orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

稟議書を作ってみた:個人用PCメモリー増設のための備品購入について(4GBから8GBへの増設)

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稟議書を作ってみた

あまりにも4GBメモリーで消耗している人が多い雰囲気なので、稟議書を作成してみました。昔のPC(特に32bit版OS)を使い続けていてメモリーが4GBで足りている上司を持つと苦労すると思います。

コピペしつつ、現場の状況に合わせて改変いただければと思います。

 

稟議書テンプレート

稟議書名

個人用PCメモリー増設のための備品購入について(4GBから8GBへの増設)

 

調達希望備品

個人用PC増設用メモリー4GB

※種類、入手先については情シス部門にて決定していただく。

なお、増設については自身で行うため作業等は不要

 

予算

10,000円

※Amazon.comにて調べた限りでは、7,000円程度。

 

希望納期

可能な限り早く。

 

申請理由

(1)事務作業の生産性向上のため

現在、個人用PCとして、Windows 10 Professional(64bit)を支給されています。本PCはメモリーを4GB搭載しているのですが、OSを起動しただけで3.5GBを消費している状況です。その後、業務上必要であるWebブラウザを起動しただけで、メモリーがひっ迫してしまう状況です。

(例)
Google Chrome起動後:3.8GB
Google Chromeにて、Gmailを開いた後:4GB
Google Chromeにて、2つ目のタブを開きYahoo! Japanを開いた後:4.1GB
Google Chromeにて、3つ目のタブを開き社内用のSlackを開いた後:4.45GB

上記のように、単にWebブラウザにて業務上必要なアプリケーションを開いただけで、物理メモリの4GBを超過する状況です。したがってメモリーのスワップが発生します。スワップが発生するとPCでの作業すべてにスローダウンが発生し、現在業務の大きな妨げになっております。なお、複数のブラウザ(IEやFirefox、Edgeなど)を試験する場合でも上記と同様のメモリーを消費します。

また、ワードやエクセルでの文書作成作業において、複数のファイルを開き作業をしたいのですが、上記のスワップが発生し作業速度が低下しています。また、インターネット上での調べ事一つであっても、メモリーが枯渇している状態だとページの表示スピードが深刻です。

 

(2)ローカルにおける開発環境の構築を可能にし、開発効率を向上させるため

社内に開発サーバーがあり、こちらでコンパイル・ビルドなどを実施し開発しています。しかし、もしメモリーに余裕があれば、PCローカルにてLinuxの仮想環境を構築しテストすることができます。

これが実現すると、開発サーバーのリソースが部員にて取り合いとならず、品質が一定程度担保されたものだけアップロードし利用することができるようになります。

今後、開発はDockerコンテナ上で行っていく見込みですが、Windows上でDockerを動作させるためには少なくとも1GB程度の空きメモリーは確保する必要があります。現在の状況では(1)の通り、事務作業にすら支障をきたしている状況であるため、まずは8GBへの増強を希望します。

 

備考

SSD換装についても需要があれば書いてみます。

 

ディスク大容量化時代、ファイルサーバーと情報システム部門の憂鬱

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ハードディスクの容量がどんどん大きくなる

たまにはITインフラエンジニアっぽいことを書いてみます。

今、ハードディスクって1本どれぐらい保管できるかご存知でしょうか。

答えは・・・。

 

akiba-pc.watch.impress.co.jp

続いて11月には、NAS向けの10~14TBが出回り始めた。回転数は7,200rpm、バッファサイズは256MiB(メビバイト)で、12TBおよび14TBはヘリウム充填技術を採用。価格(最安値)は10TBの「MN06ACA10T」が税込38,858円、12TBの「MN07ACA12T」が税込46,480円、14TBの「MN07ACA14T」が税込64,778円となっている。

 

14TBです。あの3.5インチのディスクに14TBも入るようになったんですね。

一昔前だとついに1TB到達などと驚いたのですが・・。最近の加速が速い。

 

さて、一気に時を巻き戻して、1999年の時代に戻ります。

同じAKIBA PC Hotline!より、ハードディスク情報の記事。

 

お買い得価格情報(1999年7月24日)

ソフマップ1号店"Chicago"
(5F)Maxtor 91024D4(IDE-HDD,10GB,7200rpm) 17,799円
(5F)Maxtor 91280D5(IDE-HDD,12GB,7200rpm) 18,799円
(5F)Maxtor 91536D6(IDE-HDD,15GB,7200rpm) 19,999円
(5F)Maxtor 91792D7(IDE-HDD,17GB,7200rpm) 22,999円
(5F)Maxtor 92720U8(IDE-HDD,27GB) 35,499円

 

30GBというと、ざっくり言って0.03TBくらいです。これが14TBとなると、467倍です。同じ3.5インチディスクの玉に、467倍の情報が入るようになったのがこの20年の進歩ということになりますね。

そりゃあ動画も音楽もデジタル化されるわ・・と。

 

でもパフォーマンスは上がっていない

でもでも、注目すべきことが一つ。

 

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[画像] NAS向けの14TB HDDが東芝製からも登場、4TB~8TB HDDは特価終了などにより小幅な上昇傾向(4/4) - AKIBA PC Hotline!

 

ハードディスクのパフォーマンスの基礎となる回転数は、7200rpmからずっと頭打ちということです。キャッシュなどの利用で速くなりますから回転数だけでは割り切れるものではないですが、基本的に容量だけがっつり増えて、読み取り・書き込みのパフォーマンスは容量ほどは劇的に上がっていないのです。速さが2倍になる間に、容量が467倍になっているということです。

「1本のディスクのすべてのファイルを読み取る/書き込むまでの時間が、年々急上昇している」ということが言えると思います。

つまり、バックアップを取ること/リストア(戻し)することの難度がどんどん上がっているということです。

例えば、14TBのディスクに、14TB分のデータが保管されているとします。フルバックアップを取ろうとするとかなり大変です。普通にOSレベルでコピーするとおそらく三日ぐらいかかってしまいます。伝統的な差分/増分バックアップならば良いかと言うとこれも良策ではなく、14TB分の現在の情報と過去のフルバックアップの差分/増分を見つけ出すのが長期化しています。バックアップのコマンドを叩いても差分/増分の計算が終わらずなかなか始まらない、というのもあるあるです。

個人利用で、かつ動画保管等、消えても差し支えないものであれば大容量ディスクは利用してもいいと思いますが、ビジネス利用で普通のNASなどファイルサーバーとして使うのであれば、14TBディスク一本というのは非常に扱いにくい・・と思います。

今では、SSDが安くなってきましたので、私なら10本ぐらい並べてRAID5などで大きなボリュームを作りますかね。

情シス担当の人がパソコンに少々詳しい偉い人から、「最近は14TBぐらいのディスクがもう売っていて、これを使えば安い大容量のファイルサーバーが作れるんじゃないか?」 なんて言ってこられる困りますよね。「どうやってバックアップ取るんじゃい、しかも遅いぞ」と反射的に問い詰めたくもなるでしょう(相手がどんなに偉くとも)。

