orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

漫画村のサイトブロッキング問題とDMCAの洗練されていない運用

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DMCAを考える

漫画村のサイトブロッキング問題についていろいろな意見を耳にします。

法律論については専門家に任せるとして、1つ興味深い意見があります。

 

CloudflareはDMCA受け付けてるので、コンテンツホルダーは通報すべき
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.orangeitems.com/entry/2018/03/16/103735

 

まずはDMCAとは何かということを定義し、その上で現在どのように運用されているのかを確認し、これが海賊版排除に向けて有効かどうかを考えていきたいと思います。

 

DMCAとは何か

DMCAのWikipedia上の説明を確認しました。

デジタルミレニアム著作権法 - Wikipedia

デジタルミレニアム著作権法(デジタルミレニアムちょさくけんほう、英: Digital Millennium Copyright Act:DMCA)は、アメリカ合衆国で1998年10月に成立し、2000年10月に施行された連邦法。

こちらは、アメリカの著作権法のことを示します。

この法律が成立するまでは、著作権を盗用していたサイト管理者が判明する場合のみ、インターネットプロバイダーが直接管理者へ削除申請を行うことで、盗用コンテンツの削除が可能でした。しかし、不明な場合は削除ができずそのまま残ってしまいます。残っている間は機会損失やインターネットプロバイダーの損害賠償のリスクが発生します。これを解決するための法律です。

この法律ができて以降は、著作権者がインターネットプロバイダーが侵害を請求したら、すぐにインターネットプロバイダーが削除することが可能になりました。そのあと異論があればサイト管理者が訴え出て、そちらが正しい場合は復活させるという手段となっています。

 

日本では?

アメリカではわかりましたが、日本ではどのような法律があるのでしょうか。DMCAに対応する法律として、2002年5月に施行された「プロバイダ責任制限法」という法律があります。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 - Wikipedia

この内容を見ても理解しづらいので、以下の解説サイトをご紹介します。

www.fuhyo-bengoshicafe.com

上記のように、日本においても削除を申請することができます。ただし、アメリカほどアグレッシブに運用はされておらず、本記事の内容の通り弁護士にご相談いただき対応したほうが確実だと思います。

 

アメリカのアグレッシブなDMCA運用

DMCAの運用については、アメリカ企業はかなり前のめりでシステム化しています。というのは、アメリカ企業の場合グローバルにビジネスをするのでできるだけ標準化し自動化したいからです。各国の状況などに合わせずDMCAをグローバルに運用します。したがって、GoogleやTwitter、Facebookなどのアメリカ企業は、DMCAを日本のサービスにおいても適用しています。

したがって、日本国内においても、アメリカ企業が自分の著作権を侵害していると思った場合は、DMCAに基づいて著作権侵害による削除を申し出ることができます。

下記にGoogleの場合の方法がまとめられているサイトをご紹介します。

www.seohacks.net

ちなみに、Googleのルールで、申し立てた人の個人情報が公開されてしまうらしいので要注意です。安易な利用は危険です。

56s.thick.jp

ここに書いてあるように、盗用したコンテンツが消えるほうが無難かもしれません。

 

Twitterの場合も掲載します。やはり自分の個人情報が開示されてしまうとのこと。

sbapp.net

 

何しろ、裁判所を介さず、プロバイダーがいきなり削除でき、しかもそれが本当かどうかは削除されたあとに話し合おうというかなりアグレッシブな運用方法が実際に運用されていることを日本人の我々は知るべきだと思います。

 

DMCAが悪用された「艦これ」のケース

ソーシャルゲームで有名な「艦これ」が、DMCAの悪用の被害にあったニュースが最近報道されました。

diamond.jp

2月22日、株式会社DMM.comが配信するブラウザゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」の公式Twitterアカウントが、第三者の虚偽通告から、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)による著作権侵害だとみなされ、凍結された。同アイコンの画像を自身が描いたものと主張する第三者が、Twitter社に対し連続して虚偽の通告を行ったことが原因だという。

