テレビは流行の発信地だった
20年くらい前は、テレビが流行の発信地だった。
音楽はカウントダウンTV見て、そのうえでミュージックステーション見ていれば世の中の流行は追えた。
ドラマは、月9を見ていれば世の中がわかった。お笑い番組も相当にお金をかけていた節がある。そこに売れ筋の芸人が冠をやるので、それを見ていれば、お笑いがわかった。
そもそも、お笑いの流行を知ると、そのタイミングでの最先端の会話エッセンスを知ることができたので勉強にもなった。今の自分のコミュニケーション能力を少なからず形作っている。
今はどうだろうか。
カウントダウンTVは、そもそもカウントダウンしなくなった。CDの売れ方が音楽の流行と結びつかなくなってしまった。
CDがアイドルへのお布施のメディアとなり、一人が複数枚購入することも重なり、売れた数が「のべ数」となってしまい、音楽の品質を表すバロメーターになれなくなってしまった。
本当に音楽を聴きたい人は聴き放題に移行したうえで、YouTubeで聴く。聴き放題メディアは、何が受けているかというのは情報としては価値があるのだが、彼らはそれを洗練したところで売り上げは変わらないのだから、適当な情報しか流してこない。
ユーザーは適当な情報をもとに再生するものだから、適当ランキングが長期に形成されてしまう。
具体的に言えば、聴き放題のポータル画面で、ランキングを表示し、その上から順番に聞けばいい音楽が聴けるとユーザーは思うだろう。
全員のユーザーがこれを行えば、基本的にランキングは固定化される。
だって、1位から順番に聴いていくんだから、再生数は1位->2位->・・・n位となっていく。当たり前。
ドラマは、お金がかけられなくなっているのにあわせて、才能がテレビに集まらなくなったのもあり、極端につまらなくなってしまった。原作をテレビに合わせて作ることがほとんどなくなり、漫画や小説の二番煎じばかりになってしまった。そもそも、漫画や小説のドラマ化は、サッカー1試合分をダイジェストでニュースにするような作業なので、原作を超えることは基本的にはない。漫画や小説のファンがドラマを見ることで一定数の視聴者層は確保できるし、原作を作る手間が削減されるので一石二鳥だと思ってやっているのだろうが、できるものがつまらないし、漫画や小説は事前に知れるので、あーあー劣化版だなと思ってテレビドラマに失望する人数がどんどん増え、誰も見なくなっていく負の連鎖にはまっている。
お笑いは、かわいそうなことに、過去のネタがYouTubeでアップされてしまう。お笑いへのニーズはM-1やキングオブコントなどを踏まえても熱は衰えていないのだが、ネットのおかげで消費スピードが爆速となってしまった。面白い芸人が出たとしても彼らの足跡がYouTubeで消費されてしまい、売れてから新しいことをやろうとしても、「面白かった過去のネタ群」が立ちふさがり実験的なことがやれなくなってしまう。「最近つまんなくなったねー」と言われることに恐怖をいただいているので、テレビで実験的なことをしなくなってしまう。そして鉄板ネタしかテレビでやらなくなってしまっている現状である。
また、一部の芸人に許されていた、「お金と手間をかけて面白さを作る」という文化も消えてしまった。これはNHKのLIFEぐらいなものではないだろうか。
今のテレビ
その結果、テレビを見ても、集まって制作会社が作るビデオを芸能界に所属する人たちがあれこれ言うというスタイルの番組、だけ、になってしまった。お金のかからないクイズ番組があふれ、クイズ番組芸人まで生まれる始末。
音楽番組は、お金になる販売ルートをサマリーすることしかできなくなり、AKB系かジャニーズか、AVEX系しか見なくなってしまった。音楽が基準ではもはやない。
ドラマは、映画やNetFlixなど、ネットの動画視聴のほうを優先して作られるようになりテレビでやるドラマはもはや「流行」になりえない。
お笑いは、毎週トレンドになるような作品を出せる体力がないので、年に1回のコンペ(M-1など)に凝縮するようになってしまった。年に1回のコンテンツは流行とは呼ばない。
結果として
音楽・ドラマ・お笑いでは上記のようなことになっているわけだが、もともとゲームについてはテレビは昔からガン無視してきていたし、小説や漫画のこともテレビは大きく扱わなかった。ニュースはそもそも流行とは関係がない。スポーツもプロ野球と大相撲、日本代表のサッカーくらいか、これらは流行というより伝統であり流行ではない。
結論
結論とするとテレビには流行はなく、ただただ形式が残るだけの器になってしまった。
おかげで、流行がどこにあるか、全くわからない。
インターネットを見れば流行がわかるかと思ったが、Yahoo!やはてなの情報を見ても思いっきり偏っていてこれは世間の流行とは感じない。
とりえあずAmazonのランキングやレビューを見ながら判断するしかないのだが、このレビューも嘘が入っているような雰囲気もある。
文化全体で見ると、優れたものが優れたと評価される方法が、過去テレビを中心にあったのがそれがなくなり、代替なものがあるのかというとなく、インターネットも偏ったメディアなので、結果として、優れたものが評価されにくくなってしまった。
Youtubeで再生数が多いのが、優れている?、それはありえない。
ニコニコ動画には過去、優れたものがお気に入り数が増えるという良い文化があったのだが、変なマネタイズが入ったせいで、クソ動画しかなくなりクリエーターが解散してしまった。
SNSって、もはや流行を否定したメディア。自分の知り合いだけを繋ぐメディアは社会全体、マスの流行を生み出せない。
インターネットは、優れたものを発掘するには幼稚すぎる。
流行がわからないせいで、優れたものを手に入れる確率が激減してしまった。
何を見れば、この飢餓感が満たされるのだろう。