 

RAID1(ミラーリング)はバックアップにならない

あまりハードディスクの使いまわしの経験が無い方は、RAID1(ミラーリング)にすればバックアップを取っていると思われる方がいらっしゃいます。

RAIDコントローラーから両方のディスクに書き込み信号を送るので、2つのディスクは同じ内容です。同じ内容の2本のディスクがあれば、片方はバックアップになるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし。

ハードディスクのハードウェアは壊れていなくても、ソフトウェア的に壊れることがあるのです。例えばパソコンの起動中に停電になるとします。書き込みを行っている途中に停止したとします。そうすると、ファイルシステムのインデックス情報とファイルの中身が矛盾します。そういった状況はOS起動時に確認され問題があった場合はインデックスを矛盾の無い状態に戻そうとします。その結果、ファイルが消失したりします。最終的にはOSが起動できない状態になったりします。

このような状態のとき、ディスクAとディスクBからRAID1が成り立っているとして、両方とも同じ状態ですから、両方とも壊れてしまいます。つまり、ソフトウェア的に壊れると、両方のディスクが同時に壊れてしまうのです。

ハードディスクが物理的に壊れた時のスペアとしてRAID1は機能しますが、バックアップはRAID1のディスク群とは別のディスクか、もしくは別のコンピュータのディスクに取るべき・・というのが鉄則です。

RAID1(ミラーリング)は決してバックアップではない、というのがこの世界の常識となっています。

 

いびつなストレージまわりのアーキテクチャー

ハードディスクが、振動に弱く壊れやすく読み取り・書き込み性能に大きな問題を抱えながら容量だけは巨大になっていく。

SSDは、大容量化と低価格化が進み、ハードディスクをいずれ置き換えるかと思ったらハードディスクの容量の拡大のペースの方が上でなかなか代替とはならない。しかも、耐用年数がハードディスクより短い。

その状況で、不摘発性メモリーという電源が停止しても消えないという、ハードディスクとメモリーの間の記憶装置の開発が進んでいます。ストレージの未来形はこれなのかな‥と思いますが、これもまた進化には長い時間がかかるのかもしれません。

決め手を欠く中、個々人が扱うデータの容量はどんどん肥大化し、それを保管するファイルサーバーは非常に醜いシステムになっていると、見てて思います。クラウド型ストレージがあるじゃないか、と考えるのは早計で、インターネット経由で使うストレージはダウンロード/アップロードスピードが遅く、生産性に大きな影響が出ます。きっとローカルで保存をしてそれを同期を取って使うのが主流でしょう。しかし、それは企業のファイルサーバーの一般的な使い方ではないのです。Drop BoxやOne Drive、Google DriveやBOXで、企業活動が最適化できるかと言えばいろいろと解決しなければいけない問題が多々あります。

やはり、LANで、オンプレで・・・大半の企業のファイルサーバーはそんな状況です。そしてクラウドに持っていくのはインターネットがボトルネックになってできません。

 

本件、私の中では答えが出ていません。なのにファイルサーバーは必要で・・。クラウド化したいと山のように要望はいただくけれども、思い切ってそれは今ではありません。クラウドはバックアップ用途に使うのが今のところベストプラクティスです、と。

5G時代になれば少しは変わるんですか・・ねえ・・(困)。

 

AWSは大丈夫か、re:Inventの記事を見て

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re:Inventを見て思うこと

AWSの年次イベントであるreInvent 2018がラスベガスで開催しました。

 

japan.zdnet.com

Amazon Web Services(AWS)の年次イベント「re:Invent 2018」が米国時間11月26日、ネバダ州ラスベガスで開幕した。事前登録者数は5万人を超えると見られ、年々規模が拡大する同イベントの盛況ぶりを反映するかのように、インフラをテーマにした初日夜の基調講演では、過去に類を見ない規模の新機能が発表された。

 

今回の新機能は以下の通りです。

aws.amazon.com

 

で、きっと間もなく、AWSを扱う企業の関係者が企業ブログ等で「こんなことができるようになったすごい」というエントリーでしばらく盛り上がるといういつものパターンが見えます。

 

AWSは大丈夫か

私は性根がひねくれものなので、どんどんAWS 何とかサービスを増やしていくこの所業は、誰のためなのかと勘繰ってしまいます。

故スティーブジョブズ氏の功罪で、大規模プレゼンを開いて年次で新機能を発表して熱狂的なファンを増やすことを繰り返した結果、必要もない機能が次々と追加され、不要な機能や重複する機能が増加し結果として身動きが取れなるのではないかと心配しています。

このあたり、Googleですらいろいろとサービスをつぶしていっていますし、「はてな」だっていろいろとラボ行きにしたサービスを廃止しているのは有名です。Yahoo! Japanだってジオシティーズの廃止は掲示板の廃止を決めていますし、それに対してAWSはどんどん機能が追加されている一方、サービスを終了する話をほとんど聞きません。

もちろんシェアがナンバーワンである宿命として、マイナーサービスでもやめられないという縛りはあるのではないか、と思います。

私がクラウドやインフラに求める要件は、たくさんのPaaS的な機能ではなく、安定性とスケーラビリティー、そして厳選した標準的な機能です。大事なシステムほど、王道の設計を施し実績のないサービスは使いません。PaaSの機能などIaaS上で構築できますしーー。

・・とまあ、こんなインフラ屋がいるから、めんどうなのでAWSで当該機能を使ってちょちょいと実装したほうが早いと思われるのもわかります!。

ですから、私の目線から見て「大丈夫かなあ」に対して「大丈夫だよ」というAWSもごもっともでアッパレです。ただ、私はAWSのデータセンターの中で仕事をするのは個人的には遠慮したいなあと。---例えて言えば、コンビニが昔はレジと商品陳列しか仕事が無かったのが、どんどんやらなきゃいけないことが増えて行っている、そんな感じです。

私がいくら大丈夫か?って言っても、これまで大丈夫だったのですから私はハズレですが、未来も言い続けると思います。AWSは大丈夫か?と。

 

いつか必要なスクラップアンドビルド

私は、クラウドサービスを使うに当たり、「もしかしたら将来廃止されるかもしれない機能」と言うリスクを感じる場合には、設計要素に加えないようにしています。本番サービスが安定しているときにそんなことが起きたら大変です。

仮想サーバー・OSについては無くなることがない基礎技術なのでだいじょうぶでしょう。ストレージやネットワーク、ロードバランサーやファイアウォール周りはあまり心配していません。

