orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

任天堂がコロプラを特許侵害で訴えたことに関する考察

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かの任天堂が、コロプラが配信する「白猫プロジェクト」を特許侵害で訴えたというニュースが飛び込んできました。その請求内容を見てびっくりしたので、まとめておきます。

訴訟の内容

訴えたほう

任天堂株式会社

訴えられたほう

株式会社コロプラ

訴えた内容

任天堂が所有する特許を、白猫プロジェクトが無断で利用した。

(1)損害賠償

これによる損害賠償額が44億円

また、これに損害遅延金も合わせて請求する。

※損害遅延金については後ほど説明します。

(2)アプリケーション配信の差止

白猫プロジェクトの配信を即時中止すること。

訴訟の経緯(コロプラの説明を要約)

任天堂からコロプラへ2016年9月に、白猫プロジェクトが任天堂保有の特許権を侵害するとの指摘がありました。それ以来コロプラは任天堂に、1年以上にわたり時間をかけて真摯かつ丁寧に、任天堂の特許権を侵害しないことを説明してまいりました。

しかしながら、コロプラの考えが任天堂に受け入れられるには及ばず、訴訟を提起されるに至ったものです。

損害賠償額および損害遅延金の考え方

損害賠償額

損害賠償額とは、本来ならばコロプラが任天堂に支払うべき特許利用料のことです。ある記事において5件の侵害があるという情報がありました。本当に任天堂の特許をコロプラが利用しているのであれば、当然支払いが生じます。これが44億です。

損害遅延金

損害賠償において、損害が発生したタイミングがあります。ここから支払いまで時間が経過しています。例えば白猫プロジェクトの中で、特許を侵害するアップデートを行った時期がそのタイミングです。そこから支払いが行われいない時間が経過していますので、その分、年率5%で損害遅延金を計算することになっています。

全ての特許が配信のはじめから侵害されていたことはないと思いますが、もし仮に2014年7月のリリースから積算すると3.5年分です。44億×5%×3.5年、つまり7.7億です。このあたりはコロプラ側より(侵害をしていようがいまいが)時期の確定をするんでしょう。

なお、ここは単利計算らしいです(利息の利息はない)。

コロプラが敗訴したと仮定した場合の経営インパクト

まだ裁判は始まったばかりなので、裁判の結果は全くわかりません。

ただこの請求内容がどのくらいコロプラの経営に対してインパクトがあるかは知っておきたいです。

損害賠償+遅延金のインパクト

端的に書きます。2017年9月の有価証券報告書より、

・現在保有している現金は約514億

・自己資本比率95%

率直に言って、全くもって支払えます。

貯金が514万あって借金が25万あって、50万の請求をされたぐらいな感じです。

いたって余裕。

配信差止のインパクト

私が心配したのはここです。

白猫プロジェクトに対するコロプラのビジネス依存度です。

COLOPL アニュアルレポート 2016(PDF, 14MB)から1枚のページを転載します。

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2016年9月期のグラフを注目してください。売上の7割近くが、2014年9月期リリースのアプリです。当然のことながら、この大部分が「白猫プロジェクト」でしょう。まさか「ほしの島のにゃんこ」じゃあるまい・・。

2016年の売上が約850億なので、配信停止によりこのうちの7割が失われるとするとそれ以外の売上は約260億しか残らないこととなります。2017年は白猫プロジェクトの売上はピークアウトしたとされていますが売上が520億ありますので、この中の半分ぐらいは白猫プロジェクトの売上と推測します。

配信停止が発生した場合、当然配信にかかるサーバー費用などはかからなくなりますが、社員の給与や家賃などはそのままかかり続けます。また、開発に使っていたコンピュータやソフト等の資産が不良化すれば、減価償却しきれない残存部分が損金扱いとなります。

上記の情報から推測するに、大ダメージは避けられません。

特許係争にかかる時間

インターネットを斜め読みすると1〜1年半くらいで一審の判決が降りるようです。

あまり時間がかかるものではないように思われます。

今回のニュースから学ぶべきこと

ソーシャルゲーム系は何百億という金額が動くビジネスです。

それにもかかわらず、スタートアップするエンジニアは、法律には無頓着な場合が多く、ピュアな気持ちでこのような地雷を踏みがちだと思います。

WEBサービスまで視点を広げれば、ここ最近もチケットキャンプの問題しかり、法的な問題が発生したばかりです。

もちろん、コロプラが特許を侵害していない可能性はありますが、いわゆる上場企業がその売上の多くを稼いでいるビジネスが差止の裁判を受けていることそのものが、多大なリスクと言えると思います。

エンジニア、特に開発者は、自衛のために法的な理解を進めるべきです。もしくは、業界団体がチェック機構を作っても良いでしょう(映倫的な・・)。

追伸

驚きの展開(笑)。

続報(2018/1/11  11:12)

何の特許かは気になるんですが、なかなか情報が出てきませんね・・。

news.yahoo.co.jp

続報(2018/1/13 15:12)

 コロプラより公式コメントが出ています。

colopl.co.jp

お客様への感謝とお知らせ
いつも白猫プロジェクトをお楽しみいただき、ありがとうございます。

このたびの訴訟提起により、皆さまには多大なるご心配をおかけしております。現在、白猫プロジェクトに対する多くの応援メッセージをいただいており、運営一同感謝の思いでいっぱいです。深く御礼申し上げます。あわせて不安の声もいただいているので、改めてお知らせをさせていただきます。

今回の件が影響し、白猫プロジェクトのサービスが終了するということは断じてございません。コロプラとしては、特許侵害の事実は一切ないものと確信しておりますが、訴訟がたとえどのような結果になっても仕様変更等を通じて、サービスを継続してまいります。今後もお客様のことを第一に全力で開発・改善に努めてまいりますので、変わらぬご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

差止を求められていて、どのような結果になっても継続するということを断言するのは苦しいコメントだと思います。特許権を侵害していて、ではそれを外せば続けていいんだね、というのを許すとバランスが悪いですね。やったもの勝ちになりかねないです。

続報を待ちます。