orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

音楽教室・JASRAC間のレッスン著作権問題と文化審答申が話題となっている件

f:id:orangeitems:20180306010259j:plain

 

JASRACと音楽教室の対立

著作権を考えるニュースが多いですね。

www.asahi.com

日本音楽著作権協会(JASRAC)と音楽教室が著作権料徴収で対立している問題で、文化審議会は5日、JASRACの徴収開始を認める長官裁定を出すよう答申した。指導・練習の演奏には著作権が及ばないと反論している事業者には、音楽教室側との裁判で確定判決が出るまで督促を行わないようJASRACに求めた。文化庁は答申に沿った長官裁定と行政指導を月内にもする見通し。

この件については昨年より話題となっていましたがきちんと学んでおきたいと思います。裁判中ではありますが徴収は開始するとあり、かなり強硬な雰囲気で、JASRAC寄りのように見えます。

ただ、よく記事を読むと今徴収を開始しておかないと裁判を勝訴しても、さかのぼって取れないからということが理由であること。また拒否した場合は催促しないことなど、一定の配慮もされており、文化審議会がJASRAC寄りの答申をしたわけではないと思います。単に事務的な話であり、音楽教室側は拒否すればいいだけの話でした。あまりタイトルに煽られないようにした方がいいと思います。

 

なぜJASRACは音楽教室から徴収したいのか?。またなぜ音楽教室は徴収されたくないのか?。

いまひとつJASRACのホームページを見ても徴収の根拠を論じているわけでもなく、徴収することありきで理解がしずらいです。

 

何か包括的に、音楽教室とJASRACの言い分をまとめた記事がないか調べたところ、うってつけの記事を見つけました。

www.buzzfeed.com

 

お互いの主張はそれぞれ正義があると思いました。まさに裁判で決着を付けようとされているのであり、私が法律論を持ち出しても意味がありません。決着自体は時間がかかりますがすると思いますので、この結果を待ちたいと思います。

 

世間の誤解を検証する

JASRAC自体は非常にインターネット世論からは嫌われていると思います。ただ、漫画村の件の混乱を見ると、これだけロビー活動に長けた集団が音楽家の権利を守っているのは良いことである側面もあります。違法ダウンロードもなぜか、映像・音楽のみであり、画像や小説などは除かれています。JASRACには著名な音楽家も属していることから良い面もあると思います。

嫌われているからこそ、誤解されている部分があるのではと思い、今回の音楽教室の件でいくつかの議論を検証します。

 

文化審議会にはJASRACのメンバーも1名入っている。だから有利な答申を働きかけたのではないか。

こちらが現在の名簿になります。

第17期文化審議会委員 | 文化庁

この中で、渡辺俊幸さんがJASRAC理事です。ただ20名いらっしゃる中の1名です。ただだからと言って有利な答申が作成されることはないと思います。そもそも、今回は前段でも書きましたがどちらかに有利な答申ではありません。そもそも、JASRAC側が勝訴してもさかのぼって請求できないような答申であれば、JASRACに不利で音楽教室に有利な答申になってしまいます。裁判の結果を尊重することが前提で、答申は中立というのは問題ないと思います。

このあたりは、別のブログを見るとまた違う意見が書いてあります。私の意見はJASRAC寄りだと読まれるのかもしれませんが、いや、音楽教室寄りの意見が世の中多すぎるなあとも思っています。私は裁判中は中立であるべきだと思います。

判決は裁判所が出しますし、徴収が誤りと信じるのであればそれまでは、音楽教室は拒否すればいいだけの話だと思います。

 

街の音楽教室まで取るの?

JASRACが考える音楽教室とは、今のところ楽器メーカーや楽器店が運営する楽器教室が対象となっています。ただ将来は、ホームページで不特定多数に募集して運営する音楽教室まで広げようとしている模様です。

楽器教室における演奏等の管理開始について(Q&A) JASRAC

この書き方だと、小中高などの学校は対象にされないと思われます。

範囲を限りなく広く捉えてらっしゃるかたもいらっしゃいましたので付け加えました。

 

全部の曲を把握するのって難しいのでは?。どうやって徴収するの?

JASRACは以下の支払い方法を用意しています。

http://www.jasrac.or.jp/news/pdf/17060702.pdf

(1)受講料合計(売上)の2.5%

(2)生徒数と月間受講料に応じた固定額

(3)曲を集計し、曲ごとに払う

どう考えても、ヤマハなど大企業の音楽教室については(1)に誘導したいのが見え見えです。システム化するにしてもコストが必要です。テレビ局やラジオ局も(1)のような算出方法を行なっていると思います。

不思議なのは、(1)で算出した場合、音楽家にどうやって支払われるのか。

下記にまとめてありました。

主な利用形態ごとの許諾・請求・分配のしくみ JASRAC

なるほど、どっちみち、音楽教室は、どんな曲を使ったか、全曲報告という作業が必要ですね。

こりゃ大変だわ

まあただ、音楽家の言い分もわかる気はします。このあたりの判断は裁判の結果を待ちます。

 

まとめ

JASRACがきちんと音楽家に還元しているかについては、透明化し国民に理解を得るような施策はしなければいけないと思います。JASRAC関係者で私腹をこやしているのではないかという陰口はよくネットで見ます。これはもう、JASRACが会計的な正当性を示していくしかないと思います。

一方で、音楽家が何かを生み出して、それに対して知らないところで使われて報酬が得られないのはまずいと思います。それが教育の場であってもです。著作物には権利があり、利用には費用がいるというのは、教育的にも大事な見地であると思います。

ネットを見るとJASRACや文化審議会への批判が溢れかえっていますが、冷静に情報を把握すべきと思いました。