orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

RPAソフトウェアをちょっとかじって思ったこれからの仕事のこと

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RPAソフトウェアを試しています

RPAの勢いはすごくて、毎日のようにニュースで既存業務を自動化した内容が報道されます。AIが来るんじゃなくて先にRPAでした。まあ、RPAにAIが今後組み込まれ、もっとインテリジェンスになるのは間違いないと思います。

さて、私もリストラされないためにRPAをかじっています。ソフトウェアはUiPathというトップシェアのものです。

 

www.uipath.com

 

UiPath Community Editionというものが出ていて、こちら無償です。どういうことがRPAなんだろうという方はぜひダウンロードしてインストールしてみてください。私も今こちらを評価中です。

RPAソフトウェア自体は、UiPathの日本語化が遅かったのもあって、日本企業のソフトウェアも強いです。WinActorは特に有名です。

 

winactor.com

 

私は、一太郎とMicrosoft Officeみたいな関係だと思っていて、結局はグローバルで強いUiPathが市場を制すると思っています。ただ、他のソフトウェアの動向もありつつ競争の最中ですから、どう落ち着くかは不明です。

 

勉強していて思ったこと

これから勉強する方に、先行して感想を伝えたいです。

RPAはやっていることはExcelマクロと似ています。ただ、コードを書くわけではなく、実施したいことを線でつないでいくイメージです。

 

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コーディングに慣れている人は、まどろっこしく感じるかもしれませんが慣れの問題かなと思います。左側にいろんな部品があるので、これを組み合わせて自動化していく感じです。

 

もちろん、全部手組みするのは大変なので「レコーディング」機能が使えます。Excelマクロの自動記録と全く同じです。

レコーディングをしながらデスクトップの操作をすると、フローを自動で書いてくれます。これをアレンジして組み合わせて・・というアプローチが使えるわけです。

 

・・と書いたら簡単に思えるのですが、なかなか部品もたくさんあって、またGUIの表現もとっつきにくいです。例えばExcelの勉強をするとき、Excelの一つ一つの機能を確認しないように、なかなか全貌を把握するのが難しいなと思いました。

(Excelマクロのすべてのクラスやメソッドを頭にいれてるわけでもないし、だんだん慣れていけばいいのかな・・)

 

無駄な抵抗をやめて、こんな本を買おうかなと画策中です。

 

 

これからの仕事のこと

これまではシステムをユーザーに導入するとき、運用手順書作成や教育研修を加えるのが通常でした。今後RFPなどに、RPAの自動化も含めてくるケースもあるでしょうし、ベンダーが自主的にRPAを提案するようになるでしょう。また、しているでしょう。

「当社のシステム提案は、貴社業務を最適化するだけではなく、運用の様々な業務をはじめからRPAにて自動化することで、ユーザーの負担を大きく減らします」、です。

しかも、そもそもこのソフトウェア、どうもちゃんとした学習メソッドがあれば、そこそこ誰でも使えるようになりそうです。一度、身に着けてしまえばかなり汎用的に横展開できます。既存システムや既存業務に展開できるスキルを身に着けてしまえば、相当活躍の場が広いと思います。

RPAも、複雑なロジックを組む場合はプログラミングスキル必須ですが、大半は、ループと条件分岐さえ知っていれば8割がたの仕事は完結しそうな気がします。ブラックボックス化や野良ロボ化を必ず心配する人がいますが、むしろ何の仕事をしているかフローが見えるので、RPAが普及してくるとかえってメンテナンスしやすくなるのでは、と思いました。Excel VBAがコードレベルなので、むしろGUIでフローを書いているUiPathの方が良いのではないのでしょうか。

繰り返しますが、すぐ使えるほど学習コストは小さくないので、本を買って早めに勉強しておいたほうが何かと今後のアドバンテージになると思います。

そのソフトにするか・・というのは難しいですが、まあLotus 1-2-3を使えればExcelもすぐ使えるように、とにかく何かに手を付け、マスターしようとする方が悩むより早いと思います。

休日の勉強でも、業務の中での研究テーマでも良いので、ぜひ、ご検討ください(別にRPAベンダーの社員でもないんですけども)。

 

クラウドエンジニアのクラウド考

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成長する市場、クラウド

クラウド、黙ってても市場は3年で2倍になるんですって。

 

cloud.watch.impress.co.jp

矢野経済研究所では、基幹システムはいまだオンプレミスの割合が高く、クラウド移行に伴う商談規模も大きく、クラウドベンダーにとっても市場開拓のポテンシャルが非常に高いと説明。そうしたことなどから、国内クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は、今後も高い成長を継続。2016年から2022年までの年平均成長率が29.3%で成長し、2022年には8400億円になると予測している。

 

2019年が4200億とあり、きっちり倍ですね。

経済成長が止まる日本において、珍しい成長市場だと思います。でもそんなに人気は感じられないなあ。そういえばクラウド基盤って、GAFAM(Google/Amazon/Facebook/Apple/Microsoft)が牛耳っているイメージが強いと思いますが、あとSalesForceもか。ただ、彼らはプラットフォーマーであって構築する、運用するというところまでサービスの一部と考えるとたくさんの日本人がいて、私もその一人です。

この伸び方はその通りです。そんなに営業努力が無くても仕事が舞い込んでくる状況で、しかもクラウドの特性上生産性が高いのでねらい目だと思います。が、あんまり人気はない気がしますね。ニッチな雰囲気もあるし、あとは基盤に携わると本番運用のプレッシャーも強く、システム障害に巻き込まれると休みも夜も関係なし。実際そういう側面もあるので、敬遠されてるのかな。

ちゃんとリスク管理すれば、かなり便利なものですけれどもね。

 