しかし、いわゆるPaaSと呼ばれる、ミドルウェアをサービス化したものについてはかなり不安を持っています。需要が強いものは継続するでしょうが、あまり人気が出なかったものはいずれEoS(End Of Service:サービス終了)を迎えます。

ITの現場では歴史的によくある考え方なだけに、「おおこんな新機能が出たか便利だなあ使おう」というわけにはいきません。

新しい技術で言えば、本気で採用できるのはKubernetesぐらいなものです。他のクラウドでも動くので、あるクラウドプラットフォームで終了になってもリスクヘッジできるからです。

一方、AWSも運用パワーは有限なので、どこかでスクラップアンドビルドしないと収拾がつかなくなってくるのでは・・と思っています。今は収拾がついているので順調に伸びているのでしょうが・・。これはベンダーの体力や内部統制、本業のビジネス状況など総合的に関係してくるので、特に拡大志向の強いAWSに関しては冷静に業績の報道や社会のニュースを見ているところです。まだ・・大丈夫そうですけどね。未来永劫ではないだろうと。

まあ、お客様が使うと言えば使うだけなので、私の心配は全く世の中には影響しない、のですが・・ね。

 

次々出てくる退職エントリー、それでもNTTはすごいよ

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NTTの退職エントリーが世間を賑わす

 

NTTの退職エントリーがある界隈で流行しているわけですがーー。

 

kumagi.hatenablog.com

 

anond.hatelabo.jp

 

satoshi.blogs.com

 

それぞれ、事細かに記載してあり意味はよくわかります。退職するわけですから、もちろんNTTに問題を感じ、転職先に魅力を覚えているわけです。そして実際に行動に移すことで成功したと思う方がいれば、転職元は低く見積もられて当然かと思います。

また、上記の文脈は、内資の典型企業であるNTTより、外資の典型企業であるGoogleやMicrosoftが(ある側面から見ると)素晴らしいという意図が強い文書だと思います。

 

しばし考える

一方で、上記文書の文脈を無視して、NTTという存在を考えます。

私がIT業界に入った20数年前からNTTグループは日本国内に君臨していました。国内のかなりのITの仕事にNTTが絡んでいた印象です。少なくとも国や公共団体とNTTは密接なつながりを持っていますし今でもそれは変わりません。NTTの大株主は今もって国・公共団体(2018年現在34.87%)ですから、経営的にもその事実は裏付けられています。

日本があるということはNTTがあると言っても過言ではありません。電力・ガス・水道・鉄道・航空・郵便などの社会インフラと一緒の次元でNTTは「ある」のです。

極端なことを言えば、WEBサービス開発・運営どころの社会的責任ではないのです。今回の件でNTTに対する罵詈雑言が飛び交っているのですが、NTTの全体像をちゃんと把握している人はおそらく(私を含めて)少ない数しかいないはずです。とてつもなく大きい企業グループで、本当にいろいろなことをやって日本を下支えしています。国や公共団体の情報通信分野において利用や政策をリードしているのは間違いなくNTTで、私はNTTが終わるようなら日本も終わると思っています。検索サービスとかスマホとか、ECとかSNSどころの話ではない、時価総額だけで企業の社会的責任を図るべきではないと思うのです。

NTTと、GAFAを比べている時点で、もう全くピントのズレた話だと思います。

GAFAの業務内容と待遇が、NTTの特定社員個人に対してフィットしているのであれば、もちろん職業選択の自由がありますので他の企業に転職するのは全く問題ありません。しかし、企業という単位で考えたときに、NTTの負っている社会的責任と実績が汚されることがあってはいけないと思います。

NTT社員がNTT内部で労働条件について調整するのは正しい行為ですが、インターネットの退職エントリーを見て、匿名の外部の人間がこれを評価するのはNTTにとってもNTT社員にとっても何のメリットもないような気がしてなりません。

 

ちなみに、私はNTTとは全く何の関係もありません。

ただただ、日本国民として、NTTに感謝をし、尊敬をしている一人のインフラ系システムエンジニアです。

 

日本国中の家屋に光回線を引きまくったのも彼らですし、携帯電話のインフラを導入したのも彼らです。競合会社はもちろんいるのですが、市場をリードしたのはNTTですしNTT関係者です。その後、大きなトラブルもなく24時間365日安定運用を続けて経済活動を支えていますし、私の専門であるサーバーサイドにおいてはグループの一社であるNTTデータが大きな存在感を示し続けています。クラウドにおいても、日本のデータセンターであればインターネット回線はNTTがかなり引き込んでいます。どんな立場で見るかでNTTグループのどの会社かは変わってきますがそれはグループ全体で大きな役割を果たしているということの裏返しです。

 

一方で、給与体系に対する批判と人材流出の話題が数多く見られますが、グローバルベースで利益を得ているGAFAと、日本国内で活動しているNTTとではルールは違ってしかるべきです。かつ、社会インフラを支えるに当たって、生産性の低い部分も含めて請け負っているのも知っていて、利益追求だけでは割り切れないことも知っています。もちろん改善活動は大事なのですが、社内のルール造成からガバナンスまで、全部把握し整合性を取って初めて問題点の改善ができると思います。NTTが長い間NTTであり続け、かつ未だに日本をリードしている会社であることは事実であり、それをどのようにガバナンスしているのかは、逆に興味深いところです。今回は不満だけが露出しているようですが、満足なポイントももっといっぱいあると思います。

 

NTTが日本のITを支えている

NTTに所属しないことで、国・公共の責となるゾーンを逃れ自由にITを使って仕事にまい進できることを忘れてはいけません。NTTが民間を圧迫しているとは全く思わず、むしろ日本で一番面倒くさいところを引き受けてくれていると思っています。

GAFAが日本で強い存在感を示しても、NTTがびくともしないのはそのせいです。

GAFAすら、NTTのインフラを使って経済活動をしているのです。

国民がどうやってインターネットにアクセスしているかを考えればわかるはずです。

NTTフレッツやNTTドコモの回線周りは有名ですが、キャリアと呼ばれる通信会社も土管はNTTを半分以上使っています。

ITを使った経済活動をするにあたって、NTTを蔑むことはとても慎重にしなければいけないと思います。もちろん競合となるKDDI、ソフトバンク(通信会社としての)然りです。

NTTの一員であることは日本の誇りであるはずだ、と、NTTの外にいる日本国民として思い、その関係者には今後も自信を持って運営してほしいと思います。

 

 

テクニカルサポートエンジニアだった私の10の心得

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テクニカルサポートで大事そうなことをまとめる

Red Hatサポートエンジニアの方の記事を読んで、あー面白いなーと思って私もまとめてみたいと思います。私も長い間テクニカルサポート(特に障害対応周り)をやっていたので参考になれば。


rheb.hatenablog.com

Red Hat の杉村です。Ansible のテクニカルサポートエンジニアをしています。
今回は「テクニカルサポートエンジニアの10の心得」と題しまして、これまでの約4ヶ月で意識するようになったことをまとめてみようと思います。

