orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

つながらない権利はシステム運用担当者に実装できるのか

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つながらない権利、言っていることはよくわかります。

 

www.nikkei.com

新型コロナウイルス禍のなか、就業時間外の業務連絡を受けない「つながらない権利」が世界的に注目されている。テレワークが定着して私生活との境界が曖昧になり、長時間労働のリスクなどが高まったためだ。欧州などで法制化を進める国が増えた。日本も労組などが必要性を提言。柔軟な働き方と働き手の健康を両立させるルールづくりが求められる。

 

システム運用担当者はスマートフォンやノートPCを私生活に置いても持たされている例は全く珍しくありません。システムは24時間動いていますが、人間は一日8時間しか労働できないし、しかも土日や祝日など休みも取ります。完全に矛盾しているのですが、そこを通信環境の整備で何とか取り繕っているというのが現代社会です。

重厚長大なシステム、例えば金融などの世界においてはそれは許されないので、夜勤シフトなどを組んでオフィスに技術者を常駐させることをします。本来は昼も夜も同じだけの技術メンバーを揃えたいのはやまやまですが、そうするとかなり不規則な仕事になってしまうので、夜の時間帯は人数を抑えるのが普通です。大きな病院の当直のようなもので、何かあった時に対応できるようにしています。

どんなシステムでも本当はそのようにすればいいのでしょうが、大半はそこまで人を割けません。かつ、人間の生理的欲求として、できるだけ夜勤はしたくないのです。昼働いて夜寝たいし、土日は休みたい。仕事だからと年中夜勤だけしていたら、休みの日も夜起きなければいけなくなり私生活はぶっ壊れてしまいます。家庭を持った時に、配偶者も子供も、夜生活しますか?。夜通う小学校はありますか?。ですから完全夜勤なんて働き方はほとんどなくて、一か月の間に数日アサインされ、夜の間も仮眠の時間を設けるなど、できるだけ昼夜のリズムを壊さないような対応が求められます。

また、夜だけではなく土日祝の問題もあります。ざっくり言って、週5で働いている人は一年の3分の1休んでいます。だから、全ての日に人を張り付けたければ今の人数の1.5倍は技術者が必要です。人件費も1.5倍になります。

このように、システム運用の世界で、大真面目にシステムが24時間動いているから人も張り付かせよう、としたときには、平日昼だけの人数と比べてかなりの増強が必要となります。

つながらない権利を保障しようとして、出勤者だけでシステムを動かしていくと仮定するとこのように人件費がどんどん積みあがっていきます。

しかしシステム運用の世界は、何もトラブルがなければ夜間は特に作業をしないものです。夜に出勤したのに、何も仕事をせず帰ることになり、非効率だなという思いが技術者に残ることになります。

これを非効率として、基本何も起きないことが前提であれば、夜勤や休日勤務などは特別な場合は無くして、平日勤務だけにすれば人はそこまでいらない。人件費は大きく削減でき、システムにかかる費用も安くできるはず。

この考え方が大半の企業のシステム運用に対する考え方なのだと思っています。安く請けている会社はこうやって運用費を削っています。

ただ、これでは真面目に人を張り付けている企業は競争上不利です。真摯にやっているのに他所と比べて高いと言われてしまう。大手はやっぱり高いんですね、と。そりゃちゃんとやっているからとは言いたいけれど、実際システム運用の技術者が何をやっているかなんて、顧客には何もわからないのが悲しいところです。

平日、ちゃんとシステム運用をやっていれば、夜間休日は何もおきないよねぐらいに言われてしまいそんなことないけどと言いながら、価格の方を優先しているというのが現実です。

よく、いろんなシステムでトラブルが起きた時に、ツイッターなどで「・・が障害!、早くなんとかして!」みたいな投稿があふれるのですが、その裏では運用担当者がコールされあくせく働いています。でもそれは出勤しているときとは限りません。自宅から対応しているケースもたくさんあると思います。

「つながらない権利」ねえ・・。そんなのあるわけないじゃん・・。現実を知っているだけに無理なんじゃないかと。もしくは、ちゃんと実装するなら、社員が稼働している時間しかシステムを動かしちゃだめ、帰るときには電源を切って!、みたいなことにならざるを得ないんです。

それは無理だと思うし、システム費用が高くなるのは顧客も望まないし、そして技術者も昼勤を望んでいる。で、そこから降って沸いたような「つながらない権利」は多分永遠に実装されないと思いますけどね。

 