クラウド、個人的には

記事の中にはSAPまでやってくるという話があって、確かに世界を席巻しているSAP R/3が2025年でサポート切れになるところでクラウド化が進むと言われています。SAP S/4HANAにするならクラウドかと。SAP自身もIaaSを持っているくらいで、このあたりに成長のヒントがあるらしいです。私は関わる気がないんですけど、怖くて。

個人的な意見と強調しておきます。オンプレ、そしてクラウドといくら関わっても、やっぱり障害ポイントというのは残るんですね。今後、基幹システムがどんどんクラウドに行くと言われていますし、ベンダーが後押ししています。これまでのクラウドは情報系やWEBシステムだったが、今後はインターネットにすらつながない基幹システムがクラウドにやってくる、と。でも、それって本当に大丈夫なのかな、と。止まったり無くなったりすると、企業経営そのものに直結するシステムですからね。

どうも、オンプレやクラウド、いわゆるオープン系システムをやればやるほど、メインフレームの堅牢さが目に付くんですよね。

 

techtarget.itmedia.co.jp

メインフレーム離脱企業はx86サーバに移行した理由を説明しているが、メインフレーム擁護者たちによると、そうすべきでない理由もたくさんあるという。

 米調査会社Clabby Analyticsを経営するジョー・クラビー氏によると、メインフレームから仮想化技術を搭載したx86サーバに移行するというトレンドは、実際には後退だという。

 

そう、この記事はクラウドエンジニアの私すらうなずくことがあって、メインフレームは時代遅れ、クラウドは時代の最先端ていうのはどこかのベンダーの刷り込みなんじゃないかと思うのです。

最近のメインフレームって、もちろんLinuxは動くし、そのうえでKuberenetes・コンテナが実行できたりします。オールフラッシュなどハードウェア面も最先端。そのうえで、パーツレベルで一貫した設計をして動いていて、保守も手厚いですから、命を預けるならメインフレームかなあと。

 

enterprisezine.jp

 ところでハードウェアの話題と言えば、ここ最近ちょっと気になっているのがメインフレーム。その代表はもちろんIBMのフラグシップマシンIBM Zだろう。言わずもがな、これは「レガシー」とも表現されるマシンだ。クラウドの時代に何を今更メインフレームかと思われるかもしれない。とはいえIBMは、2018年4月にZの新モデル「IBM z14 Model ZR1」および「IBM LinuxONE Rockhopper II」を発表している。これらは、「クラウドコンピューティングに最適な最新のメインフレーム」と位置づけられている。

 

そりゃあ、メインフレームなんて触る機会はないんですが。例えばメインフレームでクラウドサービスを運用してくれるIaaSが現れたら、興味がわきますね。

 

雰囲気でクラウドを選ばないこと

雰囲気でインフラ基盤を選んだら痛い目に遭いますし、私はそういうのに巻き込まれたくないんですよ本当に。ちょっとくらい落ちても大丈夫なくらいでクラウドに関わらないと、ユーザーもベンダーも心も持ちません。

ツイッターのトレンドでも、たまにシステム障害によるサービス停止が話題となりますが、まあ隠れたクラウドの障害はちょくちょく発生しているんです。移行していないユーザーはまだそんなこと知らない。

全てのワークロードをメインフレームでやろうとすると無駄が多いのですが、せめて、重要な基幹システムはできるだけメインフレームを使った方がいいんじゃないかあ、って、一介のクラウドエンジニアはそのように思います。

 

IIJの新データセンターに見る現代社会の悲哀

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データセンターの話題

データセンターの寿命は30年と言われています。

設計が古くなるのもそうなんですが、そもそも電源や空調周りの既存部品の保守ができなくなるんですよね。したがって新しい機材と入れ替えるのですが、ツギハギになってどんどん維持コストが増えてしまうし新しい技術の進歩も速い。そのうち、建て替えた方がいいなんてことになって、1990年辺りに建てられたデータセンターは軒並みスクラップになっていく状況です。

多分に、インターネット誕生以降、特に2000年を境にもっとデータセンターが増えていますから、2030年~2040年あたりが一番修羅場になりそうかなと思います。ミレニアム。

さて、ITインフラ屋なのでデータセンターの話題はごちそうなのですが、国内の雄IIJが新規オープンさせた千葉県白井市のデータセンターを見て、少し現代社会の悲哀を感じてしまいました。

 

japan.zdnet.com

インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月10日、千葉県白井市に建設していた新たなデータセンター「白井データセンターキャンパス(白井DCC)」が完成したと発表した。5月1日に稼働を始める。IT人材不足や働き方改革に対応するために、ロボットによるデータセンター運用の無人化、自動化に取り組む。

 

自動化

フィジカルロボットは、ALSOKの警備ロボット「REBORG-Z(リーボーグゼット)」を導入。業務は、来訪者の受付、案内、および屋内外の巡回など。

上記の記事、中段に竣工式の写真がありますよね・・。

真ん中に、ALSOKの警備ロボットがいるんです。

このデータセンターの象徴です。警備はロボットがやるんですって。

ゼルダの伝説的に言えばガーディアンですね。悲鳴や口論が起こると察知して、レーザーで焼き払う・・のではなくて防災センターに通知するんですって。普段は自動ドアやエレベーターも使って案内までしてくれるって。200キロあるから盗まれもしない。そもそも走行移動するらしいので、多分人間が走るより速いんだきっと。

絶対、隠し機能でレーザービームを打ち放つんだ(嘘)。

ということは、この建物、警備員の雇用は相当に少ないということですね。

 

また、以下の記事だって目を引きます。

ソフトウェアロボットは、IIJの関連会社であるIIJエンジニアリングがRBA(Run Book Automation)、RPA(Robotic Process Automation)基盤により、入館申請業務、障害発生時の復旧対応など、ITオペレーション業務の自動化を実証する。

 これね、IT人材不足という理由になっていますけど、要は警備員と事務員をロボット化したということです。こちらも事務員の雇用がない。

 