 

10の心得(orangeitems版)

お客様の名前と連絡先をまず聞く

いろいろお客様から聞き出して、「あ!連絡先聞くの忘れた!」となることがたまにありました。学校のテストで名前を書き忘れるヤツですね。システム的にどの契約番号からかかってきたかはテクサポならわかるようにはなっていると思いますが、契約者と違う人が電話してくることはざらなので、まず連絡先をお伺いすることは非常に大事です。

 

手順より何よりまず環境を聞く

何をサポートしているかにも寄りますが今なら、ソフトウェアであれば下記のことを聞くのは必須でしょうね。

・オンプレミスか、パブリッククラウドか。
・オンプレミスなら、ハードウェアの種類やスペック。仮想基盤の有無など。
・パブリッククラウドなら、どのIaaSのどんなサービスか。
・OSとバージョン、ミドルウェアのバージョン、アプリケーションのバージョン。
・パッチ適用の有無

環境の小さな変化で同じ再現手順を踏んでも再現しないことがよくありました。お客様は手順を早く言いたいのですが、いやいや、環境聞かなきゃ先に進めないよという気合がとても必要です。

そもそも、サポート切れのプロダクトであることがこの時点で発覚することもありますね。サポート切れなら理由をお伝えして対応はここで終了です。

 

どれくらい急いでいるかを聞く

病院で言えば、かるい風邪から命に係わる場合まで、問題にもいろいろな幅があります。思いっきり急ぐ場合は、もはや自分の手には負えないのでさらっと聞いて偉い人にエスカレーションするのが吉です。下手に自分でやろうとして時間をかけてしまうと、クレームを食らう厳しい世界です。

また、急ぐのも、「急ぐ!急ぐ!」だけではわけがわかりませんので、何がそんなに急がないといけないのかを聞きます。本番サービスの停止で、どれぐらいの損失が出る話なのか、みたいなビジネス的な観点が重要です。

通常範囲の問題であれば次に進みます。

 

今何が困っているかを聞く

まだ手順まで行きません。

異常終了なのか、想定外の動作なのか、高負荷なのか。
再現手順を持っているのか。たまに起きるのか。初めての事象なのか。
まずは問題解決へのゴールを定めます。

環境と、困っていることをまず聞きながら、何を情報収集すべきか、回避策はないかを考え始めます。考えるだけで、まだ口は挟まず、聞くことが重要です。

 

手順を聞く

詳しい手順のヒアリングに入ります。あんまり長い場合はメールなど、まとめてもらって文書で頂きます。GUIなどはもはや電話だけで伝えるのは厳しいものがあります。手順をうかがうのは時間がかかるので、裏で対応を考えているのが普通です。

 

情報採取の依頼をする

ログ等々を頂いて調査の根拠とするために、情報採取の依頼をします。メールで手順を頂く場合はそのメールの返信で依頼します。電話の場合は後でメールでご送付しますとして電話は伝えない場合が多いです。

情報採取の方法なんていつも決まり切っているので、方法を文書化しておいてコピペして送付するのが一般的かと思います。

 

即答できる場合は即答する

ここは満足度を上げるポイントでもあるのですが、いろいろとテクサポをやっていると即答できる問題があります。その場合は、とりあえず答えちゃうと満足度が上がります。連絡してよかった!となります。

間違えると叱られますので、ヒアリングした情報の精度は重要となります。

 

過去事例を調査する

再現テストするのは楽しいので、すぐに再現テストしたくなるのですがぐっとこらえて。情報採取できたらログを見て、キーワードとなるようなエラーから過去事例の検索をします。

私の好きな言葉なのですが「世界で初めてのトラブルが、ここで起きるはずはない」です。かなりの確率で過去事例があります。これを見つけ出せるかどうかでパフォーマンスが大きく変わってきます。世界で初めての事象だったら、それは逆の意味でモチベーションが上がります。

私の検索力は、このテクサポの時の経験で鍛えられたなあと思います。

 

開発チームへ問い合わせる

テクサポが、過去事例を開発チームに問い合わせたら負けです。

過去事例を見つけ出すのはテクサポの仕事で、未解決の問題を解決するのが開発チームの仕事です。

そして、環境と再現手順をわかりやすく伝えつつ、お客様から取得した情報をスマートに送付すること。1GBも2GBもログを送られたら開発チームもたまったものではありません。問題の焦点に対してスマートに切り取って、開発チームが仕事をしやすいように情報処理して、資料を送付する必要があります。

 

本筋の調査とは別に、代替策を並行して考える

もし、問題の修正に時間がかかる場合は、回避策が必要になります。これも開発チームに伝え一緒に考えてもらいます。

問題を発生させたのは開発チームに瑕疵があるため、結構親身に答えてくれるはずです。お客様は開発チームと会話することはできないので、お客様目線で調整する必要があります。

 

基本的だがビジネスの基本

元記事にもありますが、テクニカルサポートじゃなくてもビジネスの基本のようなものだと思います。今ではインフラ/クラウドが専業ですが若い時のテクサポ経験は非常に私を助けてくれています。 

ご参考まで。

GMOコインのシステムトラブル(2018/11/25)

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現象

2018/11/25 6:30AMごろ~9:40AMごろ、GMOコインにおいて、システムエラーを伴い一切の注文ができない状態となった。

※9:30AM~9:40に緊急メンテナンス実施

9:40AMごろに回復した。

 

時系列

ここ最近連日下落が続いているビットコインですが、本日(2018/11/25)6:00ごろに急に出来高を伴って410,000あたりを目指して急落を始めました。

 

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その直後の6:30ごろ、最近広告をよく見るようになったGMOコインにて約定ができなくなるという状況が起きたようです。

 

 

 

 

502 bad gatewayは、ロードバランサーやプロキシサーバーでよくみられるエラーで、振り分け先が応答を返せない場合に発生するエラーコードです。

取引が急増したタイミングでサーバーの負荷が想定以上に高まり、リソースを使い果たしたように外観上は見えます。

(指値注文等が重なっていたためでしょうか・・?)

