレス社の調査結果です。

2016年度の電子書籍市場規模は前年比24.7%増の1,976億円 電子出版市場は5年後に3,500億円市場へと成長 『電子書籍ビジネス調査報告書2017』 7月31日発行 - 株式会社インプレス

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この通り、まだ2000億ちょっとの市場なのです。減った1.3兆円を埋められるほどの大きさではないのです。

※よく考えたら、オンラインゲーム1兆強+電子書籍2600億強で、1.3兆ぴったりだ。

 

任天堂岩田さんがおっしゃっていた、ライバルの話 

紙の雑誌に流れていたお金が、そのまま、ソーシャルゲームの魔法石に流れている今の状況を考えた時、任天堂岩田さんが生前におっしゃっていた言葉を思い出します。

私どもは、自分たちのライバルは何だと考えているかというと、「お客様の興味関心と時間とエネルギーを奪い合うすべてのものがライバルだ」と思っています。特定のものだけをライバルだと考えますと、「そのライバルにいかに勝つか」という発想になるんですね。

漫画を読む時間が、ソーシャルゲームやSNSに奪われていき、市場がどんどんしぼんでいるのが数字に出ています。最近だとYoutubeを見続ける、というのもあるのかもしれません。可処分時間の奪い合い、と言われたところから、優劣がはっきり出てきたとも言えると思います。

 

市場が半分になった世界

もはや20年、右肩下がりの市場において、それでもすばらしい漫画を出そうとされている漫画家の方や、編集者の方がいらっしゃいます。でも、マクロで見ると市場は20年前の半分の世界です。残り半分は、WEBで掲載したり、同人だったりと、経済の外で頑張ってらしゃるのかと思います。

ある記事に出会いました。

www.ultrac2017.com

5年間、プロの漫画家を目指し、そして既存の市場の仕組みに入れなくて辞めてしまったシオリさんの記事です。おそらく、市場が右肩上がりなら、こんなことはなかったはずです。日々日々漫画が売れなくなっていく中で、編集者達も自信を無くしているのもあると思います。それに合わせて、既存の漫画家達が、限られたパイを奪い合っているため、新しい人が全く入れなくなったのかもしれません。

せっかくの才能がもったいないな、と率直に思いました。傷ついた編集者に身を委ねるのではなく、例えばWEBで公開するとか、Kindleで自費出版するとか、何か違った形で挑戦してもいいのに、と思いました。

この状況だと、どの雑誌も売れていません。編集者も苦労しつつ怒られつつで、モチベーションが上がらないと思います。編集者に頼らず、インターネットを使った新しい方法で読み手にリーチすべき、と思いました。

 

まとめ

漫画市場を再度盛り上げるためには、ソーシャルゲーム等に勝てる、別の手段を考えなければいけません。今の電子書籍では「負け」だと思います。市場がしぼむスピードの方が勝ってしまうでしょう。

革新的なデバイスで、そして出版界全体で、手を組んで共通なプラットフォームで、とてもスマートに雑誌を購入し、消費できるようになれば、元気になり、上記のような漫画家志望の人が容易に夢を叶えられるようになると思います。

そもそも、スマホだと、1ページが小さすぎるんですよね。スマホに最適化して漫画を書いてみるの良いかと思います。

紙文化で、編集者のつかさどるやり方ではなく、もっと新しい仕組みを取り入れ、ソーシャルゲームと戦って欲しいです。普通に考えて負けないはずです。古い慣習を見直して欲して、復活して欲しい。出版業界。

 

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