千葉県白井市に、これまで生まれるはずだった雇用が生まれないということ。これはIT人材の不足ではなく、生産性の低い職業の削減です。

これは、悪いことではなく、文明の進化であると思います。

が、データセンターに行くとガードマンがいつも立っていて、
「お疲れ様です~」って話しかけると
「今日はどういった御用ですか?」と言われ、
「サーバーの構築できました~」(ニコ)
「承知しました、受付までどうぞ」(キリッ)
----みたいなコミュニケーションが無くなる。

もしくは、受付の方に、
「入館証見せてください、こちらに記入して下さい」(塩)って言われ、
「はい、お願いします」って記入して返すと、
「こちら入室カードです~」(ニコニコ)
「はい~」(お、ツンデレか)
のようなこともなくなるということですね。RPA、お疲れ様。

 

わたしの夢が素通りする

私は超田舎の出身で、子供は中学校もしくは高校まで地元にいて、あとは都会に行って地元を捨てる・・ということを経験しています。地元は今や、子供より高齢者の方が多くなり、病院と老人ホームが主業らしいです。

地元にいても仕事ないし薄給だし、ということで都会に出てきたのですが、データセンターなんかは田舎でも十分食えるよなあ、回線さえ引けば。発電所が近くにあったし土地も安いし広いし。そうすれば、データセンターの運用でたくさん人が雇用できるし、インターネットの時代そうならないかな、なんて夢見てたんですけど。

もはや、そんな夢なんて素通りして、警備員も事務員もロボットですよ。ガチロボットです。

アマゾンの倉庫もロボットが占拠していると聞きますが、田舎は田舎のままロボットが住むようになるんですかねえ・・(悲哀)。

 

日立は武蔵野に協創の森を作った。ところが「協創の森」商標が「係属・出願・審査待ち」。

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協創・・、創生・・、イノベーション

タイトルを見てびっくりして、三回くらい読み返しました。日立もすごいことやりますね。

 

japan.zdnet.com

日立製作所は4月11日、東京・国分寺市の中央研究所にイノベーション創生の新拠点「協創の森」を開設、報道機関に公開した。1942年創立の中央研究所は武蔵野台地の原生林に囲まれているが、新施設はその名称の通りに自然に囲まれた環境にある。

 

このプレゼンの絵もすごいですね・・。

今までのSIとの違いと言えば、森にお客様を呼んで缶詰にすることぐらいですかね・・。

これできるお客様って、まだ相当余裕のある会社だろうなあとひとしきり思う。

 

ランディングページができてると思ったら注意

森作ったら、そりゃあランディングページもできますよね。

 

www.wakuwakunomori.co.jp

1+1=無限大∞大調和 コラボレイティブWEBサイト 『協創の森』
ワークショップの企画開催やWEBギャラリーのご案内をしています。

 

あれ、なんかおかしいな?と思ったら・・・

注意です!。こちら、全く日立のそれとは関係がありません。

こちらはこちらで活動されているようです。

 

よくあるご質問|『協創の森』

『協創の森』わくわくワークは、愛知県春日井市のJR勝川駅前(北口)の勝川ルネック7階、カルチャールームで開催しています。その他、わくわくメンバーさんの主催する教室や講座については、各案内の開催場所をご確認ください。

 

日立もネーミングかぶりは気にしなかったのかなあ‥。

 

改めて日立のニュースリリースをチェック

今度は、日立のサイトから探してみると、到着。

 

www.hitachi.co.jp

日立は、SDGsやSociety5.0 の実現に向け、オープンな協創による新たなイノベーション創生を加速するための研究開発拠点として、東京都国分寺市にある中央研究所内に「協創の森」を開設しました。

 

うーん、結局?登録商標調べるかということで、特許情報プラットフォームに行きました。

 

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特許情報プラットフォーム

 

お、日立が2019/1/24に出願していて、「係属・出願・審査待ち」になっている・・。出願日がえらく直前だなあ。

 

で、これ、2016年に日立が今回の件の計画をニュースリリースで出しているのですが、表現がちょっと違うんですよね。

 

www.hitachi.co.jp

株式会社日立製作所は、このたび、社会イノベーション事業を支える顧客協創型の研究を加速するため、国分寺市にある中央研究所内に、研究棟「協創棟」を新設します。武蔵野の自然に囲まれた環境のもと、お客さまと日立の協創関係を発展させる「協創の森」をコンセプトに、中央研究所を顧客協創型の研究開発拠点として整備していきます。「協創棟」には、お客さまのニーズに合わせて迅速なプロトタイプ開発ができる最先端の研究設備や300名規模を収容する国際会議場を設置する予定で、世界中のお客さまとの協創を推進していきます。なお、「協創棟」の着工は2017年9月、竣工は2019年3月となる予定です。

 

2016年段階ではあくまでも「協創の森」とはコンセプトで、研究所内に「協創棟」を作る話だったんですね。

で、完成段階に近づいた段階で、これ「協創の森」がいいよねってことで慌てて商標登録出したってことなんですかね。でも前段の通り、愛知に「協創の森」はあって。でもそっちは商標登録してない・・。うーん。

ややこしいことになってないといいのですが。Google検索だって、トップは愛知のサイトですからねえ・・。

 

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商標、すんなり通るのかなあ・・。

 

日本のIT企業がGAFAMみたいになるわけないだろうというツッコミ

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なぜかGAFAと比較される国内SIer

マクロなビジネス論、特にIT業界の記事など見ると、必ずGAFAとの比較ばかりなんですよね。GAFA、GoogleとAmazonとFacebookとAppleです。最近だとMicrosoftも入れてGAFAMなんて言葉が出てきたんですか、なるほど。

それで、NTTや富士通、NECなどの大手SIerがGAFAMと比較され、待遇がなってないと話題になっています。GAFAMが巨大な利益を上げていて、優秀な人材はどんどん引き抜かれている・・と。また、逆に長く働いたとしても、45歳くらいになってリストラ対象。