金融庁、みずほ銀行へ「管理命令」発動の意味とは

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始めて知った時に、目を、耳を疑ったニュースです。驚きました。

 

www.nikkei.com

金融庁は週内にも、ATMなどの障害が多発するみずほフィナンシャルグループとみずほ銀行に対し、異例の行政処分となるシステムの「管理命令」を発動する方針だ。年内いっぱいをメドに、同行が進めるシステムの更新作業や保守業務を共同で管理し、必要に応じて運営体制の見直しも命じる。金融当局がシステム運営を直接監督することで障害再発を最小限にとどめ、金融システム不安への波及を防ぐ。

 

歩調を合わせて、時事通信も報じていますので間違いないでしょう。

 

www.jiji.com

 障害が多発したみずほ銀行のシステムについて、金融庁が直接監督する「管理命令」の発動に向けた検討に入ったことが21日、分かった。

 

ところで、「管理命令」って何でしょうか。

金融庁が絡むドラマ、例えば半沢直樹でも銀行に対して、業務改善命令を出すシーンはありましたよね。これは銀行法第二十六条が根拠となっています。

 

elaws.e-gov.go.jp

(業務の停止等)

第二十六条 内閣総理大臣は、銀行の業務若しくは財産又は銀行及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該銀行に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該銀行の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して当該銀行の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは当該銀行の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。

 

赤字の部分が「業務改善命令」と呼ばれる部分です。

青字の部分が「業務停止命令」です。これまでも、一部の業務が業務停止となることは稀にありました。

私は金融庁が第二十六条でできることは端的にこの二つかと思っていたのですが、この度「管理命令」という言葉が出て来たのが驚きです。

むしろ、ニュースでは「検討」という言葉が出てきているので、現在は、法的根拠をほぼ詰め終わっているのかもしれません。

一方で、上記法令を読み返すと、

「若しくは当該銀行の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。」

という言葉がありますよね。

実はこの文って、「その他監督上必要な措置を命ずる」と言うことは、今回はコンピューターシステムのシステム管理が大問題になっているので、そのシステム管理を金融庁が期限付きで実施する、とも読めなくもないです。

確かに、監督上必要な措置であり、デジタル処理が金融システムの根幹を担う状況では、「管理命令」という処置を業務改善命令や業務停止命令とは別に設けようか、という策は自然と言えます。

 

ちなみに、「免許取り消し」は更に重い措置ですが、次の銀行法第二十七条が根拠です。

 

elaws.e-gov.go.jp

(免許の取消し等)
第二十七条 内閣総理大臣は、銀行が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該銀行に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役、執行役、会計参与、監査役若しくは会計監査人の解任を命じ、又は第四条第一項の免許を取り消すことができる。

第二十八条 内閣総理大臣は、前二条の規定により、銀行に対し、その業務の全部又は一部の停止を命じた場合において、その整理の状況に照らして必要があると認めるときは、第四条第一項の免許を取り消すことができる。

 

法令違反や、第二十六条を含む処分にも違反したら、さらなる業務停止や、役員の解任、さらには免許の取り消しまでできることになっています。

何しろ、この第二十六条・第二十七条・第二十八条の流れは、とても美しいロジックになっていて、スマートなプログラムのようです。例外処理まで含めて漏れがありません。

ただし、コンピューターシステム運用管理の不備までは文字にできていないため、今後デジタル化の急激な浸透により、法改正はあるかもしれませんね。

 

ただ、この「管理命令」が実際にどんな活動を示すかは、完全に未知数です。本当のシステムの運用管理を示すならば、その業務内容は膨大です。最も具体的な記載は日経新聞記事の有料部分の内容ですので省略しますが、運用管理だけではなく、システム企画まで踏み込んだ内容まで金融庁は掌握するように見えます。いわゆるプロダクトオーナーのようなイメージであり、管理命令実行後は、みずほ銀行側は金融庁の許可なしでは何もシステム変更ができなくなるのではないでしょうか。

今回のケースは、不備のある重要システムが現れた時のCHECKおよびACTIONとして、今後象徴となるケースになるように思います。

 

この本に続編は出るのでしょうか。

業界で話題となりましたが、序章に過ぎなかったようです。

 

システム監査の側面からも、システム運用の側面からも、注目せざるを得ない一件となりました。今後の展開に注目しましょう。

 

