orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

テスラ、ウーバー、自動運転実証実験中の複数事故をトリガーに米国株急落

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自動運転実証実験中の複数事故をトリガーに米国株急落

自動運転で自動車業界のイノベーターと言われていたテスラが死亡事故を起こしたこと、また配車大手のウーバーも別件で死亡事故を起こしたこと、それぞれで自動運転の実証実験の一時中止を決めたことで株式市場に波紋を起こしています。

 

テスラの事故

jp.reuters.com

今回の死亡事故に対し当局が調査に入ったとの報道を受けて、27日の米株式市場ではテスラ株が売り込まれ、8.2%安で取引を終了。米半導体大手エヌビディア(NVDA.O)も米配車大手ウーバー・テクノロジーズUBER.ULの自動運転車が歩行者をはねて死亡させた事故を受けて、自動運転車の試験を世界的に中断すると発表したことが響き、株価が7.8%下落した。

 

ウーバーの事故

www.jiji.com

米メディアは27日、米半導体大手エヌビディアが、米国や日本を含む全世界で自動運転車の公道走行試験を当面休止すると報じた。米配車大手ウーバー・テクノロジーズの自動運転車が試験中に歩行者をはねて死亡させたことを受けた措置。

 

米国株の下落を受けて、今日の日本株も大きく影響を受け下落しています。ただ、ウーバーやテスラ自体は日本の自動車業界からすると脅威ではあったはずです。二社の周りにはどんな企業が関係しているかを知っておく必要があると思います。

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関係各社について

エヌヴィディアの紹介

エヌヴィディアは、1993年にアメリカにて企業した半導体の会社です。GPUというグラフィック用のプロセッサーに定評があり、パソコンやゲーム機に搭載されています。実はNintendo Switchにも搭載されていますが、一般の人にはなかなかぴんと来ない企業かと思います。

実は、このGPUというプロセッサーは、グラフィック用にもともと作られていたのですが人工知能や仮想通貨のマイニングにも応用できることがわかり、現在はこちらの引き合いの方が多くなり逆に、GPUが品薄になっているほどです。PCゲーマーは困っているとか。

www.itmedia.co.jp

 

テスラの基盤

一方で、自動運転に話を戻すと、テスラの自動車にはこのエヌヴィディアの基盤が全て搭載されています。

robotstart.info

テスラモーターズは今後、すべてのテスラ車両(Model S、Model X、発売予定のModel 3)に、完全な自動運転機能を提供できる車載「スーパーコンピュータ」を装備すると発表。
今後装備される車載「スーパーコンピュータ」には「NVIDIA DRIVE PX 2」AIコンピューティング・プラットフォームが採用される予定だ。

つまり、テスラの自動運転の動作基盤はエヌヴィディアそのものであることがわかります。

 

ウーバーの基盤

また、ウーバーはウーバーで、エヌヴィディアを採用しました。

response.jp

ライドシェアサービス最大手のUber(ウーバー)は、米国ラスベガスで開幕したCES 2018にて、自動運転車両に搭載するAIコンピューティングシステムにNVIDIAの技術を採用したと発表した。

ウーバーは、ソフトバンクが投資していることも付け加えておきます。

www.bloomberg.co.jp

ソフトバンクは直接投資も行いウーバーの筆頭株主に

 

エヌヴィディアと自動運転の関係

テスラとウーバーはもはや自動運転をめぐっては競合関係にあり、どちらにしてもエヌヴィディアを使っているということになります。

 

エヌヴィディアは多くの自動車会社とも提携しており、結局のところエヌヴィディアが実証実験を中止するということは世界に波紋を広げるということにほかなりません。

www.nvidia.com

 

なお、エヌヴィディアには、同じようにソフトバンクがファンド経由で投資をしていて、5%近くを持つ第4位株主です。

www.nikkei.com

ソフトバンクが取得したエヌビディア株は同社の発行済み株式全体の5%未満。ソフトバンクは新ファンドの発足を前に市場から同社の株式を買い集めていた。

  

パナソニック

どうしてここでパナソニックが出てくるかと言うと、テスラの自動車の車載電池にはパナソニックの電池が使われているからです。

toyokeizai.net

パナソニック副社長はテスラについて、「ある意味では運命共同体だ」と語る。

一方で、テスラの経営にリスクが生じた場合は、パナソニックも大きな影響を被ることになり、トヨタとの連携でなんとかリスクヘッジしようとしている状況が見えます。

 

まとめ

国内に目を向けると、ソフトバンクが大きく影響を受けそうです。次にテスラの生産能力が上がってこず自動運転の実験中止も重なっていることで、パナソニックもリスクを抱えていることがわかります。両社株価も、日経平均と比べても下げが厳しい状態です。

今回の実験事故において死亡事故まで発展したことで、一度ブレーキをかけなければいけない事態であることは確かです。テスラも財務的には時間が限られているのは確かで、かつエヌヴィディアへの信頼が棄損してしまったことで、連鎖的に自動運転関連で期待されていた部分が悪材料となり株安を招いてしまったのが理解できました。日本の自動運転実験にも影響は少なからずありそうです。

中期的に今回の出来事がどのように収束していくのか、ニュースを見守りたいと思います。