私は日本のSIer含むIT企業が、GAFAMと同じ土俵で戦うのは非常にナンセンスな話だと思うんです。全然役割が違うんです。戦う対象ではないし、GAFAMで通用する人材であれば、どうぞどうぞ転職して活躍してください、です。

日本の強さって、そもそも製造業でしょう。車がやたら強くて、そして精密機械が強い。車なんて、アメリカは負け組です。一応データは貼っておきます。

 

car-moby.jp

【第1位】 VW 1074.2万台 (前年比 0.043%)
【第2位】 ルノー・日産・三菱連合 1060.8万台 (前年比 0.065%)
【第3位】 トヨタ 1038.6万台 (前年比 0.021%)
【第4位】 GM 960万台 (前年比 -0.041%)
【第5位】 現代-起亜 725.1万台 (前年比 -0.07%)
【第6位】 フォード 660.7万台 (前年比 -0.01%)
【第7位】 ホンダ 518.8万台 (前年比 0.043%)
【第8位】 FCA 474万台 (前年比 0.004%)
【第9位】 PSA 363.2万台 (前年比 0.154%)
【第10位】 ダイムラー 327.4万台 (前年比 0.092%)

 

もともとインターネットやらSNSやらはIT業界の住人が多いので、なんだかGAFAMにしてやられているみたいな印象が強いと思うのですが、日本と言う国は製造業の国です。

 

IT業界の特性を見極める

日本のIT業界は、世界一流の製造業様に、外国の一流のIT技術をローカライズして使っていただくためにあるものだと考えています。まさか、GAFAMになれると思ったら大間違いです。日本のIT業界の経営者が、勘違いして外国に進出したら、全然鳴かず飛ばずなんて、毎年のように聞くお話です。

なぜ、GAFAMが世界のIT業界をリードできるかって、市場がもともと世界だからです。世界のスタンダードを作れるから、その技術が優秀であろうとなかろうと利益の数字が桁違いなのです。その利益でまた世界中から優秀な人材を引き入れるから、成長がスパイラルするのです。

日本は島国で、日本語を重用して、平成だ令和だとローカルルールを尊び、おもてなしを誇りとし、全体主義の強いお国なのです。学校で英語を習ってもろくに英語が話せない人のほうが多いのです。世界のガラパゴスなので、逆にユニークなものを生み出す強さが生まれ、製造業ではこの通り部類の強さです。日本が長い間侵略・併合されず、独自の国家を築けているのも、この独自文化が影響していると考えます。

さて、一方IT業界において日本が独自性を発揮しようと思っても、マイナスからのスタートです。グローバルスタンダードを作るのが本当に苦手な国です。それより、グローバルスタンダードを輸入して、強い強い日本の製造業様によりよく使っていただく方が理にかなっていると思います。

 

海外に目を向ける国内SIer勢だが

日本の製造業様から頂いたキャッシュで、国内SIer勢がやろうとしていることは総じて海外展開です。海外の目ぼしい企業を買い付けてグループ化するのです。4月に入ってからもいろいろ買ってますね・・。

 

www.nikkei.com

NECは、英国のIT(情報技術)サービス子会社ノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS)が同国で医療機関向けソフトなどを手掛けるエミスグループから糖尿病の合併症の検査事業を買収したと発表した。買収額は890万ポンド(約13億円)。NPSは同種のサービスを主にスコットランド地域で展開している。買収をきっかけに英国全土のほか、インドや北欧への進出を目指す。

 

www.nikkei.com

NTTデータは、米国の公共機関向けにヘルスケア関連のITサービスを提供する米コグノサンテのコンサルティング子会社を買収したと発表した。北米の子会社を通じてコグノサンテが所有するコンサル子会社の全株式を取得した。取得額は非公開。

 

さて、中期経営計画には「海外売上高比率・・%以上」みたいなことを書くというところも横並びなのですが。私が心配するのは国内です。

繰り返しとなりますが、国内SIerの利益の源泉は、国内製造業様の役に立つことです。私の感覚では、国内事業の方を切り崩されつつあると思っています。下記で書きました。

 

www.orangeitems.com

文中では外資系コンサルティングファームが切り崩しているように見えるのですが、いや、もしかすると小回りのある中小のSIerに切り崩されているようにも思えるのです。

 

経営陣は成長しないと株主に叩かれるから必死だとは思いますが、日本の現場を日本らしくもっと洗練させてほしいものです。

 

「経営者が新規事業を失敗させてしまう7つの罠」←これは良い資料、感想をいろいろ書いてみた

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新規事業を行うにあたっての心構え

スタートアップでベンチャーで、ではなくとも新規事業に携わる方は多いと思います。特に4月になって年度替わりの会社も多いので、さてスタートだというシーンも多いのではないでしょうか。

新規事業を行うにあたって、良い資料を見つけたのでシェアしておきます。ビジネスモデル自体はともかく、新規事業の立ち上げ方は必見です。

 

speakerdeck.com

 

金言だと思うこと

わたしも新規事業を立ち上げた経験があるので、強く共感した部分を記載しておきます。

 

金言: 一度作っただけでは価値がない

こちら、単にフロービジネスよりストックビジネスが優れているということを言っていると思う人が多いと思います。ストックビジネスは、基本的に毎月売り上げが入ってくる設計なので事業が安定することはたくさんの人に知られているところです。IT業界であれば、SIで初期構築するより保守のほうがうまみがある、ということに凝縮されるのでしょう。最近はユーザーも保守がばかばかしくて値下げ要求が強くなっています。

この話。そんな簡単な話じゃないと思っています。もし優れた市場、成長性のある市場をつかんだ場合、初期構築の話が途切れないんですね。一見フロービジネスなのですが引き合いが途切れない。フロービジネスだって継続的に案件がこなせ続けるのであれば結果的にストックビジネスと何ら変わりません。

