orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

漫画村に学ぶアンダーグラウンドサイトの条件

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はじめに

漫画村騒動もその主役たるサイトが消失してしまったので社会的な関心も少しづつ薄まりつつあるように思います。後始末(法や技術的問題)はプロフェッショナルにお任せするとして、今回起きたことを考察し、学びに変えたいと思います。

 

アンダーグラウンドサイトの歴史から考える

世の中において、王道たるメディアは歴史的には新聞でした。そこからテレビに移って行ったように思います。インターネットが出現するまでは、テレビはメディアの王様だったように記憶しています。子供の時、テレビばっかり見ていてはアホになると言われた記憶があります。アホになったかどうかはわかりませんが、1日に8時間くらい見ていたような気がします。また、ラジオは同好の域を出ずこれは地域ラジオ局が多くて地域密着型の経営ロジックだったからのように思います。あまりラジオがインフルエンサーとしての立場だったことは少ないと思います。

さて、テレビが王道メディアの位置を確立していた昭和終期から平成初期のころ、テレビの番組づくりは今よりももっと過激でおおらかだったように思います。これはまだBPOなどの規制が今より緩やかだったからではないか、もしくはインターネットがなかったので自由にできた、いろいろな意見はありますが、昔の番組の映像を見るとわかると思います。ドラマ中に大人はタバコを平気で吸っていました。金八先生は生徒をビンタしていました。今やったらツイッターで即炎上でしょう。いろいろな歴史が積み重ねられ、番組づくりにおいてはおそらく膨大なマニュアルが積み上げられていると思います。

そんな状況で、アンダーグラウンドに類するものとして、深夜番組があったと思います。夜の23時を過ぎると急に大人の雰囲気になって、いわゆる「深夜のノリ」が始まります。かなり過激なことをやるための枠が深夜枠で、かなり実験的なことが許された時代でした。ちなみに私も昔は深夜番組は毎日見てたクチです。メディア全体の中で、ある程度規制を外れて刺激の高いことをやるという暗黙の了解が当時はありました。今は全然ありません。AmebaTVなどはアンダーグランドっぽい雰囲気はありますがむしろ王道思考のように思います。現在のテレビのコードを外れない前提で、テレビではやれなそうなことを探してやっている感はあります。

初期のインターネットにおいての、アンダーグラウンドサイトの最も有名なものは「2ちゃんねる」です。2ちゃんねるは今いろいろあって5ちゃんねる、という名前になっていますが、正直言って今の5ちゃんねると、昔の2ちゃんねるは全然違います。今の5チャンネルは、警察が全ての書き込みを監視しています。民間も一部の会社は自社の風評がないかどうかをリアルタイムで監視しています、もしくはその仕事を委託しています。こんな監視されている状況で、アンダーグラウンドサイトは成立しません。新規ユーザーもSNSの出現のため減っていて、古参ユーザーの溜まり場になっています。年代層も高くなっていて、アンダーグラウンドサイトというよりは、同人的な雰囲気が昔より強くなっているように感じます。

2ちゃんねるから遅れること10年、ブロードバンドが普及しだしたころに、ニコニコ動画がアンダーグラウンドの仲間入りをします。黎明期は著作権との戦いでした。JASRACと提携したり、ニコニコ超会議には政治家を読んだりして、アンダーグラウンド化を避ける施策をどんどん打ち出し、今では同好の集まる場になっていると思います。逆に、アンダーグラウンド的な雰囲気を好む人が満足できずに離脱しているような状況と思います。

このように、2ちゃんねる、ニコニコ動画と、アンダーグラウンド化してコミュニティーが盛り上がりある一定のところで運営側や社会が危険を感じるもしくは、実際に危害を及ぼす事態になったときに、アンダーグラウンド要素を排除する施策を取られるというのは一定のパターンがあるのかもしれません。

今回の漫画村の騒ぎにしても、一般大衆が漫画家に向かって、「私は××××のファンです。いつも漫画村で読んでます!」って平気で言うような事態になり、社会へ実害を及ぼすフェーズに入ったのに、漫画村PROなんて火に油のようなことを運営側が行う状態となり、様々な人々が政府まで動かして規制に動くような状況になってしまったわけです。今回のパターンだと、脱法ドラッグのケースと似ているのかもしれません。法律上規制されていない危険なドラッグをビジネスにしたケースです。この脱法ドラッグによりいろいろな事件が起きたのを記憶しています。アンダーグラウンドサイトからまず始まり、そこから運営が規制するか、社会が規制に動くか。