Oracle JDK 17(LTS)から、本番環境での無償利用が認められた件

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Java 17のリリースおめでとうございます。

 

japan.zdnet.com

 Oracleが長期にわたって開発を続けていた「Java 17」「JDK(Java Development Kit)17」がついにリリースされた。長期サポート(LTS)版がリリースされるのは、3年前の「Java 11」「JDK 11」以来となる。Javaの新バージョンは半年に1度、3月と9月にリリースされているが、これらのバージョンは次のバージョンがリリースされるまでしかサポートされない。しかしJava 17は、8年間サポートされることになっている。

 

8年間もサポートしてくれるLTS版、ということのほかに、大事な情報がありますよね。ここ最近のOracle JDKは契約についてひと悶着ありましたが、それを払拭するような話が。

 

無料のJavaライセンスの紹介(Oracle, 2021/9/15)

・オラクルは、四半期ごとのすべてのセキュリティ更新を含め、業界をリードするOracleJDKを無料で利用できるようにしています。これには、商用および実稼働での使用が含まれます。

・新しいライセンスは「Oracle No-Fee Terms and Conditions」(NFTC)ライセンスです。Oracle JDKのこのライセンスでは、商用および実稼働での使用を含め、すべてのユーザーが無料で使用できます。有料でない限り、再配布は許可されます。

開発者と組織は、クリックスルーを必要とせずに、Oracle JDKを簡単にダウンロード、使用、共有、および再配布できるようになりました。

・オラクルは、これらの無料リリースとアップデートをOracle JDK 17から提供し、次のLTSリリースから1年間継続します。以前のバージョンはこの変更の影響を受けません。

・オラクルは、Java 9以降と同じリリースとスケジュールで、GPLの下でOracle Open JDKリリースを提供し続けます。

 

これは大転換ですね。経緯は省略しますが大転換です。

で、このNFTCライセンス、まだ英語版しかないのですが、一生懸命がんばって読むと「え?これってほんとに本番で無料で使っていいの?」となると思います。

でも、公式ブログでは本番利用していいと断言しているので、これをどう解釈するかはコツが必要です。

 

こう読めばいいのです。

・Oracle JDKを、顧客に配布したり、顧客へのサービスを動かすために利用することを認めます。

・Oracke JDKを改変することは認めません。

・再配布にあたって、顧客よりOracle JDKそのものでお金を徴収してはいけません。

 

下記の部分が最も重要です。この記載によってOracle JDKの扱いが180度変わったと言えます。

 

(b) redistribute the unmodified Program and Program Documentation, under the terms of this License, provided that You do not charge Your licensees any fees associated with such distribution or use of the Program, including, without limitation, fees for products that include or are bundled with a copy of the Program or for services that involve the use of the distributed Program.

このライセンスの条件に基づいて、プログラムをおよびプログラムドキュメントを無変更で再配布することを認めます。ただし、プログラムのコピー、または配布されたプログラムの使用を伴うサービスのために用いるにあたり、プログラムの配布または使用に関連する料金を利用者に請求しないことを条件とします。

 

なかなか契約周りは法律も絡んで難しいのですが、とりあえずOracle JDK 17からは何の縛りもなく使って良さそうです。

Twitterを見ていると、ここ最近の混乱で、他社ベンダーのJDKに乗り換えてしまった技術者も多そうですが、さて、昔のOracle JDK一強に戻るのか、様子を見てみたいと思います。

 

インフラエンジニアに向く性格3点を挙げてみる

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なぜか私はインフラエンジニアを長いことやっていますが、能動的に選んだというよりは何となくこの仕事にたどり着いていた、という側面が強いです。

でも、結果として向いていて、今もとても楽しく仕事できています。仕事が楽しいものであるイメージはずっとなかったのですが、ラッキーだと思います。多分、仕事を楽しく感じられるというのは誰でも手に入れられるものではないからです。

向いているといったって、どんな性格であればインフラエンジニアを楽しめるのか、ということについてあまり文にしてこなかったので、披露してみたいと思います。

 

 

①理屈っぽいこと

システムって、ほんといろんなことが起きます。今日起こったことは次に起こるのは何年後かもしれないし、もしかしたらもう遭遇しないかもしれない。それぐらい多岐に富むのですが、それらの問題一つ一つについて、科学的アプローチを行い結論を出さねばなりません。

