orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

漫画村とムラマツ・レポート

f:id:orangeitems:20180301125422j:plain

 

ムラマツ・レポート

出版社の中にも、正しい哲学を持って漫画に取り組んでいる方がいらっしゃるんですね。

www.huffingtonpost.jp

 「コミックDAYS」の企画を中心になって進めたのが、「週刊ヤングマガジン」編集部で副編集長を務める村松充裕(むらまつ みつひろ)さんだ。電子市場が拡大する中、「出版社がやれることをやれていなかった」と話す村松さんに、アプリの企画・開発に至るまでの背景や狙いを聞いた。

 

ムラマツ・レポート、というのはこちらの村松さんが書き上げた報告書です。現在の電子化の流れに対して最適化していかないと漫画が読者に届かなくなるという内容です。

こちらが最終的には全社に配布されることになり、これを解決するために立ち上げられたのが「コミックDAYS」とのことです。

comic-days.com

WEB版はもうサービス開始しており、アプリ版は近日配信予定とあります。アプリ版が出たら私も入会するつもりなのですが・・まだですね。今日配信のうわさもあったのですが、配信されたらレビュー記事を書こうと思っています。

スポンサーリンク

 

さて、村松さんが持っている哲学は非常に正しいと思っています。

・出版社は「漫画を読者に届けること」をやれていなかった。

・新たなやり方が求め続けられるようになり、その状況に出版社が戸惑ってきたのが、ここ5年出版業界で起こっていたこと。

・「コミックDAYS」のサービスの方向性としては、漫画が「見つかる」こと、「読みたくなる」ことを重視。

・漫画の数が増えているのに、読者が新しい漫画と出会ったり読みたくなるという機会が少なくなっている。

・いま漫画を売るにあたって最もコストがかかる「見つけてもらう」こと、「読みたくさせる」ことに注力していきたいと思っている。

もう全部正しいです。全部。

 

そしてビジネスモデルの話。

・「ユーザー(読者)と作り手側の対称性が保持されているか」ということをすごく考えている。

・破格の定額制サービスで全ての出版社の漫画が読めるようになってしまうと、対称性が取れない。

・様々な出自のプレーヤーが揃っている中で、どんなビジネスモデルでやっていくのがベストなのか。それを、僕は出版社に属する立場として考えないといけない。

 さすがプロ。正しい。正しすぎる。

 

さて、最も大事な下りはそのまま引用します。

——海賊版サイト問題についての議論が進む中で、講談社や集英社、小学館など日本の出版社が手を組んでサービスを作るべきではという指摘もあります。

これはあくまで僕個人の意見ですが、海賊版サイトには厳正に対処しつつ、一方で作家への還元が担保される形になるのであれば、出版社横断のサービスができるのはいいことだと思います。

漫画家の赤松健先生が立ち上げた「マンガ図書館Z」は、無料で絶版になった漫画を楽しめる代わりに「広告が表示される」という仕組みで成り立っています。これには作家も読者も出版社もみんな納得がいきます。

非常にいい線引きだなと思っているのですが、同様に、定額制読み放題サービスに関しても「ユーザーが納得できて作家の利益も担保できる」という線引きができるのでは、と思います。その感覚を漫画家・出版社・ユーザーの間に醸成できれば、大規模な漫画のサブスクリプションサービスを作ることも可能ではないかと思います。

そう、大規模な漫画のサブスクリプションサービスです。そして取次業者も加わってもいいと思います。これまで漫画文化を長い間醸成した関係者が、資本を集めてきちんと作ってほしい。本当に使いやすいものであれば、漫画の持つ力が十二分に発揮され、参加者が全員勝者になれると思います。

ユーザーと、漫画家と、出版社の間でいがみ合っている場合ではないのです。

 

まとめ

ムラマツレポートは、漫画化しませんか??

コミックDAYSが立ち上げられたことは、日本の漫画文化にとってもターニングポイントとなると思いますし、このフォーマットを他の出版社に広げられないかなあと思います。そもそも、コミックDAYSでは同じ出版社なのに少年マガジンが読めない問題とか、dモーニングとサービス内容が被る問題、とか小さくて大きな問題が同じ出版社の中でも起こってるぐらいなので、いばらの道ではあります。が、何もしないより百倍良いわけです。

しかし、コミックDAYSの作りを見ていると、漫画村に似てくるわけで、漫画を読者に届けるという一点だけで見ると、出版社や漫画家があれこれ戸惑っている間に、海賊版サイトにそれをやられてしまった感があります。

一方で私は海賊版サイトを使うつもりはないし、でも今の電子書籍の売り方だったらKindleで最小限しか買えないという状態でした。ほかの電子書籍サイトだと急に閉まるかもしれなかったですし読みにくかったですからね。で、コミックDAYSには入会する予定です。海賊版サイトを見るのは道理的に考えて楽しくありませんから。

 

以前書いた記事たち、

出版問題 カテゴリーの記事一覧 - orangeitems’s diary

で書いたことが、ムラマツレポートにかなり一致しそうなので、これはコミックDAYSを足掛かりに何かはじめてくれるのではないか、とワクワクしています。

 

漫画が読者に、私にスムーズに届くようになり、また漫画漬けの日々がやってくることを願っています。漫画は超楽しいですから。