orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

海賊版サイト問題 ひろゆきさんの記事について思うこと

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海賊版サイトの議論の件です。

ひろゆきさんは頭が切れる人と思うのですが、下記の記事については、どうもメディアの反政府キャンペーンに都合の良い文章だけ切り取られているように思います。

www.buzzfeed.com

ブログもお持ちなので、上記のインタビュー記事についてもう一度、丁寧にご説明いただくことを個人的に望みます。

 

問題点は何かというと、

・政府もしくは一部の利権団体が特定のサイトを潰せる権限を持つことが問題

・特定のサイト(海賊版サイト)を潰すためには、営業が成り立たないように、特定のサイトに広告主・広告代理店を共犯として裁けばいい

この2つの論旨です。

この2つの論旨は矛盾しています。特定のサイトが海賊版サイトである認定を、政府もしくは一部の利権団体が決定しなければ、広告主・代理店を違法に問えないからです。

 

海賊版サイトはこうやってつぶす!、というからには、どんなWEBサイトを海賊版サイトと決めるかの方法を、先に定義しなければいけません。それって、「一部の利権団体」という言葉以外に何か表現できるのでしょうか。ほかに決める方法があるのであれば、それをまず具体的に提案していただきたいです。

 

音楽で言えばJASRACに当たると思います。以前、以下の記事にて出版業界にはJASRACに当たる団体がなく、ロビー活動が遅れているため法整備が遅れがちになっているという議論を書きました。

出版業界が著作権に対して強く出られないジレンマのからくりに関して - orangeitems’s diary

JASRACは、出版の著作権管理についてノウハウがあるからやってもいいよとも言っています。JASRACもネットでは嫌われていますので、同じように「一部の利権団体の誕生」も嫌われているんでしょうね。ただ、「海賊版サイト」かどうかを決めるのはどう考えても、国から委託された一部の利権団体にならざるを得ないと思っています。誰も決める人がいないのに、何かが決まるわけがありません。

 

とあるコミュニティーにおいては「広告主・代理店をつぶせばいいというのは正論で、サイトブロッキングはおかしい、政府が知る権利を制限したいだけ」というようなコメントが散見されるのですが、そもそも政府もしくは委託を受けた団体が、海賊版サイトを認定するところから始めなければ、広告主・代理店を裁けないのではないでしょうか。であれば広告に注目する場合の論点は、利権団体ではなくて、サイト停止のための技術的な方法ということになるでしょう。

ですから私は、「ひろゆきさんのコメントがいいように切り取られ、最後は政府への批判のようにになっている」という指摘をしたいのです。本筋は、「サイトブロッキングより広告主・代理店の取り締まりが良い」ということですよね。

ただその場合、順番的に、

1)サイト管理者が海賊版サイトかもしれないサイトを作る
2)広告主・代理店がリスク込みで広告を出す
3)利権団体が海賊版サイト認定する
4)サイト管理者・広告主・代理店が摘発される

となるので、広告を出すのがリスクということになりはしませんでしょうか。後出しジャンケンで海賊版サイト認定され、そのときに出稿していた広告主は共犯扱い。そうすると運用は、利権団体が海賊版サイト認定をして1ヶ月以内にサイトが閉じなければ、もしくは広告の出稿をやめなければ、(4)になるというのが望ましいですかね。どちらにしても、この運用すら広告業界に大きな影響を与え経済活動にダメージとなるのは間違いなく、拙速な方法は危険です。なお、広告主はどんな媒体に代理店が出稿するのか不明な場合もあります。

 

まとめると、

・誰が、特定のサイトを海賊版サイトと認定するか(目的)
・どうやって、特定のサイトを停止に追い込むか(手段)

この目的と、手段の議論は、一緒にしてはいけないということです。

目的については、まだ何の結論も出ていないと思いますし、記事中にも妙案はありませんでした。政府が緊急措置的に3サイトを今回設定したのは何も矛盾はしていないと思います。そして立法化するときには、なにがしかの中立的な著作権管理団体を決めないといけないのは事実だと思います。

手段については、広告をターゲットにするにしても運用をきちんと考えないと、広告業界自体が萎縮してしまうのではないでしょうか。否定しているのではなく運用設計が大事ということです。ほかにも妙案があるかもしれませんので秋までに議論が必要でしょう。

 

とにかく、マスメディア系は、何か表現することに対して制限を加えるような施策については、内容が何であろうとヒステリックな反応をしがちです。今回も「政府反対」があらかじめ論旨にあって、それにメールの言葉をうまく当てはめられた印象です。目的と、手段と別々にご提案が欲しいところです。片方だけであればまぜこぜにしない努力をする必要があります。

私としてはひろゆきさんに、ブログなどでご説明いただけるとうれしいです。

 

追記

海賊版サイト撲滅のために議論すべき、あと一つ大事なこと - orangeitems’s diary