 この記事の中で、DMCAが悪用されやすい運用であることを、福井弁護士がおっしゃっています。

福井弁護士 大手のプラットフォームは、申請を受けるとかなり機械的に削除を行います。その結果、本来は問題のないコンテンツが、悪意の通報によって削除されてしまうケースもあります。彼らはまさに億単位のコンテンツや投稿を扱いますから、従来のクレームのような個別処理は到底できず、必然的に大量・機械的処理となり、悪用もされやすいのでしょう。

この通り、DMCAの運用自体かなりの無理をはらんでいると思います。悪意を持った人間が正式なコンテンツに対して、削除申請を行うことによって業務妨害をすることが現実に発生しているのです。

 

漫画村にDMCA著作権侵害申し立てはできないのか

DMCAによる著作権申し立てを行う場合に、どこに行うのかという議論があります。下記の記事を見つけました。

kai-you.net

出版社はこれまでも、数多くの海賊版サイトを相手にしてきた。画像検索に限らず、Google自体の検索結果から著作権を侵害しているものを強制的に除外するように求めることができるDMCA侵害申し立ても行ってきた。

申し立てが記録される「LumenDatabase」を確認すると、「漫画村」ドメインへも出版社や弁護士から日夜無数のDMCA侵害申し立てが行われていることがわかる。

 このLumenDatabaseの存在は初めて知りました。

https://lumendatabase.org

ちょっと使ってみましたが、重い・・。とりあえずなんとか、mangamura.orgのDMCA申請を検索してみました。

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・・確かに、上記は集英社からGoogleへ、ですが、362件も申請が行われていることがわかります。ただ、残念ながら、ほとんどGoogleに対してのように見えます。実際はホストしているCloudflareに申し立てないといけないでしょう。

また、Googleの場合は検索結果に対してのみの申請となるので、個別のURLとならざるを得ない、サービス全体の検索結果までは排除できないということも透けて見えます。コンテンツ自体を削除するものではないのです。

 

Cloudflareに対してDMCA削除申請するとどうなるか

CloudflareにDMCAの削除申請をするとどうなるかをレポートしてくれている記事があります。

shizusa.net

この記事の通り、CloudFlareは「キャッシュしてるだけー」との企業姿勢があり、そのオリジンサーバー(コンテンツを持っているサーバー)を持っているホスティング業者にDMCA申請があったよーと伝えるだけというお粗末な話が掲載されています。

で、ホスティング会社が、「防弾ホスティング」だとそこで止まってしまうとありますが、防弾ホスティングとはなんでしょうか。

 

防弾ホスティングとは

このshizusa.netというブログはいろいろと面白い記事が載ってますね。

shizusa.net

防弾ホスティングとは、深層Web、つまりダークウェブまでは必要ではないが、一般からアクセス可能なクリアネットに設置する必要があるWebサイトに用いられるものになります。
多くの防弾ホスティングはコンテンツの内容に関して責任を持ちません。外部からの通報があっても無視し、サーバーを停止させるようなことをしません。米国外に設置されている場合は、DMCAも無視します。

話がつながった!

CloudFlareに仮にDMCA申請しても、ホスティング業者へ警告が転送されるだけ。そして、ホスティング業者は一切無視。終わり。

この構図が成り立っているんですね。で、下記の記事にもあるとおり、キャッシュにも著作権が認められたことでCloudflareは窮地に陥っているということです。

www.orangeitems.com

 

私の意見

基本的に、日本の著作権は日本において主体的に守るべきだと思います。そのためには、DMCAというアメリカの法律、Cloudflareというアメリカの企業、そして防弾ホスティングという無国籍な悪意に対して、日本でできることをしなければいけないと思います。

まずは、サイト・ブロッキングの実施を確実に行うべきだと思います。これは日本の意思で日本が独自にできることです。そこで、日本からの海賊版サイトへのアクセスを劇的に減らす。そうすれば運営はできなくなります。PVのないサイトに価値はありません。

次に、Cloudflareに対しては外交的にも圧力をかけるべきだと思います。これは政治の世界だと思います。日本の著作物を明らかに違法な形でキャッシュしています。アメリカでも判例が出ていますので正しいロジックだと思います。

以上が、DMCA著作権侵害申請をCloudflareに出しても短期的には解決しない思う理由、また、日本が緊急避難的にサイトブロッキングを行うべき理由でした。

 

追記

Googleも姿勢が変わってきた気がします。

www.orangeitems.com