IT業界にいてよく聞くワードを集めてみました。私個人の体験に基づきます。参考になれば。
展示会
関東だとビッグサイトや幕張メッセ、関西だとインテックス大阪やATCホールなど、大きな箱にて、たくさんの関連企業がブースを構えて商品やサービスの売り込みを行うイベントです。
一番の目的は、サービスを欲しがっている企業と、サービスを提供している企業のそれぞれの担当者が会話し、商談につなげられることです。また、業界動向を勉強するために入場する人もいます。
私の知っている限り、展示会は2日〜3日くらいに渡って実施され、初日の午前中が一番入場者がいません。展示会に出展している企業同士で、「最近どう?」みたいな情報館をしていて、内輪でガヤガヤしている感じです。そして最終日の午後、だいたい金曜の午後は入場者でごった返します。午後に来て、だいたい早めに切り上げてサボっている人も多そうです。
展示会と言えば、「新人研修を装って、展示会に訪れた人と名刺交換をしにくる若手っぽい人」が大いに問題となった時期がありました。あれ、一度交換すると、会社に電話かけてくるんです。そして、不動産の購入を勧めてくるんです。めちゃくちゃ迷惑でしたが、何度もいらないって言っても電話かけてくる。最近は展示会場で、会場の中やまわりで知らない人と名刺交換しないようにと注意喚起されるようになっていますが、本当に注意しましょう。詐欺まがいの会社も紛れてます。
カンファレンス
こちらは、ホテルの宴会会場を貸し切って行われることが多いです。展示会とは違い、プレゼンテーション形式の発表会を50〜100くらい一気にやります。主催ベンダーが一番大きい宴会会場で、キーノート(基調講演とも言う)と呼ばれる最も大きなプレゼンテーションを一番初めに行います。2時間くらいのコマです。ここで、主催ベンダーの社長や技術開発責任者などが「うちの会社はこんなに成長してるぜ、そして未来はこうなるぜ、すごいぜ」と話すのがテンプレです。また、ビッグユーザーをその後登壇させ、「このベンダー使ったから、うちはこんなに助かってるぜ、みんなも使おうぜ」というのもお約束です。
また、キーノートに、大物政治家とか芸能人とかを呼ぶケースも多いです。そういえば、司会者がショーンK氏だったこともありましたよ。いい声でした。「これからのITを・・・」、名調子でしたね。あと田原総一朗氏の公演も聞いたことがあります。
午前中にキーノートが終わったら、昼休みに入るのですが、ここでお弁当が無料で配布されるカンファレンスが多いです。余談ですが、絶対IT関係者じゃないような人が会場にふらっと入っていって、5つくらいカバンに入れてそのまま持ち去ったのを見ました。混雑に乗じてという感じですが、運営者は気をつけたほうがいいですよ。
その後、いくつかの宴会会場で、セッションと呼ばれるプレゼンテーションが始まります。ここでは、主催ベンダーの事業部単位でいろんなテーマで発表を行います。一コマ40分と行ったところです。後半の方は主催企業のパートナー企業とか、カンファレンスに協賛しているスポンサーの枠になるのが普通です。
IT業界にいると、セッションでプレゼンをする機会もあるかと思います。なかなか緊張します。いい体験だと思います。ぜひ機会に恵まれたらやってみたらよいでしょう。
ライトニングトーク(LT)
最近よく聞くワードです。プレゼンテーションするのですが、5分以内に話をしなければいけません。で、どんどん発表者が切り替わっていく感じです。
ライトニング、とは、稲妻、という意味です。どーんどーんと目まぐるしく話していけみたいな意味ですかね。私も参加したことはありますが、私は5分で終わらせたのに、他の参加者が10分とか話しやがって、話ちがうじゃねえかライトニングトーク、みたいな目にあったこともあります。
プレゼンテーションの秘訣
IT業界は、立場に関わらず、プレゼンテーションをよく行うと思います。もちろんセールスはお客様に、技術者も技術発表などを行う場があります。
私は、Eテレの「プレゼン白熱教室」という番組を過去たまたま見て、とても参考になりその内容を今も取り入れています。「日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力」という本が出ていますのでご参考までに。
デジタルトランスフォーメーション
この舌を噛みそうな言葉ですが、2017年後半くらいから、すごく登場する言葉になりました。おそらく2018年はこの言葉が席巻すると思います。
トランスフォーメーションとは「変換・変容・変革」というような意味なのですが、こちらさっぱりピンときません。
最も意味を成しているのが「デジタルへの変革」という感じですが、ざっくり言えば、企業が行うサービスや、ビジネスのプロセス自体を、デジタルへ変えていくこと、ということらしいです。