 

この状況が9:00ごろになっても改善されず・・。ブラウザからはシステムエラーを返していたようです。

 

 

 

 

9:30ごろに、緊急メンテナンスに入りました。

 

 

ブラウザから見ると以下のようなページが出力されます。

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ただ、この件はニュース欄には何も表示されていない状況です。

 

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https://coin.z.com/jp/

 

9:40ごろ復旧しています。

 

確かにログインできることを確認できました。

 

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その後、ニュースにも今回の件が表示されました。

 

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当社サービスご利用についてのお知らせ | GMOコイン株式会社

 

原因調査が発表されましたら本記事も更新したいと思います。

 

システム障害時のGMOコインの対応

3時間余り取引できない状態だったのですが、特に相場が大きく動いていた状況だったため事後処理が大変だと思われます。

 

support.coin.z.com

 

本ページを見る限り、

・発注していたのにシステム障害にて約定していなかった場合は、その時点のレートにてGMOコインが約定を保証する。

・発注行為が確認できない場合は保証しない。

・件数が多すぎる場合は、ロールバック、つまり障害発生時点の状態に全口座を巻き戻す。

と書いてあるように見えます。今回はもう復旧しているのでロールバックということはないかと個人的には思います。

なお、システムエラー中に発注しようとしても、サーバー側には発注情報は残っていません。46万あたりから42万へ急に落ちましたのでその途中で成行で注文したかったという人がいても不思議ではありません。しかし、

 

なお、システム障害時において、当社にて発注の事実(受注行為)を確認することができなかった注文に係る損失、および約定通知の遅延等によりお客さまが発注する機会を逸した場合の損失(機会損失)につきましては、本来約定したであろう時刻および価格を特定できず、損失額の算定ができないため、損失を補填することはできません。

 

という文が最後にあり、機会損失は補填しないという契約のようですね。

また、緊急メンテナンスを10分行って回復していることから、6:30の事象発生後もっと早く対処できなかったのか、について説明が求められそうです。金融システム、特に24時間動かすことを前提とする仮想通貨取引所/FXのシステムは本当に運用設計が難しいです。日曜の6:00AMなんて、普通の技術者は一番眠りが深い時間帯・・ではないでしょうか。24時間365日、シフトを組んで障害対応できる技術者を張り付けておく・・かなり費用のかかる体制を組まないと即時対応は実現できません。3時間の復旧というのは通常のシステムならば遅くはないのですが・・。

 

コンピューターには存在しない「精神力」と言うパラメーターを考える

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コンピューターという不完全なもの

コンピューター。

能力以上のことを考えさせると、途端に処理能力が落ちて仕事が積みあがってしまう。

覚えられないぐらいたくさんの仕事を記憶しようとすると、もうこれ以上仕事ができないと発狂し溜まっている仕事をランダムに投げ出してしまう。

引出しに物を入れすぎてもう何も保管できないとなると、途方に暮れてしまう。

なんとも愛すべき存在なのですが、人間も似たようなものなのかもしれません。

一台ではどうにもならなければ二台、三台と追加してなんとかしようとするところも含めて。

 

体力と精神力

コンピューターなら、CPU、メモリー、ディスク使用率、ロードアベレージぐらいを見ていれば何となく無理しているかどうかはわかります。しきい値を設けて、達した場合は仕事をそれ以上させないように台数を増やしたり、リソースを追加して障害に至らないように日々気を付けるのがシステム運用の大事な仕事です。

さて人間はどうでしょう。わかりやすいのは体力です。労働基準法を持ち出さなくとも休みなく一年中働き続けたら体を壊します。環境が悪ければ風邪もひきます。自分の体力を管理するのは基本的に自分の責任で、何か予兆を感じた場合は大事を取って休みを取る必要があります。無理をする人をたまに見かけますが、体力が低下すると仕事の質も量も下がりますし、他人に移す可能性もあるので絶対に休むべきです。そんな状況になっても仕事が回るように組織を整えるのが管理職や経営者の責任です。かつ、国民が無理な状況に置かれないように国家が強制力を持って企業に強いるため労働基準法があるのでしょう。また、年一回の健康診断など監視体制も制度化されています。運用設計の観点から見ても素晴らしい仕組みだと思います。

一方で。「精神力」というパラメーターはどうでしょう。コンピューターと触れていると思うのですが「精神力」に対応するパラメーターは人間独特です。コンピューターがモチベーションが下がっていつもできる計算ができなくなるということはありません。間違えるときは必ず間違えます。再現手順が確立された場合は必ず再現します。私のコンピューターが大好きなところはここです。必ず割り切れるのです。人間が割り切れないのはこの「精神力」というパラメーターの存在があるからだと思います。

例えば、同じ人に同じ言葉をかけたとします。条件や気分や、はたまた体調などによって全然違う反応や結果となります。また同じ仕事を繰り返しさせたときに、99回は成功しても100回目は失敗したりします。油断、飽き、慢心などと言う言葉がありますがコンピュータにはこの現象がありません。人間の場合は100回の間にロジックを組み替えたり省力化しようとします。コンピューターはプログラムを変えなければいつも一定の動作をします。学習すらプログラム化することもできますが、それもまたプログラムですね。

最近はRPAだAIだということでコンピューター目線で人の精神活動をシステム化することが流行していますが、逆説的に、人間の制度もこの精神力というパラメータを一切無視して企画化されている場面が増えていると思います。システム化したベストプラクティスを逆に人間の活動にも当てはめようとすることを意味します。

しかし、人とコンピューターは明らかに仕組みが違います。

どんなにプログラミングしたところで、人はコンピューターではないのです。

精神力、と言った時点で情報処理業界の常識は当てはまらないと思った方がわかりやすいし適当だと思っています。

 

精神力を意識して生活を送ること

ここからは、完全に私の主観的な意見です。精神力という言葉を企業で使うことはほとんどありません。最近はストレス、と言う言葉がよく使われるようですが、感覚としては近いと思います。

まず、自分は人間であることと、精神力というパラメーターが備わっていて有限であることを強く意識してください。

例えば、大勢の前でスピーチ/プレゼンすると、精神力は大いに減ります。連日終電で帰ったりして睡眠時間が減っても回復しにくくなります。職場で誰かと仲が悪くなると心をすり減らします。仕事で失敗を続けたりすると心が暗くなります。プライベートでも、想定外のことが起こると精神をすり減らします。いろいろと精神力が減るタイミングがあります。

精神力が減っているときは心の風邪をひきやすくなります。普段しないミスをしやすくなったり、誰かと話すのが苦しくなったりします。細かいことに神経質になったりプライベートでトラブルが起きやすくなってしまいます。

そういうときは、精神力を回復させなければいけません。有給休暇を取って旅行に行くのもよいでしょう。ゲームに一日没頭してもいいです。おいしいものを食べたりするのもいいかもしれません。人によっていろいろな方法があると思いますが、何しろ精神力を回復させるのが重要です。

回復させることについてはわかりやすいのですが、消費することについては意外と人は鈍感です。見えないので自分でもわかりにくいのです。大事な商談などの日は、日中にそれ以外の予定をできるだけ入れないこと。そうしないと、別の予定のせいで精神力がすり減り、大事な商談の時に力が想定外に発揮できないかもしれません。このように精神力のペース配分が大事なのです。これを無視して馬車馬のように精神を張り詰めて長時間働いている人が、心の大きな病気を抱えがちです。