したがって、一発当てて次がこないフロービジネスは危険だというのはわかります。たまに一発当てて業務拡大したら後が続かなくて経営危機、みたいな話がありますよね。それです。

拡大する市場に乗ること、これが大事だということです。単にストックビジネスを礼賛しフロービジネスを軽視する人がいますが、これは盲点なので気を付けましょう。問題は成長する市場でシェアを持てるか、これが大事です。

 

罠:プロダクトオーナーが不在がち

新規事業の責任者は社長のようなもので、ビジョンでありルールブックであり地図です。事業が軌道に乗るまでは船長としてデンと構えてないと、すぐに座礁します。

また、最悪のケースで船長が直接オペレーションできる能力を持っている必要があります。わかりやすい一文にまとめるとすれば、船長一人で全て回せるビジネスこそが王道ということです。それを拡大していく、という側面で考えると、特に初めのうちに責任者が不在がちになるというのは致命的です。

一方、不在であっても、オンラインでチャットや課題管理システムなどを使ってつながっていれば補完できますから、オフィスに這いつくばる必要はありません。

 

罠:事業のコアをアウトソースしようとする

これは、わかりみがすごい。。

特に、既存の事業会社で新規事業を立ち上げたときに、既存事業の上席などから「今後急成長したときに備えてパートナーを早めに捕まえたほうがいいんじゃないのか」「責任者に属人化しているようだが、リスクではないのか」みたいなことを言われるケースが非常に・・・多い。

安定している既存事業だとアウトソースするのは常識かと思うのですが、なんで事業の初期の初期にアウトソースして、商売の肝を他社の技術者に教えなければいけないんだということです。私も断固拒否したことがあるのですが、新規事業においては自社メンバーで固めるべきです。一番おいしいところを、他社に教えて最後は持っていかれるのがオチです。

 

罠:現場や顧客にヒアリングにいかない

新規事業において、当初につくユーザーは神様です。彼らがないと立ち上がりません。その神様に会いに行って、すごく満足しているのかそうではないのか、というのは今後を占う上での大事な指標です。

不満を放置すれば間違いなく近い将来関係が終了します。迅速な改善を続けていくことが重要です。それでも笑顔にならないのであれば、その商売はハズレです。

一方で、すごく満足いただけている場合。またそれが複数のユーザーにまたがっている場合は、ユーザーが抜けません。しかも往々にして満足頂いている場合は維持に工数がかかりません。不満のときほどリカバリーに力を使いますよね。

ということで、ユーザーの顔を見てこのまま新規事業の拡大をめざすのか、それとも拡大に問題があるのか、一番重要なセンサーですので利用するべきです。

 

罠:優先順位を決めない、全部ほしがる

いわゆる選択と集中ですが、初期にこれをやるべきです。

売上が欲しいばかりに、ビジョンとは関係ない仕事まで受け取ることがあります。社内外のいろんな付き合いで受けざるを得ない仕事というのがあります。これが成長を阻むリスクポイントになります。事業のコアじゃないことをするわけですから、生産性も悪ければ横展開もできません。したがってスタッフの工数だけ取られて、コア事業の拡大ができない。

これ、実話ですので気を付けましょう。毒まんじゅうってヤツです。

 

金言:新規事業には人が足りないくらいがちょうどいい

これは勇気づけられる言葉です。

伸びているときは人が足りない恐怖をおぼえるわけですが、急に「凪(なぎ)」になることがあります。年末とか連休前などは急に仕事が減ることがあります。もしくはもっとロングで半年くらい、仕事の波でたまたま仕事が減ることがあります。このとき抱える人件費はジャブのように効きます。暇なスタッフが数カ月目の前にいると、それはそれで胃がキリキリしてくるものです。

その期間を耐えるために、人は少ない方がいいです。仕事が増えてから、人を増やすくらいでちょうどいい、わたしも今のところそう思っています。

本当に首がまわらなくなったら、それはそのときかな・・。

 

 

罠:既存事業と数字で比較をする

ほんとこれやめてほしい。既存事業が売上100億で営業利益率が1%で営業利益が1億なんていうあまり生産性の高くない事業をやっているとして、新規事業を初めて営業利益率を向上させようなんて企業はとても多いのではないでしょうか。

で、既存事業をやっている人たちは、自分たちは年間100億回しているんだぞという顔をするわけです。新規事業で年間1億で、営業利益率10%で回して営業利益1000万を達成したとします。彼ら、100億こっちはやってるのに1億かみたいな目で見てくる・・(人もいる)。

よくよく見ると、新規事業をこのまま10倍にすれば、営業利益額(1億)では並ぶんですね。売上なんて既存事業の10分の1でよいということになります。

新規事業の立ち上げ時に、数字がスカスカなのでなんとなく肩身が狭い思いをすることが多いと思いますが、ほんとそれってナンセンス。

あの、新規事業立ち上げ時の疎外感ってどうにかしてほしい。100億はともかく、既存事業を回す人数ってすごいので、マイナー感が半端ない。

 

これぐらいにしておきます。ニ三、わたしと意見が違うところもありますのでそのあたりは割愛してあります。

 

新規事業は良きものなり

・・ということで、春から新規事業!という方も多いかと思い、わたしなりの感想をまとめてみました。

小さくやって、小さく失敗してクローズするのも良い経験になると思いますので、絶対成功しないとゼロになるというものでもありません。

うまくいかない既存のことを続けても、うまくいかないままですので、ぜひ新規事業を手掛ける機会があればトライしていただきたいと思います。自分自身の成長を促すことは間違いないです。

 

 

RPA女子は誰得か

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RPA女子プロジェクトが順調に勢力を拡大

一年前、RPA女子プロジェクトという話を皮肉った記憶があって。

 

www.orangeitems.com

RPAをネタに女性だけに派遣のスキルパスを作るなんて、なんと男女平等実現に逆流しているのかと感じた次第です。

 