科学的アプローチですから感覚は許されません。まず情報収集から始め問題の手がかりを探っていきます。そこから仮説を立てます。問題はこの辺りにありそうだ、と。そしてその仮説を立証するような証拠を探っていきます。もしそれらしき情報が入手できたとしても、もっと説得力を持たせたい場合は、再現試験を実施します。再現試験には客観的な手順と環境が必要で、その条件を満たせば必ず発生するのであれば、それは仮説が証明できたことになります。もし、証明できないのであれば、仮説そのものが誤りだったことを認め、また新しい手掛かりを探すこととなります。

このようなプロセスにおいて、理屈っぽいことは強みになります。理屈っぽいことがデメリットである職種もありそうな気がします。いやいやそんなディテールばっかり気にしてたら、物事は進められないよ、と。いや、インフラの分野についてはディテールにこだわればこだわるほど、想定外の事柄を潰すことができます。

もともと私が理屈をこねるタイプの性格なので、このインフラの仕事にやりがいを見いだせたのだと思います。

 

②ピンチの緊張感を楽しめること

インフラエンジニアは時に、ピンチに陥ります。

システムが平安であることに越したことはないのですが、それは夢の話です。何かしら不定期にメッセージを出し人間に「助けて」と言ってきます。「助けて」と言ってくれる間はまだよくて、それを無視していると「痛いよー」「動けないよー」と苦しみだします。

インフラエンジニアは一番システムに寄り添い、常に健康であるように健康管理をしなければいけません。予防が一番重要なのは、人間でも一緒ですね。

しかし、それでも想定外の事象に巻き込まれることはあります。

そんなときに、一番近くにいるからこそ、自分が何とかしなければいけない、そんな状況に立たされることがあります。それも、日中の業務時間帯だけではありません。朝も昼も夜も、休日も祝日も。システムは365日動き続けているからです。

いつも、ピンチの状況に、自分が立たされるかもしれない。そしていざ立った時、強い緊張感を誰しも感じるはずです。さあ、頭をフル回転しないとこの状況を脱することはできないぞ。マネージャーであれば、メンバーの統率も取らなければいけません。まるでサッカーの司令塔のような立場です。ある時にはディフェンス、ある時にはボールをゴールまで持っていてシュートまで打たなければいけない場面もあります。

私は何度も何度もこの状況を体験してきました。もう二度とそんな状況になりたくないなと毎回思い、平時にベストを尽くしています。でもそれでも、ピンチはやってきます。その時に、不安や悲しみ、恐れが強くなる人は、この仕事は厳しいのかもしれないなと思います。なぜかというと、仕事にネガティブな感情を持ち込むと、体がもたないからです。これを十年二十年と続けることは、どんどん心身にストレスを溜めていくのは間違いないです。

もし、非常事態を楽しめる、変な性質を自分の中に感じるなら、それはインフラエンジニアという仕事はぴったりだと思います。

 

③便利なモノやサービスが好きなこと

インフラエンジニアは、プログラミングはしないと言われています。

ただ、昔からシェルプログラムや、マクロなど、仕事を自動化するのにいろいろとコーディングはしているので、基本的なプログラミングの知識があると、なお仕事を楽しめると思っています。

そんなインフラエンジニアですが、仕事の本質とは「便利なモノやサービスを組み合わせて、アプリケーションが快適に安全に動作する環境を用意する」ということになります。

この「便利なモノやサービス」と言うのがポイントで、日々新しいサービスが生まれ競争しているので、常に自分の中の情報源をアップデートしていかないといけない宿命があります。

最先端にいるつもりでも3年くらいしたらもう、化石のような扱いを受けることもあります。日々日々、新しいものに食いついていかないといけない。

でも、新しい物の95%(個人の感想)は廃れます。すごく有名になった技術ですら3年くらいで急に消えることもあります。だから、あまり未来のことを考えず、「便利かな?おもしろいかな?」くらいの態度で、新しいオモチャに興味を持つくらいの感性を持つ人なら、インフラエンジニアはとても自然にできる仕事だと思います。

これを「勉強好き」と捉える人はいるんですが、ちょっとズレてます。別に勉強しようと思ってやっているわけじゃないです。新しいものってそれだけで楽しいのです。刺激が欲しいのです。ここ最近は、何かに触れるにしてもエキスパートまで勉強しなくたって、ユーザビリティーの優れた製品が多いので、もうマニュアルすら見なくても使えます。あんまりマニュアルをきちんと読まずとも、基本的な技術があればとっつきやすいようになっています。

普段の生活でも、新しいモノ好き、ガジェット好きと言えばいいのでしょうか、そんな人は向いていると思います。

 

 

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ということでインフラエンジニアに向く性格3点を挙げてみました。