プロジェクト自体が大きく長丁場になりそうなとき、トラブル対応などで顧客との厳しい折衝が待ち受けているとき、初めての技術を使う時でナレッジが無く困難が予想されるとき。やりがいがあるときは特にその高揚感やモチベーションの向上で精神力の消費感が麻痺して張り切ってしまいがちなので注意です。急に精神力がゼロになって、手が動かなくなりパフォーマンスが急激にダウンしてしまうことがあります。こういうときこそ、長くなるならばのらりくらり対応しなければいけません。もしくは、完全に短期決戦と割り切って、徹夜してでもケリをつけつつ、二日ぐらい休みにして完全回復するという方法もあります。マラソンと同じで、精神力を無計画に初めから消費していたらゴールまで持たない。

人それぞれ精神力の大きさには差異があるので、ベストな働き方は一概には言えないのですが、大事なことは有限であることを意識することです。有限なものを優先度や重要度に基づいて配分していくことは、コンピューターと同じです。自分をいたわるということはこのことです。ぜひ、自分の仕事を大きな目で眺めて、つまらないことには消費しないように気を付けること。大事なことには集中すること。休む時は休むこと。特にIT業界は椅子に座ってコンピューターを操作するので体力をあまり使わないため、精神力の浪費に鈍感になりがちです。そこから普段しない失敗が生まれ、さらに無駄な仕事が生まれます。

また、モチベーションが高ければ精神力の低下を防げるというのも危険な考え方です。突然ガクっときます。モチベーションが高いのはいいことですが、しんどいものはしんどいです。大きな心の病気は長期間の休養が必要になります。ぜひ、消費することと回復をひもづけて考え、大きい仕事・責任の重い仕事・自分にとって苦手なこと、など負担が重いときは、休養とセットで物事を考えましょう。それが長期的に考えて一番生産性が高い対処だと思います。

 

基礎からはじめる職場のメンタルヘルス―事例で学ぶ考え方と実践ポイント

 

トランプ大統領がファーウェイ買うのやめろと言っているのに、P20 Liteを買った件

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アメリカ、同盟国からファーウェイ締め出すってよ

今年の前半にZTEがアメリカから締め出しを受けて、そのうえ中国の雄ファーウェイも次は、という状況が続いていました。

jp.techcrunch.com

米政府では今後、HuaweiやZTEを含む中国テック企業の特定のコンポーネントやサービスの使用が禁止される。トランプ大統領が今日、国防権限法の一環として法案に署名した。新法は2年以内に施行される。

新法は“あらゆるシステムの、重要であるものもしくは不可欠のコンポーネント”を含み、ユーザデータを経由したり閲覧したりするテックも含まれる。この新法はHuaweiやZTEの商品を徹底的に排除するものではないが、政府職員や政府とビジネスをしたいと考える契約業者は対象企業の最新テクノロジーを放棄する必要に迫られる。

 

その状況下で、トランプ大統領は今度は日本を含む同盟諸国にファーウェイ使うなよという説得を始めたとのことです。

 

japanese.engadget.com

アメリカ政府が、中国のファーウェイ製通信機器の使用を中止するよう、同盟諸国に求めているとの報道が米WSJにより伝えられています。

米政府関係者によると、ドイツやイタリア、日本など、すでにファーウェイの機器が広く採用されている友好国の政府機関や通信関係者に、サイバーセキュリティのリスクを訴えかけているとのこと。

また中国製の機器を使用しない国には、電気通信開発のための資金援助を拡大することを検討しているとされています。

 

一方私は

iPhone 7を長らくスマホとして利用していた私ですが、iPhone XSなどを見てああ画面が大きいスマホに変えたいなと思いつつ、三大キャリアの2年縛り商売からは足を洗ったこともあり、一括で買わなければいけない。でも一台10万以上もする端末など買う余裕がないという状況に陥っておりました。

そこで昨今のAndroid 8/9を検討するにつれ、もはやiOSにこだわらなくてもよいのでは。気が付いたらGoogleのサービスばかり使っている。ということで、Androidのミドルレンジに買い換えることにしました。原資はiPhone 7を中古で売って手に入る3~4万程度とします。

で、買ってしまいました。ファーウェイのスマホです。

 

ファーウェイジャパン P20lite/MidnightBlack HUAWEI P20 lite/Midnight Black/51092NAH

 

ちなみに、買った当日にファーウェイが新商品を発表するという今一つタイミングが良くなかったことも付け加えておきます。

 

japanese.engadget.com

ファーウェイ・ジャパンは、SIMロックフリーのAndroidスマホとして「HUAWEI Mate 20 lite」を2018年11月30日に発売します。本機の販売予想価格は3万9800円(税抜)で、ビックカメラ専売モデルとして取り扱われます。本体カラーは、サファイアブルーとブラックの2色。

 

まあビックカメラでしか買えないし、予算より一万円くらい高いし・・。ただ、CPUはP20 LiteがKirin 659で、Mate 20 LiteがKirin710。下記のサイトを見る限り、ハイレンジのスマホ並みの性能は出そうです。バッテリーも強化されているので、ゲーム等に使う用途がある人はこっちを買った方がいいと思います。

 

www.theinsightrr.com

 

ということで、今後ファーウェイ製品が日本国内で規制されるかはわかりませんが、3万ちょっとでミドルレンジ(しかも液晶がiPhone XSと同じぐらいの広さ)が手に入るということで購入したのでした。

 

2日くらい使ったので感想を述べておきます。

このスマホは、解像度が2280x1080という高精細で、WEBを見るぐらいでは相当きれいです。しかし、YouTubeやTikTokなど動画を再生しようとすると、途端にカクカクします。いわゆるFPSが落ちるというやつです。GPU周りがこの高解像度を動画レベルで処理するのは厳しいです。これについては対策があります。設定画面で、画面の解像度を1520x720にすることができるのです。こうすると、動画がヌルヌル表示できます。したがって、昨今は動画を見ることは普通にスマホで行うと思いますので、解像度の変更はすぐにでもやった方がいいでしょう。正直、2280x1080と1520x720の差はそんなにわかりませんしGUIも含めてキビキビします。解像度を落としても表示は発色も含めて大変きれいです。

上記設定を行ったうえで、後は本当にいいスマホです。iPhoneで私がやっていたことは全てできます。そのうえGoogleのアプリはiPhone版より機能が進んでいるので、むしろiPhoneより進んだ感もあります。

解像度を落としたことも一因だと思いますが、液晶ディスプレイを指で触ったときの追随性も美しいレベルです。いろんなAndroidをさわってこの機種に決めたのですが、機械のよってはイマイチのものもあるので、注意が必要です。