ところが、このRPA女子プロジェクトは順調に勢力を拡大していて、なんだかいい話みたいになっているそうです。

 

cloud.watch.impress.co.jp

「今回のRPA女子プロジェクトは、昨年(2018年)5月、RPAテクノロジーズ、MAIAに加え、V-CUBE、人材紹介業のWarisの4社が協力して起ち上げた。『復職したいが、家族環境などの問題でなかなか復職できない』と考えている人材が、活躍できる場を作ることを狙い起ち上げている。RPAは企業のバックオフィスや日々の業務効率化を狙ったものだが、実際に働いた経験から、『ここを自動化すれば作業効率があがる』といった時間を持っている女性が多く、RPAパーツ開発、サポートの大きな力となっている」

 

もはや、成功事例のように見えてしまっていることから、一歩引いて、この話が誰得なのか考えてみたいと思います。

 

30年前のオフィスの様子

WordもExcelも使えないおっちゃんが部長や課長をやっていて、彼らは日中ずっと会議をやっているか、喫煙ルームでごにょごにょやっているか、もしくは机の上で新聞を広げて読んでいたり、書類のチェックをしていたりします。書類は、派遣の女の子が作ってくれた書類なのですが、いろいろと添削しますが赤ペンです。

そのころは、MOUS試験(今はMOS試験)というマイクロソフトのオフィスの試験があって、これを取ることが活躍の近道だと言われていました。「お、今度の子、ワードもエクセルも使えるんだって、やるね」なんて。おっちゃんはパソコンどころか、ブラインドタッチもできないので、まあ需要と供給が一致していたということですね。

今や、部長や課長がワードやエクセルが使えないなんてありませんよね。使えない世代と言えば経団連の会長くらいの大物だったわけですが、それももう去年で終わりました。

 

nlab.itmedia.co.jp

 

派遣労働が拡大した1990年代中盤と呼応するように、1997年にMOUS試験が始まったというんですから、これからはワードとエクセル。遅れてパワーポイントもやってきたわけですが、過去を振り返るとそんな状態だったわけです。

そして今、パソコンが使えるのは、派遣社員にとって何のアドバンテージでもないということですね。それで、派遣会社が目をつけたのがRPAということになります。

 

RPA女子は誰得か

今後、使えるかどうかわからないRPAスキルを正社員に学ばせるのはまだリスク。とりあえずRPAが使える派遣を雇ってみて、様子を見てみよう。

若い女性がオフィスにいれば職場も華やぐし(ここは私が嫌いな考え方だけど)・・ということで需給が一致したということなんでしょうね。

で、RPAは今後、ワードやエクセルと同じように必須スキルとなっていくとします。

RPAを知らない部長や課長・・、この人たちは今のうちは上段に構えているのですが、結局若い人から順番に覚えていって、「老害」扱いされるわけです。部長ってRPAできないんですね、私でやっときますよ〜、なんて言われてどんどん仕事を部下が持っていって、気がついたら肩たたきされる。

例えば今の時代に、パソコンができない上司があなたの上についたらどうしますか。早く職場を去れ、と思いますよね。全く同じことがRPAでも起きるということです。もちろん全ての人々が駆逐されるわけではなく、一緒にRPAを学ぶ頭の柔らかいベテランがむしろのし上がっていったりします。今の出世している人はみんなワードエクセルパワーポイントが出来て当たり前、ということですね。

・・・ということで、30年前起きたことが、今RPAに乗り替わって起きている。そんな解釈でいいのではないかと思います。乗った人が得をするし、乗らない人が損をする。

 

cloud.watch.impress.co.jp

トッパン・フォームズ株式会社(以下トッパンフォームズ)とトッパン・フォームズ・オペレーション株式会社(TFO)は9日、UiPath社のRPAツール「UiPath」の研修サービスを、4月22日より開始すると発表した。

 

こんな研修サービスも始まったし、ほんと似たような状況ですよ。

 

ITインフラは周回遅れでちょうどいい

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クラウド界がざわつく2つのニュース

Googleからとんでもないニュースが2つ出ていますね。

 

b.hatena.ne.jp

Googleはサンフランシスコでイベント「Google Cloud Next '19」を開催。4月9日(日本時間4月10日未明)に行ったオープニングキーノートで、MongoDB、Redis、Confluent、Elasticをはじめとするオープンソースソフトウェアベンダとの戦略的提携を発表しました。

提携相手はConfluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsの7社。

 

www.publickey1.jp

Googleはサンフランシスコでイベント「Google Cloud Next '19」を開催。4月9日(日本時間4月10日未明)に行ったオープニングキーノートで、Kubernetesをベースにアプリケーションのマルチクラウド対応を実現する新サービス「Anthos」の提供開始を発表しました。

 

考察

AWSが、New Normal(新しい標準)と言う言葉を使い始めたころから話はややこしくなったと思っています。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 Cloud has become the new normal(クラウドは新しい標準になった)――。

 これは2014年11月に米国ラスベガスで行われたAWS(Amazon Web Services)の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2014」で、同社シニアバイスプレジデントのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏が発したメッセージだ。

 

クラウドは今後の標準だ、というだけならまだ穏やかなのですが、AWSの物の言いっぷりから見ると、クラウドとはAWSそのものです。AWSはNew Normalだ、というふうに業界に伝わり、非AWSはNo Normal(標準じゃない)であるかのような雰囲気が一気に広まったと感じていました。

クラウドを使うのはわかるけど、なぜAWSじゃないのか?、なんてマインドがユーザー企業に広まったのがこの頃でした。

ここにきて、Googleがマルチクラウドを推し進めたりIBMがRedHatを買収するなど、本当の標準とは開かれたものであるべきだと言う動きが活発になってきました。

オープンソース勢も、AWSに不満たらたらな状況で、このGoogleとの提携話です。

AWSからすれば、このGoogleやIBMが言うマルチクラウドの動きは、全く面白くないはずです。もし実現すればシェアを奪われるだけです。AWSだけで動くワークロードが多数存在することが成長の源泉だったのに。

