orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

波紋呼ぶJavaサポート打ち切りの横で、IBMがちゃっかりバージョン8のサポートを2022年まで伸ばしているという話

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広がられても。サポートだもの。

不安が広がる・・・っていう、日本のノンキなJavaの話です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

この決定に対し、自治体関係者らの間に不安が広がっている。Java実行環境(JRE)を使う自治体の電子入札システムなどが情報セキュリティを理由に使えなくなる恐れがあるためだ。

 

復習

以前お伝えした通り、ORACLEが伝家の宝刀Javaのマネタイズ化を進め出しました。

2018年にJavaを利用している人は全員理解すべきことを説明してみる(追記あり) - orangeitems’s diary

2018年2月に入って、自治体がJavaを利用しない新システムの開発をJACICに求めたり、有償サポートの条件緩和など利用者の負担軽減をオラクルに求めたりする動きが広がっている。JACICは「どう対応するか検討を急いでいる段階だ」と明かす。

というふうに、問題意識は広がりつつありますが、急にシステムをJava以外にせいと言われてもそんなにすぐに開発できるわけがないですよね。で、オラクルさんお願いしますよ〜となっていると。来年末のJava8サポート切れを考えると全く時間はありません。

電子認証に詳しい関係者は「オラクルはサポート対応期間について改めて配慮するのではないか」との見方を示す。 

 とありますが、正直オラクルの温度感としては認めるわけがないです。大手SIerもそんなにまともに交渉しないと思います。なぜなら、Javaがサポート切れになった方が、システム改修として案件になるからです。やっぱりオラクルは認めないそうです〜、と半分嬉しそうな顔で言ってくるでしょうね。

そもそも、今まで、無償なのにベンダーがサポートするという体制が無茶だったと思います。何処かのタイミングでJavaがこうなるのは目に見えていたのですが、関係者は目をつぶってJavaを使っていたという状況です。ついにその時がきてしまいました。

 

きっと、オラクル傘下のMySQLだってそういう運命にあると思います。オープンソースである限り、急にサポートポリシーが変わって安定稼働していたシステムが急に脆弱性にされされることは、今回を教訓に知っておいた方がいいと思います。

オラクルといえばOracle DBですが、ライセンスポリシーの変更を2016年に行い、そうとうシェアを減らしていると聞きます。一番安かったStandard Oneというバージョンが無くなり中小企業は他のデータベースに相当移動したようです。

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一方で、オラクルはJavaに大規模なポリシー変更を加えたり、クラウドへの投資を増やしたりとかなりの賭けに出てきています。自治体がクレームをあげてもグローバル戦略を覆せるわけがないと思います。

 

正直なところ、Java8をあと100年ぐらいOracleがサポートしてくれればいい、と30億人くらいが思ってそうですが、そうはいかないですよね、商売ですから。

 

今後の予想

というわけで今後の予想です。

1)Oracle JDK 11 LTS版が出てくるのが2018年9月ごろ。この載せ替え案件が頻出するも、納品が2019年1月という条件になっているので、どのベンダーも手を出さないでさらに混迷が広がる。また、Oracle JDKを使うので保守費が跳ね上がる。

2)Oracle JDK 11 LTSではなく、OpenJDK11 LTSが(噂の通り)出る。しかし結局条件は(1)と同じ。出なければこの選択肢は消滅する。

3)別の言語への移植を進める案件が頻出するも、そんなの数ヶ月でできるわけがなく、混迷が広がる。

4)オラクルが折れて、Oracle JDK8のサポート期限を2020年末に伸ばしてくれる。これをもとに、(1)や(2)や(3)を行いなんとか切り抜ける

 

ということで、ソフトランディングで現実的なのが(4)しかないというヤバさです。しばらくサポート切れを我慢して(3)などはアリなのかもしれませんが。

 

(2018/6/23追記)金額が払いやすい「Java SE Subscription」というモデルがOracleより発表されています。 こちらの記事をご確認ください。2025年までJava SE 8をサポートするというのがポイントです。

 

IBMなら

ここからは今気づいた話。IBM Java SDK 8なら

developer.ibm.com

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おお!V8も2022年4月までサポートしてくれるぞ!

というわけで、IBMがJava案件を刈り取りに来るかもしれませんねもしかしたら。

IBM SDK, Java Technology Edition バージョン 8 は、Oracle Java SE バージョン 8 クラス・ライブラリーと完全な互換性を持つ新規リリースです。

IBM Knowledge Center

これ結構、アリな提案だと思うんだけども。

さあどうなるどうなる・・。

 

追記(2019/1/21)

 

もっと、はっきりアピールしました。

IBMがJava 8を「少なくとも2025年までは確実にサポートする」とアピール - orangeitems’s diary

 

 

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