Bluetoothも問題ありません。以前購入したBluetoothイヤホンで十分な音質の音楽を聴くことができました。

バッテリーですが、3000mAhというごく普通の電池です。ただ一日外で使ってみて、省電力モードも組み合わせて使ってみて、相当にバッテリー持ちがよくiPhone7以上でした(iPhone7は電池がへたっていたのかもしれませんが)。キャリアのアプリが全く入っていないところも電池がなかなか減らない理由の一つだと思います。

あとはSDカード(128GB)も入れたので、32GBの内蔵ストレージもカバーできています。

ということで、私のライトな使い方にフィットしたP20 liteは、十万以上するスマホを買いたくない人へお勧めしたいスマホです。

 

ファーウェイはなぜ締め出されようとしているか

表向きの理由は、安全保障上の話です。大事な通信をハードウェア機器経由で中国へ抜かれてしまうのでは。まだ何らかの信号で動作停止になるような仕組みがあれば、国家の脅威となる。などの理由です。

 

www.digima-news.com

 

今回、ファーウェイの製品を実際に購入し触れると、相当にiPhoneを研究しそれを凌駕するために多大な人智が投入されていることがわかりました。

このレベルの商品が3万とiPhoneの半値以下で売られるのですから、もしファーウェイがこのまま良い製品を出し続けてブランド力を身に着けてしまったら、Appleのシェアをまるごと取られる可能性は現実味を帯びてきます。

特に、今後キャリアの端末と通信の分離プランが整備されるとすると、製品の価格自体が国民に意識されるようになってきます。もし、ファーウェイのスマホがiPhoneの乗り換えとして信頼を得てしまったら。3万のファーウェイは非常に脅威です。そう断定できるくらいよくできています。

ファーウェイがアメリカのシェアを切り崩そうとしているのはスマホなどの端末ばかりではありません。ネットワーク機器に対してもです。特に今後5Gが始まる際にファーウェイ製品で埋め尽くされてしまうと、安全保障上良くないという論理でした。しかし、もし仮に、出来が非常に良かったら。その場合はアメリカのネットワーク機器ベンダー、例えばCiscoやHPE、Juniper Networksも強力な競合の出現ということになってしまうでしょう。

どうも、ファーウェイは、アメリカの優れたサービスを真面目に研究し、真面目に模倣し自社の製品に取り入れる、ということをかなり強力に進めているのではないかと思います。

 

www.itmedia.co.jp

 Huaweiは同社製スマートフォンの主要研究施設である上海R&Dセンターの実験ラボの一部を、日本のメディアに初公開した。これまで事あるごとに、毎年売り上げの10%以上を研究開発費に投資しているとアピールしてきた同社。実際、世界に約18万人いる従業員のうち、約45%が研究開発に従事しているという。

(中略)

 印象的だったのは、彼らが皆そろって若く、そのためかラボがまるで大学の研究施設のように見えたこと。それでいて誰もが実に楽しそうに働いていたことだ。潤沢な研究開発費のもと、これだけ設備の整った施設で同世代の仲間とともに研究に没頭できる日々が、若い研究者にとって充実したものであることは容易に想像できる。彼らの表情に、Huaweiのスマートフォンが今、世界で躍進している理由の一端を見た気がした。

 

本当にコストをかけて、本当にアメリカが得意とする技術の競合となる商品やサービスを生み出す。「中国にできっこない」と思っていたら、製品を目の当たりにしてこれはアメリカのビジネス上の大きな脅威となる。これを先読みして、表の理由である「安全保障上の理由」を持ち出しているような気がしてなりません。

 

japanese.engadget.com

「アップルの携帯電話が盗聴されていると本気で心配なら、ファーウェイ製に変更すればいい」

 

中国は、中国らしい皮肉でトランプ大統領に返していますがーーー。

政治の世界は本音が全く見えないのですが、少なくともファーウェイのP20 Liteは非常に良くできていてiPhone使いの乗り換えとして機能してしまうことが驚きです。

このままでは、競合製品を政治的圧力で窮地に陥れ、自国製品を優位に保とうというように見えなくもありません。ぜひ、アメリカには、ファーウェイを超える革新を実現することでシェアを守っていく健全な競争をして頂きたいと思います。

##Pixel3はその意味ではいい商品ではあるが、高い・・。

 

追記

Mate 20との比較の話はこちら。

 

www.orangeitems.com

ブラックフライデーからサイバーマンデーまでの流れで運用エンジニアは大変

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日本とは何の関係もないブラックフライデー

ブラックフライデーなんて、本当に日本とは何の関係もない。アメリカの祝日、サンクスギビングデー(感謝祭)がアメリカでは11月の第4木曜日となっていて、その翌日の金曜日も休みにして4連休にしている州も多いとのこと。クリスマス商戦の前哨戦としてこの金曜日から週末の日曜日までセールを行う店舗が増えたことから、ブラックフライデーという言葉が生まれたらしい。ブラックというのは、「黒字」という意味で、ブラック企業などの意味は全く持たない。かつ、週明けの月曜日はインターネットでプレゼントを購入する人が増えECサイトでの売り上げが上がることから、サイバーマンデーと呼ばれるようになったとか。

まとめると、ブラックフライデーはアメリカの祝日の絡みで生まれたクリスマス前哨戦で、ECについては週明け月曜日まで当て込んでサイバーマンデーなんてのをはやらそうとしているということ。

しかし、サイバーマンデーの理由付けはかなり苦しいものがある。週末は実店舗で買い物をしていたから忙しくて、週明けの月曜日にECサイトで買う人が増える。とか、クリスマスから年末年始の冬休み(ホリデーシーズン)に向けて高い売り上げが継続するからとか、取ってつけたような内容ばかり。意味なんてわからなくても日本では流行っちゃうから不思議。

 

日本人が乗っかり始めた

だから。

日本人って、本当、ノリでアメリカのマネするの好きだよなあと思う。ブラックフライデーとかサイバーマンデーとか本気かよ~と思う。

というのは、日本のECサイトもブラックフライデーに乗っかってくるせいで、せっかくのお休みに影響が出てしまう。きっと、EC系のシステムを預かっている人は祝日だというのにお仕事の人もいっぱいいるだろう。そもそも今回のブラックフライデーは日本では勤労感謝の日じゃないかと。

 

travel.watch.impress.co.jp

 

prtimes.jp

 

prtimes.jp

 

www.wwdjapan.com

 

netshop.impress.co.jp

 

www.phileweb.com

 

www.4gamer.net

 

prtimes.jp

 

・・・てな感じで、外資だけではなく内資もウェーブに乗り始めた様子。

 

巻き込まれるシステム担当者

しかも実店舗ならびに「ECショップで」というところがミソ。

実店舗は休日もシフト組んでいると思うが、EC担なんて、土日休みの普通のサラリーマンなもんだから、「俺の勤務がブラックだよ」と嘆いているに違いない。

しかも週明け月曜日がサイバーマンデーとか何の罰ゲームだと。

アクセスも急増するし、監視強化だ事前のリソース追加だと大変に違いない。日本全国で。お疲れ様です。

せっかく広告費出して客寄せしても、肝心のECサイトにトラブルがあったら目も当てられない。ということで青い顔をして準備をする。実店舗でシステムトラブルがあってもなんとか人力でカバーするのだけれども、ECサイトはそうはいかない。