この前、IBMがWatsonのコンテナをAWSでも動かせるようにするという発表をしていました。

 

www.nikkei.com

 

ついでに、Db2(IBMのRDBMS)もAmazon RDSに乗っけると。

 

www.atmarkit.co.jp

 

こうやって俯瞰していくと、ここから3年くらいで、どこのクラウド基盤でもワークロードを自由に動かし、移動できる。そんな世界を作るために大きな資本が動いていることを見透かすことができます。

 

Kubernetesが話題となっていますが、まだこのKubernetesだけでマルチクラウドを志向するのは力不足です。私も使って思いました。AWSではEKS、AzureではAKS、GoogleではKubernetes Engine、IBM CloudではIKS、いろんな派生が生まれそれぞれで使い方をおぼえなければいけません。また、オンプレミスやVMwareとの世界とは隔絶した技術ですので、コンテナにする?モノリシックにする?みたいな議論で二者択一を迫られ、一気に世の中はスローダウンしたように見受けられます。

使いやすかったら、急激に世界は動きますからね・・。一部の先進的な人が使ってみたけど、うーん、これは誰でも使いこなせる代物じゃないかな・・、なんて雰囲気です。

こんな記事が話題になるくらい。

 

yakst.com

 

今回のGoogleのAnthosの動きは、Kubernetesを使って本当にGoogleがやりたかったことになると思います。習得に時間と手間をかけなくてもマルチクラウドができること。

また、IBMはRedHatの力で同じようなマルチクラウドの仕組みをリリースするとは思いますが、両社のソフトウェア資産が豊富なためソフトウェアを押し出したアプローチをしてくるような気がしています。

GoogleやIBMなどシェアが劣っているクラウドベンダーは、どのクラウドでも動く、つまり基盤が平準化すればするほど、リバランスされてお得なのです。

 

個人的には

・・・と、こんな状況で非AWSな私は今後の動きが楽しみではあるのですが。シビアな見方もしておきます。

今すぐAnthosを商用環境に取り入れたり、社内環境に組み入れたりするのは時期尚早だと思います。

本当に市場が枯れて、動きがなくなってからぐらいでちょうどいいと思います。

新しい技術は発表は華々しいのですが、市場競争に負けた時はひっそりいなくなります。飛びつくとろくなことがありません。

もちろん研究段階として、いろいろと試してみて、とても優れたテクノロジーであれば次のステップに入るのもいいでしょう。その感覚が優れていれば、そのテクノロジーの第一人者となりリーダーとなることができます。AWSでもそんな人や会社がいらっしゃいますよね。

今のところ仕事で使うなら、クラウドもIaaS(仮想OS、ロードバランサー、ファイアウォール)まで。下記でも書いたのですが、サービス終了リスクが本当にいやらしい。

 

www.orangeitems.com

 

ソフトウェアの力は信じているのですけど、SaaSやPaaSは信用していない。

インフラ基盤と、ソフトウェアはあくまでも独立 / 分離すべきです。このインフラ基盤じゃないと動かないソフトウェア、なんて不健全。

したがって、ここから数年で、「アプリケーション / ソフトウェアがどのクラウドでもオンプレでも動く」を標榜するマルチクラウドがどんどん進化するとは思いますが、強い気持ちを持って、様子見としておきます。少なくともエンドユーザーを巻き込んではいけないかな、と。

それまで、IaaS屋を決め込みます。

 

クラウドでソフトウェアをサービスとして利用するにあたって注意すべきこと

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便利なクラウドサービス

世の中はクラウドサービスにあふれています。便利ですよね。クラウドサービスと言っても仮想サーバーなどを提供するIaaSは当然のことながら、最近ではSaaS(Software as a Service)が大流行りです。一時期PaaSとSaaSを分ける習慣があったものの、結局プラットフォームすらソフトウェアで動いていますから、SaaSの枠に全て入ってきたような気がしますね。

昔のインフラ設計は、OSにミドルウェアをインストールし、ネットワークを接続。そのうえでアプリケーションを構築するというスタイルばかりでした。しかし結局のところミドルウェアを使えさえすればいいので、クラウドのポータル画面からボタンを押していくと構築済みのOS+ミドルウェアが出来上がる。ユーザーはそのミドルウェアだけと使えばいい、という形態が出来上がりました。例えば、Amazon RDSでは、いろいろなデータベースソフトウェアを、OSから構築することなく利用できます。導入作業を取っ払ってサービスとして様々なソフトウェアが利用できる。これがクラウドサービスを利用する目的の一つにもなっているほどです。

 

クラウドサービスのリスク

さて、このクラウドサービス。便利なのですがリスクもあります。特に私が大きなリスクだと思うのが、「突然のサービス終了」です。

クラウド基盤が用意するいろいろなサービスを組み合わせて、俊敏にサービスを作ることができる。構築の時はバラ色なのです。しかししかし、ある日の一通のメールで愕然とします。サービスが終わるというのです。

例を挙げましょう。

 

NEC

jpn.nec.com

お問い合わせいただいたNEC Cloud Authentication (NCA)はサービス終了のため新規申し込みはできません。代替サービスとして以下を紹介します。大変ご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解のほどよろしくお願いいたします。ご不明点がございましたら、下記問合せ先へご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

Equinix

rss.ncloud.equinix.co.jp

平素はマネージドクラウドサービス Nシリーズをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。

2018年4月19日にもご連絡差し上げている件となりますが、サービス終了日まで残り3ヶ月となりますので改めてご連絡差し上げます。
現在ご提供中の「クラウドストレージ」は、2019年1月25日をもってサービスを終了させていただくこととなりました。
これまで長らくご愛顧賜り、誠にありがとうございました。

 