今までは、テレビ・ラジオ・雑誌などでCMを売ったり、実店舗で商品を販売したりと、いわゆるビジネスの導線が、アナログでした。ところが、今や、ユーザーはSNSで情報を得たり、WEB広告でECサイトに誘導されたりと、オンラインで商品やサービスに触れ、購買まで行うようになってきました。
これに合わせて、会社自身が行う様々なプロセスを、デジタル化していき、よりユーザーに届くように変革していく一連の活動を、デジタルトランスフォーメーションと呼んでいるのです。
と、書いたけど、なんだかまだまだ抽象的ですね。
これ、おそらく単にシステム化とかECサイト作ったりWEBマーケティングするという話では「ない」のです。もっともっと、ぞっとするような話です。
以前、仕事がロボティクスによってどんどん無くなっていくという記事を書きましたが、これこそデジタルトランスフォーメーションです。人がやってたことをロボット・AIに置き換えるのです。アナログなことをデジタルに。単純作業はアウトソーシングして派遣さんにやってもらおう、のところがデジタルに変わるのです。
なんだかかっこいい言葉を使って、すごく怖いことを言う。20年くらい前に、人材派遣ビジネスを、規制緩和とか新しい働き方とか言って、持ち上げる雰囲気がありましたが、意外とこのデジタルトランスフォーメーションにも似た裏の意味がありそうだと個人的には思っています。
モノリシックとマイクロサービス
モノリシックとマイクロサービスという言葉は最近知らないと、会話で困る時があります。
こちら、「オンプレミス」と「クラウド」という対比とよく似ています。オンプレミスとは自分で機械を買って組み立てるインフラ。クラウドはクラウド事業者がサービスとしてインターネットを通じてインフラを提供すること。昔と今。
上記はITインフラの場面でよく使われる言葉ですが、モノリシックとマイクロサービスはアプリケーション開発者の言葉です。モノリシックとは「一体となっている」という意味の言葉です。いろんな機能をひとまとめにするという意味ですね。マイクロサービスとは、機能ごとにリリースして組み合わせる。1つ1つの機能を「マイクロ」つまり分割できない最小限のものにして互いに通信させてシステムを作ることを言います。
モノリシックは今までのやつ、マイクロサービスは新しいやつ。
このマイクロサービスを支えているのは、googleが開発しオープンソース化した、コンテナ管理ソフト「kubernetes」です。これがまた読みにくい!。周りの人はクーバネイティスって呼んでます。うーん。
マイクロサービスがいいのかモノリシックがいいのか議論は、まだ続いています。一時マイクロサービスがバズワードとしてはやりましたが、結局手間かかんじゃねえか的なモノリシック論者も最近盛り返して来ました。私が思うに、オンプレミス対クラウドも同じで、新しい方のほうがベンダーが商売になるので、いっぱい広告記事が出がち。ベンチャー系のエンジニアも最先端っぽくてかっこいいので使いがち。しかし9割の人はオンプレミスにしろモノリシックにしろ黙って利用し続けているという感じです。
IT業界自体、なんかもう新しいの疲れたよね、むしろ本番で障害なく動く方が百倍大事だよね?、っていう雰囲気も少なからずあり、新しく入ってきた人は戸惑うだろうなあと思います。
番外編:使われなくなったワードたち
いっぱいあるなあ。
アジェンダ
議題のこと。そんなこといいから本題に入れ的な。
アグリー
賛成のこと。普通にさんせいと言えと。
アライアンス
業務提携のこと。最近はAPIを介していろんなサービスをインターネットから使うようになったこともあり、あんまりアナログな関係は下火かなあ。
イシュー
これも、課題、って言っちゃった方がわかりやすい。
オンスケ
予定通りのこと。他の現場はわからないが、私はこの言葉を言う人がいたら、「つまり少しでも想定外のことが起こったら、遅延しちゃうってことね」、って0.2秒で返す。実際にそういうケースがいっぱいあったので懲りた。
コアコンピタンス
他の組織と差別化できている強みのこと。でもこれって、外部環境も変われば組織の中身も変わるので、あんまり意識しない方がいいんじゃないか的な扱いを受けているように思う。
コンセンサス
普通に調整って言った方が伝わる。
ブラッシュアップ
こちらをブラッシュアップして、またご提案に伺います、とかいう言い方しなくてもいいのになあという雰囲気を感じる。本当にアップするの?みたいな。
ワークライフバランス
見事に働き方革命という言葉になってしまいましたねえ。
ほんと20年いると、言葉がどんどん変わっていきます。