きっと、アンダーグラウンドサイトで盛り上がっている間が、影の世界のおいては、最も洗練されていてビジネスになり得るんだろうと思います。供給側も需要側も、ある意味秩序を守って社会に対してうまく隠れている。そこに一般大衆がどかどか入ってきて、無秩序が生まれ社会問題化していく。

したがって、アンダーグラウンドサイトがアンダーグラウンドのままであるためには、非常に高い技術が必要であるのだと思います。ほっといたら、壊れるか、無害化されて違うものになってしまうのでしょう。

 

アンダーグラウンドサイトたる条件

話を整理します。アンダーグラウンドサイトがアンダーグラウンドたる条件を列記します。

 

法律スレスレ(グレー)であること

完全に法律違反であることについてはこれは大衆を惹きつけられません。一般的に罪悪感が人にはありこれを乗り越えられないエンターテイメントは大衆化しません。大丈夫なのかどうかわからないところに近くことにスリルを感じ、高揚感を覚えるのです。何か高度に整理された社会の中で、誰も知らない抜け道を見つけたような気持ちになるのかもしれません。

 

楽しみ、喜び、のようなポジティブな感情を得ること

つまらないことには魅力はありません。アンダーグラウンドサイトから得られるもの(それはモノかもしれないしサービスかもしれない)が、違法性を感じながらも、楽しい。喜びを覚える。そういうことが条件にはなるでしょう。

 

身近な人が知らないこと

身近な人が知っているようなことは、もはやアンダーグラウンドサイトではありません。ですからツイッターでトレンドになるようなことではありませんし、人から教えてもらうことではありません。

でも、そういうことって、身近な人に教えたくなりますよね。・・・っていうのがあるんだよ。そうやって口コミで広がっていきます。そうやって、アンダーグラウンドサイトから毒がどんどん振りまかれていって、最後には社会に牙を向くようになります。運営が何もしなければ。

 

少なくともこの3つの条件は、アンダーグラウンドサイトの条件になると思います。これらが欠けたときに、終了あるいは別物になります。

 

考察

私が思うに、整理された、予想可能な身の回りの日常は、退屈です。年を重ねるごとにその性質は強まっていきます。だから、人は旅行に行ったり転職したり、結婚をしたり離婚をしたりと、いろいろと環境を変えたがりますが、限界はありますしなかなかエネルギーのいることです。

簡単に、刺激を得る方法を探しています。それがアンダーグラウンドサイトの世界だと思います。いつの世でも、アンダーグラウンドサイトの芽が生まれ、引き込まれる人も一定数いるのだと思います。

そして、今、海賊版サイトが軒並み消え、現在のアンダーグラウンドサイトがインターネットにおいては空白地帯となっているように思います。しかし、人間の性質上何らかのアンダーグラウンドな世界がどこで開かれると思います。一昔前は仮想通貨もそんな雰囲気だったのですが、これも金融庁や金融関係の大手が手を入れ、整然としつつあります。何しろアンダーグラウンド不足な状態となっている状況で、何かがまた、時間を経ずに出てくると思いますし、もしかしたら私がまだ気づいていないだけかもしれません。

アンダーグラウンドサイトの理想は、一定まで膨らんだら同好の場のままとなり、自然消滅することだと思います。これだと社会に迷惑はかけません。おそらく、人間の中には秩序、正義などの光と、欲望、無秩序などの悪の両面があり、片方を無視するとバランスが取れなくなると思われ、小規模なアンダーグラウンドサイトが社会に散在し社会全体としては安定するような世界を総称して、平和というのだと思います。警察や公安も、ごくごく小規模なアンダーグラウンドに全面的に関わるほど暇ではないと推察します(そんなことをやる人手が絶対的に足りない)。あくまでも社会の安定を掲げ、優先順位をもってより効率的に、大きな案件より対処していると思います。

インターネットには、アンダーグラウンドサイトが肥大化しやすい、いわゆるインフルエンサーが生まれやすいことで、拡散しやすい性質があるあると思います。今回の漫画村の問題をよくよく考えると、過去も繰り返されたことの一部だなという感想を持たずにはいられません。