orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

コインチェック問題、日本円はどこに行ったのか

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問題

今回、コインチェックの問題によって、5億2600万NEMが不正に出金されました。かつ会見では、580億相当と言われるその価値について、保全されるかどうかも含めて白紙という状況です。

私が問題に思ったのは、コインチェックが今どれぐらい流動資金を持っているか、という点です。これは会見でも記者の方が何度もツッコミを入れていたのですが、語られることはありませんでした。

 

どこに、日本円は行ったのか?

コインチェックでアカウントを作るのは本当に簡単でした。3分でできると書いてあったのですが、1分もかかりませんでした。

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で、これで仮想通貨が手に入るはずはありません。

(本人確認等が済んだ前提で)
1)まず、日本円をコインチェックの口座に入金する
2)次に、コインチェックのサイト上で日本円を仮想通貨と現在の相場で交換する。
3)すると、仮想通貨の残高が増え、日本円の残高が減ることになります。

こんな手続きになります。株やFXを行うときも同様ですよね。ここでです。日本円はどこに行くのでしょう。私はここを感覚的に理解するのが非常に大変でした。Google等でも答えが見つからなかったので、記事を書きました。

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円は、仮想通貨を売った人へ、取引完了と同時に移動する

これが答えです。ビットチェックは世界の取引所とインターネットで繋がっており、仮想通貨を円で買いたい人(私)と、仮想通貨を円で売りたい人(誰か)をマッチングします。

私が仮想通貨を手に入れたら、誰かは円をもらえないとおかしな話なわけです。

したがって、取引所は、別の取引所に対して、日本円を送金することができる必要があります。逆もしかりで、円を受け取って顧客口座へ入れることができなければいけません。

したがって、取引所は、お客様の円を預かりますが、円で所有せず仮想通貨で所有したい人がユーザーにいればいるほど、結果的に円での預かり資産は小さく仮想通貨の預かり資産が大きいということになります。

ここでいう仮想通貨は、NIMでもビットコインでもなんでも同じです。単に、マッチングさせるための相場が違うだけという話になります。

 

取引所はどうやって儲ける?

取引所は、売買について手数料をユーザーから取得します。これが取引所の利益になります。コインチェックがCMをガンガン打って取り扱い資産を増やしたかったのは、この手数料収入を最大化することが目的にほかなりません。

したがって、取引所が580億相当のNEMを持っていたとして、その取得のために必要だった円は、もう誰かの手に渡っていてコインチェック社の手元にはないのです。

もちろん、コインチェックの顧客同士の取引であれば、口座の移し替えだけで終わります。円は名義を変えて、コインチェックに残ることになります。

 

勘違いしやすい点

私もワナにハマったのですが、物販であれば、手元にまず物があり、これを日本円で売ります。NEMをコインチェックが所有していて、それを円でユーザーに分けたのなら、円が残るはず。

これは誤りです。もともと、取引所にははじめはNEMは存在しないのです。

例を挙げましょう。手数料は考えないこととします。また、1NEM=100円とします。

1)ユーザーが100万円をコインチェックに入金するとします。すると、コインチェックの預かり資産は100万円です。仮想通貨は0です。

2)ユーザーが100万円で他の取引所とマッチングして、1万NEMと100万円を交換したとします。すると、コインチェックの預かり資産は0円、仮想通貨は1万NEMです。

おわかりでしょうか。取引所は、はじめに資産を持っているわけではないのです。

5億2600万NEMの預かり資産が、コインチェックからなくなるということは、その時点でそれを交換するために用意した円は、コインチェックには無いのです。

 

ローカルウォレットではどうか

自分の端末(パソコンやスマートフォン)にウォレットを持つローカルウォレットの話は以前しました。これに仮想通貨を入れるためには、どうすればいいのでしょうか。どこに日本円を振り込めば、仮想通貨が手に入るのでしょうか。

これも、簡単な話でした。ウォレットに仮想通貨を持っている人に日本円を渡し、その代わりに自分のローカルウォレットに仮想通貨を出金してもらえば良いのです。

このように、ローカルウォレットでは、物々交換なため、交換価格も相談して決めます。それだと、全然交換できないので、取引所に参加して手数料を払い、売りたい人、買いたい人をマッチングしてもらって即時に交換できる、のですね。

株も同じ仕組みです。未公開株はなかなか売れません。買えません。上場して、取引所で証券会社経由で売買するのです。

 

それでは、無くなった今回は、ユーザーに何も保障されないのか

今回、コインチェックは一切の出金を止めています。コインチェック側には、NEM以外の預かり資産があり、おそらくビットコインは580億以上あると思われます。あそこまでビットコインならコインチェックとやっていたので、まずはビットコインから始める方が多かったのではないでしょうか。また、もちろん日本円の預かりもあると思います。

通常の金融の考え方なら、取引所(金融機関)と、お客様の資産は切り離されています。したがって、全部を日本円に換金して、按分して返すということはできないと思っています。それができれば、例えば5800億の預かり資金があれば、毀損した10%(580億)を差し引いて、9割、全ユーザーに戻ることになります。倫理的には「とんでもない!」です。これは弁護士等、高度な法的な行動をする必要があります。これが、いわゆる和田代表の言う、「投資者保護の観点から、全力を尽くして検討する」だと思われます。弁護士も含めて検討し合法かつ納得のいく方法をとる必要があります。

 

証券会社の場合だと、SBI証券のサイトが詳しいです。

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この通り、金融証券取引法により、証券会社は日本投資者保護基金という仕組みに金融機関は入らねばならない、とされており、合計1000万までの補償が受けられます。

 

一方、銀行だと、預金保険機構により、同じように、預金保険制度という補償の仕組みがあります。

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残念ながら、FXや先物取引、仮想通貨取引等は、このような補償はありません。つまり、2016年初頭に社員が数名だったと推察されるコインチェック社が、580億相当を補償するキャッシュを持っているなど到底想定できない、というのが結論です。おそらく、オフィス賃料やシステム開発費、人件費等で投資段階にあったと推察され、手元資金は限られていたと考えます。

追記 2018/1/28 1:30AMに補償方針がコインチェック社より示されています。自己資金による補償をするという内容です。上記推察はいったんはずれたことになります。どのようなスキームなのかは上記記事で吟味したいと思います。 

結論

理解が進みました。

・このスキームは間違い →   仮想通貨をコインチェック社が所有していて、それを投資家に売って日本円を得た。

・このスキームが正しい →  投資家から日本円を一時的に預かり、他社の取引所でマッチングさせて日本円を他社に送金し、仮想通貨を預かり資産にした。

 

問題の本質に近づいた気がしたので、新しい記事を起こしました。

 

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