IBM

www.ibm.com

サポート終了日について

新たにインスタンスをプロビジョニングすることはできません。

既存のインスタンスは、サポート終了日までは引き続きサポートされます。

サポート終了日:2018年9月28日

9月28日までは、これらのサービスを利用したすべての既存インスタンスはコマンドラインから利用することは可能です
サポート終了日後にはインスタンスは削除されます

 

Microsoft

blogs.technet.microsoft.com

Access Control Service (ACS) は、正式にサービスを終了いたします。現在ご利用中のお客様は、引き続き 2018 年 11 月 7 日までご利用いただけますが、それを過ぎると、ACS サービスが停止しすべての要求がエラーとなります。

今回は、ACS の終了に関する前回のブログ記事 (英語) の補足事項をお届けします。

 

 

サービス終了期限を明記すべきだ

冒頭で、PaaSとSaaSの棲み分けが曖昧になってきたと書きましたが、広義的には全てサービスとしてのソフトウェアと定義することができます。

パッケージソフトウェアの世界では、必ず「サポート期限」を明記するのが業界の慣習となっています。そして次のバージョンに上げれば、サポート期限が伸びる。あるいは製品終了とともに最後のバージョンとなる。したがって代替ソリューションを探す。このように構築時にサポート期限を見ながら使うソフトウェアを決めるものです。

例えば、Windows 7は2020年1月14日にサポートが切れることは有名ですよね。わざわざ今から導入する人はいません。このようにいろいろなソフトウェアはサポート期限をあらかじめ明記していて、自分が使うシステムの利用期限に合わせて設計時にコーディネートするわけです。

ところが、クラウドサービスと言ったらだらしなくて、前章のように良くて1年前、最悪のケースで数か月前にサービスを終了しますと言ってくるのです。

こんなの危なっかしくてやってられません。

 サービスインするときは華々しく永遠にホストするような雰囲気にしておいて、終わるときにはひっそりと、しかもユーザーにはあまり猶予も与えず。

ですから、私自身はIaaSしか信用していないんですよね。そこにミドルウェアを構築するのはあくまでも自分自身が実施すれば、他の基盤でも再構築できる。そのソフトウェアはサポート期間が明記されているので安心です。

Kubernetesですら、バージョンアップが激しいため、各クラウド基盤のマネージドKubernetesサービスもあまり信用していないところがあります。下位互換性を担保して、長期間動作保証してくれるというなら検討するんですけれども。今のコンテナが、5年後のKubernetesで動いているという感覚が持てないです。

クラウドベンダーの誘い文句に誘われて、最先端と思っていたサービスを使ってみたら、数年後に「サービス終了のお知らせ」が届いて残念なことにならないように気を付ける。それと同時に、クラウドベンダーはサービス終了期限を明記してほしいですね。ソフトウェア as a Serviceを名乗るなら、現在のソフトウェアの文化を継承してほしいものです。

 

 

VTuberは『声優スタッフ』なのかという哲学的命題

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VYouTuberが問題提起

VYouTuberグループの「ゲーム部」が運営元と揉めている件、ニュースになっています。

 

kai-you.net

VTuberグループ「ゲーム部」解散疑惑騒動に進展

声優スタッフとされる人物が過酷な環境・待遇を暴露

運営会社Unlimitedが声明「改善含めて協議中」

 

この「過酷な環境・待遇を暴露」と言った部分について、深堀した記事はこちらです。

 

matome.naver.jp

 

VTuber自体が新しいビジネスということもあり、かつ年齢の若い方が関わっていることも合わせて、就労環境という意味ではかなり未成熟なんだろうと推察します。

内容がすべてフィクションということはないと思われ、いち早く収束し、VTuber界が健康な状態になることを願います。

 

運営元Unlimitedとは

本題に入る前に、運営元Unlimitedを知っておきます。

 

unlimited-ent.co.jp

 

 

・・と、ホームページを見てもあまり会社自体の情報がうかがい知れません。

こちらの求人を見た方がわかりやすいかな・・と。

 

www.careertrek.com

 

VTuber運営会社としてはかなり大手の部類になるのではないか‥と思います。

 

考察

この件自体深刻な問題なのですが、運営元の下記の言葉が気になるのです。

「声優スタッフ」

こちらのUnlimitedの声明は4文からなるのですが、全部の行に出てくる声優スタッフという文字。

VTuberは絵的にはアニメと似ているため、アニメで言うところの声優、という言葉を使ったのでしょうが、果たしてこれで意味は通るのでしょうか。

そもそも、VTuberは特殊な機器をつけてキャプチャーモーションし、表情も含めて「中の人」がコントロールしているはずです。

あらかじめ決められた脚本を使ってアニメーションに声を当てていく「声優」という表現で良いのでしょうか。

ほぼアドリブの世界のVTuberでは、表面上はアニメーションでもそこに「人格」が表現されるのではないか。「人格」を構成するスタッフのアウトプット活動を「労働」だとすると、それに対して人間的な待遇がない、専門性に対するリスペクトがないというのが問題の根本のような気がするのです。

声優スタッフという表現をすることで、声優という定義では表現できない人格の部分が軽んじられていることが、問題を大きくしているのではと思うのです。

 

単に労働環境の問題だけでは片づけられない哲学的な問題が隠れていると思います。VTuberが実装するキャラクターに宿った人格(発言だけではなく、表情や動作も含めて)が価値であるとき、これをどうマネジメントしていくかということです。

俳優とも違うし、コメディアンとも違うし、もちろん声優とも違うのです。

そういう意味では、VTuberはVTuberであってそれ以外の単語はない、ということが正解なのかもしれません。

 

VTuber自体は技術的に発明だと思うのですが、これをビジネス化するならば、コンテンツに人格が宿るという性質に対して気を払わないと、運営企業側が「次世代のIP」としか見ず人格に対する気遣いを忘れてしまうような危険なロジックが潜んでいると思います。