EC担だけじゃなくってベンダーにも協力要請が行って、現場はちょっとしたお祭りになっております。

どうにも、ブラック=闇にしか感じないのは仕事柄なのかもしれません。

 

巻き込まれず3連休も取れるという方は幸せ者です。ぜひ、実店舗で買い物を楽しみつつ、システムには優しく接してくださいませ・・。

 

 

情報安全確保支援士のオンライン研修が教えてくれたこと

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情報安全確保支援士

情報安全確保支援士という資格をご存知でしょうか。

 

www.ipa.go.jp

サイバー攻撃の増加・高度化に加え、社会的なIT依存度の高まりから、サイバー攻撃による社会的脅威が急速に増大しています。すなわちサイバーセキュリティ対策は、経営リスクとして、そして社会的責任として、非常に重要な課題になりつつあり、その責任を担える人材の確保が急務となっています。この人材の確保のために2016年10月に「情報処理の促進に関する法律」が改正され、新たな国家資格が誕生しました。これが「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」です。

 

かなり意義のあるビジョンからなる資格で、いわゆる「士」のつく国家資格であり国の期待も大きいと思います。

 

www.ipa.go.jp

2018年10月1日時点での“登録セキスペ”人数は、合計で17,360名となりました。

 

私も実は保持者です。本名をIPAのサイトで検索すれば名前が出てくるようになっています。

筆記試験を合格した後も、年に1回のオンライン研修、および3年に1回の集合研修が義務付けられています。前者は20,000円、後者は80,000円の費用が必要であり、なかなか個人で維持するのは大変なのですが、今後意味を持ってきそうな資格であり維持することに決めています。

本資格について、運営者の運用はあまりこなれておらず、変なメールがたくさん届いて読み解くのが大変です。これは時代とともにこなれていくのでしょう。

 

オンライン研修で学んだこと「倫理」

この前オンライン研修を受けたところです。

とても印象に残った単元があります。「なぜ倫理綱領が必要か」という項目です。

セキュリティー関連の資格というと、一般的にはISO27000など規格の話であったり、暗号化などの技術的な話に終始するイメージだと思います。倫理、ということはもっと高次元の話となると思います。専門家が独善的にならないように一般人に対して恥じない行動をすること。社会のためになる行動を優先すること。一般人に説明をし理解を得てもらうこと。いろいろな倫理的側面が情報安全確保支援士には求められるとの単元です。

なぜ今、セキュリティーに携わる技術者に倫理が求められるか。

昔はコンピューターに携わる人は組織の下にいる「専門家」のみでした。したがって、自動的にサービス水準が一定に保たれていました。ところが現在は、パソコンやスマホ、クラウドの発達によって専門家ではない人が運用者になることが一般的になってしまいました。スマホも一つのコンピューターでセキュリティーに気を付けないとハッキングされてしまいます。クラウドにサーバーを借りて運用することも気軽にできます。これも脆弱性を残すとたちまち乗っ取りの被害に遭います。このように、「非専門家」にコンピューターの運用責任を転嫁する状況となっていているのが現在の状況です。

会社組織において経営者すら専門家ではありません。あるサイバーセキュリティー担当大臣もパソコンを触ったことがないくらいです。この状況の中で、セキュリティーの専門家は、高い倫理観を持って発言・行動することが、社会から求められているということです。セキュリティーの専門家は、経営者を含む一般人に対してセキュリティーの意義や行動をわかりやすく説明し、自分の利益を優先するような独善的なことをしてはならない、ということです。

例えば、最近の下記の問題。

 

japan.zdnet.com

今回の事態は、Chen氏が認め謝罪する通り、トレンドマイクロでの不十分な取り組みやコミュニケーションが、ユーザーに疑念や不信感を抱かせることとなった。ただ、昨今は企業がユーザーの個人情報やプライバシー関連のデータを不適切に収集したり、利用したりしているのではないかと指摘されるケースが国内外で相次ぐ。こうしたデータを取り扱う上での基本的なルールなどは、各種の規制やコンプライアンスを通じた整備が進むものの、サービス/アプリの実装や事業運営で不適切な状況を招く危険性をはらみ、より具体的で適切な方法などの確立が求められそうだ。また、Chen氏の主張のような業界レベルでの議論や取り組みも課題になると見られる。 

 

トレンドマイクロの一連の行動や説明が、ユーザーや一般人に独善的な内容だと反発を受けたのは記憶に新しいです。トレンドマイクロはセキュリティーの専門家だから、個人情報を吸い上げることを普通のことだと思うことを、独善的だと批判されているのです。セキュリティー専門家だからといって、一般人の同意を怠り勝手な行動指針を持って行動することはまずいということが有名になった一件でした。

 

また、運用責任が非専門家に委ねられることになった件は直近のニュースにありました。

 

internet.watch.impress.co.jp

冒頭では、“プロバイダーからユーザーへのお願い”として、以下の対策を実施するよう呼び掛けていた。

1)パスワードはすべて適切な強度を満たすように設定してほしい
2)なるべく自動アップデートを利用してほしい
3)ファイアウォールを設定すること、ウェブアプリケーションファイアーウォール(WAF)を活用すること
4)持続的な運用または終了方法を考えてほしい

 

まさに、専門家が、非専門家に対して倫理的な行動を促すシーンだと思いました。しかしブックマークのコメントを見ると、「そもそもインフラ環境がセキュリティーアップデートをしにくい」など反論も出ています。実は倫理的であることと独善的であることは、バランスの問題でもあります。ユーザーを無視しすぎた正論や行動は、反発を生みます。このバランスのとり方は難しい問題と言えると思います。

 

情報安全確保支援士の価値は上がらざるを得ない

一連のオンライン研修から、国から以下のメッセージを感じました。

「日本国中にコンピュータがばらまかれ、かつ専門教育を受けていない人がこれを管理するようになった。かつ、コンピュータの個人や組織への関与が大きな存在感を持つようになっており、これに対する安全の確保がより社会の安定に重要となる。情報安全確保支援士はこの社会状況の中で専門家としての自覚を持ち、国民や日本社会を危機に陥れないように積極的に活動してほしい。」

 

当初はメリットが見えないと揶揄されたものですが・・。

tech.nikkeibp.co.jp

 

研修を受けて初めて、その意義が実感できました。

私も、独善的にならないよう心掛けながら積極的に行動していきたいと思います。

また、受験を検討されている方には、良い国家資格だと推薦しておきます。

 

情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2019年版