もちろん、社会人としての礼儀とか、責任感、コミュニケーション能力、理解力、説明能力、学習能力、お客様思考、みたいなものも必要ですが、それって他の業界でも同じですよね。しかもこれらを持っていたとしても、今回ご紹介したような特性がないと、楽しめないんじゃないか。楽しめないなら仕事も長続きしないのかもしれない、そう思った次第です。

おそらく、他の仕事領域では、また違った特性が必要になるんでしょう。仕事にするなら、向いている領域を攻めるに限る、と思います。

 

よくないと思う 正社員入社→会社の教育プロセスで成長→すぐ退社

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二十代の方が、なぜ未経験でIT業界に入れてしまうかというと、日本ならではの文化、終身雇用の考え方があります。若ければ、入ってから教育してもそこから何十年も活躍してもらえます。しかも入った当初は給与水準も低いので、活躍できないならできないでロースキルの仕事をやってもらおう、みたいな経営側の考えがあります。

日本では強い解雇規制があるのと、一方で人材側も積極的に転職をしない、という双方がかみ合った状態だからこそ、若い人が未経験でも雇用されやすい状況だったんですね。

ところが、未経験で入社して、ある程度スキルを身に着けたら、短期間で次の職場に移ってステップアップしようとする二十代がちらほらいらっしゃるようです。

外国みたいですね。ネットでは、海外のITエンジニアはプロジェクトが終わればすぐ別の会社で仕事する、みたいな話を聴いて影響を受けているのでしょう。ただ海外の場合は、だからこそ即戦力が求められるので、なかなか未経験で入社、は難しいのです。大学などで情報工学をきちんと学んで実力がないと採用してもらえない。

新卒カードなるものがあるのも日本の特徴です。終身雇用と、解雇規制あってこその、新卒重視の文化です。すぐに辞めちゃうとしたら、新卒は戦力にならないので採用しないでしょう。

正社員制度では、相当企業は労働三法にしばられてしまっているので、これだけ待遇を整備したら社員はそこまで辞めないだろう、という企業側の思い込みがあります。

ところが今後、あまりにも・・未経験で入社してすぐ辞める、という文化が日本に定着するのであれば、きっと即戦力重視の採用になるでしょうから、どんどん未経験者が採用されにくくなると思われます。

もしくは、未経験者は早期で辞める前提で雇い、ロースキルで成り立つ仕事だけを割り振るようなモデルの会社にしか入れなくなるという可能性もあります。未経験で業界に入ったけれど仕事してもしてもスキルが付かない。なぜ?と考える人は、このトリックにハマっていないか確認が必要です。会社はキャリアパスを考えてくれているでしょうか。この場合は、次の転職先を考えるのはいいかもしれませんね。

とにかく、がんじがらめの日本企業にとっては、すぐに辞める人は悩みの種でしかありません。採用にも教育にもお金をかけて、そしてハイさよならでは、何のメリットもありませんよね。学校じゃないんだから。

正社員、という制度自体がまずどんどん転職する、というジョブホッパーに向いていないですよね。今の制度では離職率を下げてこそ会社の価値が上がります。長くいてもらえれば教育コストは下がりますから。その上で社員の生産性を上げる、という文脈になっています。だからこそ会社は熱心に社員を教育するのです。ジョブホッパーは、しっかりした理由がないと、採用時にデメリットになります。

一方で、先日の45歳定年制の定年後であったり、フリーランスのような非正規社員の場合は、どこかで会社から出て、また別の場所で活躍することが前提ですから、会社に教育してもらえるかどうかは二の次で、自分自身でスキルを常に磨いていないと、市場価値が下がって次の働き先が見つからなくなってしまいます。

だからこそ、非正規の形で仕事するのであれば、自分で自分に教育コストを投資しないと未来が怪しくなりますから、一件の仕事の単価は正社員の給与よりも高くなるのが普通です。雇用が保証されていないのですから、リスクは高いですがリターンも高い。スキルあってこそのスタイルです。この場合は、経験ありきですから、ジョブホッパーになるのは自然だと思います。正社員ではない、というのがポイントです。

ですから、企業の終身雇用文化を逆手に取って若手が正社員として入社し企業に教育コストをかけさせ、スキルを身に着けるだけ身に着けたら退職するってのは、これは、SNSなどでも仮にやった人がいたら静かにしておいた方が良いです。多数の企業戦士から、相当にやりこめられるでしょう。全く日本における新しい未経験エンジニアのキャリアパス、にはならないですよ。